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ヘルスケア 2023-05-12

ボランティア精神で始めたTikTokがバズる!「ソロ整体」で地方から日本を元気に【Therapy Room Joy & Love あらいみかさん】#2

地方でヘルスケア事業に携わっている方に、事業運営のための取り組みについてインタビューする本企画。前回に続き、熊本県熊本市の整体院「Therapy Room Joy & Love」代表・あらいみかさんにお話をお聞きします。

後編では、あらいさんが活動のなかで大切にしていることをインタビュー。「ソロ整体」がバズったTikTokの経緯と、地方で開業する方へのアドバイスもお聞きします。

お話を伺ったのは…
Therapy Room Joy & Love あらいみかさん

20代から心・体・精神と全体的な健康を目指すホリスティック医学の観点に立ち、さまざまな療法を学ぶ。東京都で整体サロンを経営した後、2012年に熊本県に移住。2019年、完全予約制のリラクゼーションサロン「Therapy Room Joy & Love」をオープン。2020年に解説したTikTokでは、5ヶ月で「整体」「エクササイズ」の2部門で注目度ランキング1位を達成。自宅でひとりでもできる「ソロ整体」動画は、累計7,000万回以上視聴されている。

Instagram:@araimika_joylove

TikTok:@mika_salon

地元を好きになり、本物を届けたいという気持ちが大切

熊本県主催のイベントにインストラクターとして登壇するあらいさん

――地方でヘルスケアに関わるお仕事をするうえで大切なことは何だと思いますか?

一番は、その土地と人を好きになることだと思います。熊本は地元愛が強く、地元をすごく大事にするんです。私は感じたことはなかったんですが、地元の方からはよく「内輪を大切にする」「余所者はあまりウェルカムじゃない県民性」と聞かされました。

でもそういう部分はどこの地方にもあるのかなと思うので、迎え入れていただいた側として、本当にその土地を心から好きになること、その土地の人たちを大切に思うことが重要なのかなと思います。

あとは、最先端の技術に触れ続けること。地方で活動していると「東京からきた」ということに反響があるんです。それはなぜか考えると、技術のクオリティが高いというイメージがあるんだろうと思いました。都会の厳しい戦いのなかで生き延びてきた本物なんだろう。そんなイメージから「東京」に反応があるのかな、と。

実際に熊本に来てから、東京にいたころと比べていろんな研修や勉強会の機会は減りましたし、最新の情報に触れる労力は大きくなりました。だから地方の皆さんは、そういうものにもっと触れていきたいし、身近にある環境を望んでいるんだなと感じたんです。だから皆さんの代表と思って私が率先して東京に行き、地方では得られない情報を取り入れ、橋渡しになれるようにしています。

――地域の方のことを大切に考えて活動されているんですね。

活動のなかで一番大事にしていることは、自分自身の良心に従うところ。利他心というか、まずは相手の利益が先という気持ちでお客様と関わるようにしています。それが私の喜びでもあるんですよね。

コロナ禍で始めたTikTokが活動の幅を広げてくれた

サロンに来られない人のために始めたTikTokは
多くの人の関心を集め、累計7,000万回以上の再生数に

――あらいさんはTikTokでも有名ですが、始められた経緯を教えてください。

これは完全にボランティア精神でした。コロナ禍になり休業要請が出て、一度サロンを閉めたんです。するとお客様からは「肩こりがひどい」「リモートワークで腰が痛い」と連絡がきたり、遠くに住んでいる友人からも「コロナ禍になって太っちゃったんだけどどうしたらいい?」と相談されたりし始めたんです。そんなお悩みの声がいっぱい集まってきて、何かできないかなと考えました。

なぜTikTokだったのかというと、当時は10代の子の遊びのツールという面が大きかったんですが、海外でお仕事をされている方が「海外ではビジネスにも使われているんだよ」と教えてくれて。それでTikTokをしてみようと思ったんです。

それから使い方を自分で勉強して、「自分ひとりでできる整体法」というのを研究して発信するようになりました。私がお客様の体をゆるめる手技を、どうやってお客様が自分でできるか試行錯誤して、「ソロ整体」という名前をつけて、15秒の動画にして毎日投稿し続けたんです。

当時は整体のジャンルで動画をあげている人は少なかったですし、大人が役立つ知識を配信するということが少なかったので、あれよあれよという間に5カ月くらいで「整体」「エクササイズ」タグで世界ランキング1位になっていました。そこから2年くらい、ずっと1位をキープしていましたね。

――そういったSNSでの活動が集客につながったことはありますか?

TikTok以外にもInstagramやYouTubeもしています。Instagramはお客様のビフォーアフターを載せるなどエンタメ性も意識しているので、そこから来院につながったことはあります。でも見ているのは全国の方、とくに東京の方が多いので、実際に足を運んでいただけるのは月に2名ほどですね。

私の場合、SNSをビジネスととらえて活動するところまでできていないので、直接的な収益はほとんどありません。でも書籍の出版につながったのは、SNSのおかげだと思います。新人が本を出すのは難しいと言われているなかで興味を持っていただけたのは、やっぱりSNSのフォロワー数などの数字を持っているところで、信頼していただいて出版につながったのかなと思うんです。

書籍は4月と5月に出るので、その反響がどう出るかはわかりませんが、これからの活動の幅が広がるきっかけにはなると思っています。

書籍出版を足掛かりに、さらに健康の発信を続けていきたい

2022年4月『すごいソロ整体』(徳間書店)、
5月『おうちでたった30秒 みかサロン流 ソロ整体』(高橋書店)を出版予定

――今後、何かしたいことはありますか?

せっかく書籍を出させていただくので、仕事の幅を広げていきたいですね。例えば企業と商品開発のコラボをしたり、メディアから要望があれば出演する機会を増やしたりして、「セルフケアって簡単なんだよ。がんばらなくて大丈夫なんだよ」と伝えていきたいです。

また、地元には本当にすばらしい健康美容業界の経営者の方たちがいらっしゃるので、そういう方たちと組んで、地元に貢献できることがしたいです。結婚や出生率の低さという部分にも何かアプローチしたいので、若い方々の心の余裕を作るためのアプローチなども考えたいですね。広く深くなってしまうんですが、地域のみんなが「健康で楽しく自分の人生を生きていく」ために、貢献できることをチームで取り組んでいきたいと思っています。

――最後に、地方で開業する方にアドバイスをお願いします。

一番大切なのは、地元を大好きになることだと思います。あとは、地方の方は「いい先生がいる」と思えば、意外とフットワークが軽くて、車で行けるところならどこへでも行くんです。だから技術力の高さ、本物の知識というのは、強みになると思います。

自分はコレを極めている、この技術の専門家だ、この技術はその地域ではここだけ――。そういった強みを持つことがおすすめです。そして、本物の知識と技術を、出し惜しみせずお届けすること。

私も「そこまで言っちゃって大丈夫?」とよく言われるんです。整体師の秘儀みたいなところまでお伝えしてしまうので(笑)。でも、そこまで伝えないと、自分の大事な時間を使ってSNSを見たり、サロンやイベントに来てくださるのに、面白くないと思うんですよ。

やっぱり、先生が全力で取り組んでくださるから面白いと思えるし、そんな体験のほうが結果的にお客様には響く。よかった体験として記憶されるから、続けて来たいと思えるようになるんじゃないでしょうか。それが伝える側の励みにもなりますし、また全身全霊でやらせてもらおうと思える原動力になると思います。


取材・文/山本二季

Information

Therapy Room Joy & Love
住所:熊本県熊本市中央区九品寺4丁目
※ご予約、お問い合わせはHPより

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