居宅介護支援事業所の立ち上げ条件は3つ!開業申請の流れや費用、補助金について解説
要介護者の在宅介護をサポートする、居宅介護支援事業所を立ち上げるための条件について、気になっている方も多いのではないでしょうか?
居宅介護介護支援事業所を立ち上げる際には、法人格を取得し、人員基準を満たし、各種の設備基準を満たすなどの条件が課せられます。
しかし、実際に開業するにあたって、具体的な条件や流れについて確認してから、居宅介護支援事業所の開業に役立つ助成金・補助金を知りたいという方もいるでしょう。
この記事を読むことで、居宅介護支援事業所の立ち上げ条件や流れ、開業費用の目安、開業に役立つ補助金・助成金について知った上で、開業に向けた準備ができます。
居宅介護支援事業所を立ち上げるための3つの条件
居宅支援事業所を立ち上げるための条件は3つ挙げられます。それぞれの条件と詳しい内容について確認して、立ち上げに向けた準備をしていきましょう。
1.法人格を取得している
一つめは法人格を取得していることです。介護保険法に基づく居宅介護支援事業という名目で、株式会社やNPO法人、社会福祉法人といった法人格を取得する必要があります。
2.人員配置基準を満たしている
二つめは人員配置基準です。主任介護支援相談員は、介護者35人につき1人以上の配置が義務付けられ、それ以降も介護者が35人増える度に介護支援相談員を配置しなければいけません。また、最低でも1人以上は常勤の介護支援相談員の配置が義務付けられています。
3.設備基準を満たしている
三つめは設備基準です。具体的には、下記のような基準が挙げられます。
・事業運営に必要な広さの確保
・事務室は職員・事務用品がおさまる広さ
・相談室は2名以上が入室可能。相談内容が漏れないための壁がある
・会議室は4名以上が入室可能。会議内容が漏れないための壁がある
・デスクやチェア、金庫といった運営に必要な備品や設備がある
また、運営上の基準には、以下のようなポイントが挙げられます。
・内容および手続きの説明および同意
・提供拒否の禁止
・サービス提供困難時の対応
・受給資格等の確認
・要介護認定の申請に関わる援助
・身分を証する書類の携行
・保険給付の請求のための証明書の交付
・指定居宅介護支援の基本取扱方針・具体的な方針
・利用者に対する居宅サービス計画等の書類の交付
・利用者に関する市町村への通知
・利用料などの受領
・管理者の責務
・記録の整備
・勤務体制の確保
・業務継続計画の策定等
・法定代理受領サービスに関する報告
・居宅サービス事業者等からの利益収受の禁止
・秘密保持
・広告・掲示
・苦情処理
・事故発生時の対応
・虐待の防止
これらの基準を満たしてはじめて、居宅会支援事業所を立ち上げられるのです。
【3ステップ】居宅介護支援事業所を立ち上げるまでの流れ
居宅介護支援事業所を設立するにあたっての基準を満たしたら、今度は実際に施設を立ち上げるまでの流れを把握し、どのような準備をすればいいのかを確認しましょう。
1.条件を満たしているか再確認する
申請をする前に、まずは本当に必要となる条件を満たしているのか再確認します。
・法人格を取得したか
・人員配置基準を満たしているか
・設備・運営基準を満たしているか
基準を満たしていることを確認したら、各市区町村に申請しましょう。
2.必要書類を準備する
各自治体によって必要書類は若干異なりますが、基本的には下記の書類が求められます。
・指定申請書
・法人の定款・登記簿謄本
・事業所の平面図
・運営規定
・資産状況を証明する書類
・収支予算書
・事業計画所
・損害保険証書
・設備・備品一覧表
・従業者の勤務体制・勤務形態がわかる資料
・介護給付費算定のための申請書
以上の書類を基本として、各市区町村に求められる資料も準備しましょう。
3.役所で申請を行う
申請書類の準備が完成したら、市区町村の担当窓口で申請します。電話やメールなどで事前に書類提出の日程を決めて申請するのが一般的です。申請の審査が完了するまでの期間は1カ月を見ておくといいでしょう。ただし、書類に不備があると、再提出の手間が発生し、営業許可が降りるまでにさらに時間がかかってしまう点に注意が必要です。
