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ヘルスケア 2023-03-16

「出張整体」だからこそ実現できた開業。お客様の要望に真摯に対応することがモットー【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.91 整体師 椎名宣行さん】#1

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

今回は「出張整体」で活躍している、整体師の椎名宣行さんにインタビュー。

長年、人と関わる職業での開業を夢見ながらも会社員として働いていた椎名さん。そんなとき、ようやく出会ったのが整体師でした。

前編では、整体師になるまでの経緯や出張に特化した理由、集客などについて伺います。

お話を伺ったのは…
整体師 椎名宣行さん

大学卒業後、新卒時から外食産業で中間管理職として30代前半まで勤務。整体師に興味を持ち、働きながら学校へ。手技を取得したのちに「出張・椎名屋」を副業しながら、月60人もの集客ができるようになった半年後に独立。現在は施術にとどまらず、幅広い知見と技術力で指導や講師業も務める。

YouTubeチャンネル「ハピセラTV」

「出張整体」で夢の開業を実現。軌道に乗った秘訣は、初期の価格設定

――これまでの経緯についてお聞かせください。

整体師になる前、外食産業で中間管理職として働いていました。

私はもともと腰痛持ちだったのですが、働き始めたら痛みがどんどん悪化してしまうようになっていろいろな整体院を渡り歩いていました。何件か通った中で、指圧系マッサージの先生と仲良くなり、整体の業界についてお話を聞くことが増えたんです。それを機に整体業界へ興味を持ちました。

自分自身の腰痛を改善できる方法が見つかれば嬉しいですし、私と同じような症状で悩んでいる人も助けられる…と思い、整体師を目指すことになったんです。

――最初から「出張型」を選んだのはなぜですか?

会社員として働いていた頃から長年、人と接する職業で自立してみたいと夢見てましたので、整体師になったら自分で開業しようと思っていました

ですが、開業するには資金が必要。当時すでに私には家族がおり、家も持っていたので開業するなんて現実的ではありませんでした。

そこで先生に相談したところ、「出張」形態の働き方があると教えてもらったんです。

――それで開業されたのですね。

まさに「これだ!」と思いました(笑)。

出張をベースにした施術となると、「床」がベースになってくると考え、床施術を専門に教えている学校の先生を探して入学。主に経絡ツボや気を用いた施術を習いました。

1年ほど会社員と整体の勉強を両立しながら卒業し、副業として出張整体を始めたんです。

――集客はどのように行っていたのですか?

自分でチラシをポスティングしました。

値段も相場よりかなり安価に設定。60分¥6,000が基本でしたが、技術も未熟ですし集客することに重点を置いて¥2,980にしました。

こだわりといえば、手書きにしたところ。機械で入力したチラシより手書きの方が気持ちも伝わると思ったんです。

――結果はいかがでしたか?

副業を始めて半年で売上が見込めたので独立することに

2年経った頃にはひと月200人もの方にご連絡いただくようになっていて、1人では周りきれなくなり、「椎名屋」スタッフ登録制で業務委託スタッフを増やしていきました。今では10人以上の登録スタッフがいます。

お客様の要望に一生懸命に応えたくて、イチから勉強を開始!接客は笑顔を意識

――順調に開業を実現されたようですが、大変だったことはありますか?

私がメインで施術をしているのは東洋医学がベース。ところが、施術をしているとちらほら「ぼきぼきしてください」とカイロプラクティックを用いた施術を要求されることが増えてきたんです。

最初は断っていたのですが、「できないのか」と言われるようになり、だんだんと悔しくなってきて(笑)。

お客様のニーズに応えるために、カイロプラクティックの学校へ通うことに。ただ、「揉みほぐし」は以前の学校で習っていましたし、経験者なので学校には無理を行って「カイロプラクティック」の授業だけ受講させてもらいました。

半年間でカイロプラクティックを習得し、「これでお客様の満足度もさらに上がるぞ」と意気込んでいたのですが…カイロプラクティックの施術を望んでいないお客様にもおすすめしてしまってリピートに繋がらないことがありました。

――お客様のニーズに沿うことが重要なようですね。

そうなんです。当時の私はある程度経験も重ねていたことから、少し調子に乗っていました。どんなことも初心へかえることは大事だと改めて実感しました。

以降は、お客様が抱えている症状やお悩みに合った施術をおすすめするよう心がけています。

――ほかにお客様に対して心がけていることを教えてください。

作り笑いじゃない「笑顔」で会話することを心がけています。私が笑顔であれば相手も話しやすいですし、お客様もコミュニケーションをとりやすいと思うんです。

――満足してもらう施術をするために必要なことですね。

体を癒すためにはまず、心を癒すことが大事だと考えています。内に秘めている気持ちをお客様にさらけだしてもらい、心を通わせることで、癒しと同時に症状に合った施術がかないます。話しているうちに、こちらがお客様の不調を会話から聞き取ってさまざまな方向からアプローチすると、ちょうど届いてほしい箇所に施術が行き届くイメージです。

ただ、みなさん最初から心を開いてくれる人ばかりではありません。閉ざしている人には、まず自分をさらけ出すようにしています。そうすると相手は自分のことも話そうとしてくれるので、共感ポイントを探しながら会話をしていくと、距離が少しずつ縮まります。

手技よりも先に、お客様の気持ちを確認することを忘れずに行っていますね。


家族を抱えながら、アグレッシブな行動力と計画的に「出張整体」で開業を実現した椎名さん。後編では、自身で体得した手技や取り組んでいる活動にフォーカスしたお話を伺います。

取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/SHOHEI

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