居宅介護支援事業所の開業費用の目安
居宅介護支援事業の開業費用の目安には、初期費用と初期の運営費用を考慮して、100万〜200万円ほどのコストがかかると考えておきましょう。事業所のデスクやチェア、パソコンや文房具などの備品購入費や、事務所の賃貸契約が初期費用の代表格で、運営開始から数カ月分の資金や給料も予算として考えておく必要があります。
居宅介護支援事業所の開業に役立つ補助金・助成金
居宅介護支援事業所を立ち上げるためには、ある程度のまとまったお金が必要です。しかし、自費で初期費用を捻出するのが難しい場合には、公的な補助金・助成金を活用すれば、事業所を立ち上げ・運営していくための費用にあてられます。
ここでは、居宅介護支援事業所の開業に活用できる補助金・助成金について紹介します。
地域創業企業補助金
地域創業企業補助金とは、新しく事業を立ち上げる人が利用できる各地域の補助金です。各地域によって補助金の名称や内容は異なり、以下のような補助金があります。
・埼玉県企業支援金:人口減少が進む地域で地域の問題を解決するIT技術の導入を検討している起業家、事業継承・第二創業をする起業家向けの補助金
・東京都創業助成事業:都内創業予定者、創業後5年以内の中小企業創業者の事業を支援。助成限度額は300万円以内
・かながわイノベーション戦略的支援融資:当該融資の認定を受けている創業支援融資の対象者。融資限度額は8,000万円
引用元:埼玉県:埼玉県起業支援金
東京都:創業助成事業募集
かながわイノベーション戦略的支援融資
居宅介護支援事業所の立ち上げと運営にかかる費用を捻出できるように、住んでいる地域で活用できる補助金を見つけていきましょう。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、事業所に導入するパソコン・タブレット・プリンターなどのハードウェア、会計ソフト・決済ソフト・クラウドシステムといったソフトウェアの購入や利用に対して補助金をもらえる制度です。適用される補助金の種類は、補助対象によって変わるので、公式サイトで補助金に関する詳しい情報をチェックしてみましょう。
引用元:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会:IT導入補助金2023
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、厚生労働省が、派遣労働者や短時間労働者などの非正規労働者のスキルアップを促し、正社員化をサポートするための助成金です。非正規社員の正社員化や処遇改善の取り組みをおこなった事業者を対象としており、居宅介護支援事業所で、積極的に非正規社員のスキルアップや処遇改善に取り組んでいる方が利用できます。
事業所の運営やキャリアアップの支援に伴い、ぜひ活用したい助成金だといえるでしょう。
居宅介護支援事業所を立ち上げるなら条件を満たし、流れをおさえておくと安心!
居宅介護支援事業所を立ち上げるなら、法人格の取得や配置基準・設備基準を満たす事業所を目指し、各自治体において営業の認可を受けられるように準備しましょう。
まずは条件を満たしているかを再度確認して、必要書類をまとめ、各市区町村において申請を行います。申請の審査には約1カ月ほどの時間がかかると考えておきましょう。
居宅介護支援事業所を立ち上げるためには100万〜200万円の費用がかかりますが、各自治体や国が主導しておこなっている補助金や助成金を活用する手もあります。
居宅介護支援事業所を立ち上げるための条件や流れ、費用について確認して、必要に応じて補助金・助成金も活用しながら、開業に向けて準備していきましょう。
引用元
J-Net21:創業者向け補助金・給付金(都道府県別)
埼玉県:埼玉県起業支援金
東京都:創業助成事業募集
神奈川県:かながわイノベーション戦略的支援融資
一般社団法人 サービスデザイン推進協議会:IT導入補助金2023
厚生労働省:キャリアアップ助成金