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ヘルスケア 2023-08-14

総合格闘家からトレーナーへ! 女性の美を支える、脚に特化した施術とは?【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.109/パーソナルトレーナー・吉田直輔さん】#1

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回お話を伺ったのは、パーソナルトレーナー・吉田直輔さん

元総合格闘家の吉田さん。現在はパーソナルトレーナー、美脚美容家として活動されています。8年前より歌手・郷ひろみさんのパーソナルトレーナーも勤め、テレビ出演など多方面で活躍中です。
前編では、パーソナルトレーナーになったきっかけや、サロンに込めた思い・コンセプト、施術の流れを伺います。

総合格闘家からトレーナーへ
郷ひろみさんの専属トレーナーも8年継続中

――総合格闘家だったそうで! パーソナルトレーナーになったきっかけは何だったんですか?

高校を卒業して、自衛隊体育学校のレスリング班に所属しました。そこはレスリング以外にも、リフティングや柔道、水泳などの班もあって、オリンピックを目指すためにみんな日々練習しているんです。僕は4年間在籍していたのですが、もともと総合格闘技がやりたかったのもあり、辞めてからは格闘技道場に入門しました。

でも、格闘技だけで食べていくのは、最初はなかなか難しいんです。そのため、掛け持ちでいろいろなアルバイトをしました。ペンキ屋もやりましたし、荷揚げ屋という建築資材を建築現場に運ぶ仕事もしましたね。どれも部活感覚で楽しくやっていたのですが、やっぱり体を使う仕事なので疲労してしまい……。本業の格闘技の練習に身が入らなくなってしまったんです。

このままじゃいけないと、新たに始めたアルバイトがパチンコ屋。オープニングスタッフとして働いていたのですが、そこで体育学校時代の恩師と再開しました。その方は筋トレルームのトレーナーだったのですが、僕が当時から筋トレが好きだったのを覚えていて「トレーナーのアルバイトをしないか?」と誘ってもらいました。これが2005年ですね。

――そんなきっかけがあったんですね! そこからしばらく格闘技とトレーナーを両立されていたと。トレーナー1本でやっていこうと思われたのは?

日本の総合格闘技団体で、昔からある「パンクラス」という団体があるんですが、そこで新人王になったんです。正直、波に乗っているいい時期だったんですが、たまたま「格闘家の脳を診る」というイベントに参加したんですよ。

脳画像診断士の医師が脳のMRIをチェックしてくれるのですが、例えば耳の領域が大きいと聞く力がある、手の領域が大きいと手先が器用で絵の才能がある、というのがわかるので、「じゃあ格闘家の脳はどうなっているのか、みんなで見てみよう」というイベントでした。その時、僕の脳に水が溜まっているのが発覚したんです。

結果、それは生まれつきで世間一般的にも多い症状らしく、「全く問題ない」と言われたのですが、なんだか怯んでしまって……。ちょうどその頃結婚して子供が生まれたばかりだったというのも、気持ちの上で影響していたのかもしれません。「お金を払って観にきてくれているお客さんの前で、これからもめいっぱいパフォーマンスできるのか? プロとして続けていいのか?」と考えたら、無理かもしれないと思いました。それで格闘技を一旦お休みしようということになったんです。

――なるほど。

これが2008年なので、トレーナーを初めて3年くらいたった頃です。運がいいことに、トレーナー兼責任者としてお店を運営してくれないかというオファーもいただいていたので、トレーナー業に力を入れることにしました。

そこは加圧スタジオで、当時すごくブームだったのもあり、集客には困りませんでした。なので、スタッフの管理、顧客の管理をしっかりやりつつ、自分自身もトレーナーとしてたくさんのお客さまを担当していた時期ですね。大変でしたが、いい経験でした。そこでは2011年まで働いて、東日本大震災の半年後くらいにフリーへ転向しました。

――トレーナーのフリーって、どのような感じなんですか?

スポーツクラブにフリーのトレーナーとして所属して、希望があったお客さまを担当する、という感じでしょうか。時には自らお客さまに声をかけて、お誘いすることもあります。

あと僕の場合は、スタジオ形態のパーソナルスタジオにもテクニカルアドバイザーとして所属していたのと、当時から自分のHPを持っていたので、そちらからの集客もありました。HPから問い合わせいただいた方は、僕自身で会場をレンタルするスタイルになるので、近所の格闘技道場を間借りして指導していました。

――現在のようにご自身のスタジオを構えられたのは?

2年後の2013年ですね。自分でスタジオを構えて事業としてやってみたいという思いはずっと持っていたのですが、間借りしていた格闘技道場が引っ越しをするからフロアが空く、ということで声をかけていただいたんです。これも何かの縁だなと、契約することにしました。ただちょっと広すぎたので、それから2年後の2015年に現在のスタジオに移転したんです。

――それでこちらに。現在の活動としては、こちらのスタジオでのトレーニングの他に、何かやってらっしゃるんですか?

トレーナーに向けたセミナーもたまに行っています。内容は、解剖学や生理学ではなく、コミュニケーション技術の話ですね。

――ちなみにHPを拝見したのですが、現在も郷ひろみさんのトレーナーをされているんですか?

はい、今も継続しています。もともと別のトレーナーからの紹介で、「東京でトレーナーを探しているらしいから、どう?」と誘ってもらって。あれだけの方なので、「1回やってみてしっくりくるかどうかで決めたい」ということだったのですが、なかなか1回目のタイミングが合わず、やっとお会いできたのが8年前。それからずっと担当させていただいています。

総合的なパーソナルジムから
「脚」に特化した専門サロンにシフトチェンジ

――こちらは「脚骨格改善×美脚サロン」ということで、脚に特化したサロンなんですね。

もともとはパーソナルジムだったんですけど、昨年末ごろにシフトチェンジしたんです。

それには理由が2つあって、まず1つが、女性の美に対する強い思いをすごく感じたこと。それに応えるには何を特化するのがいいかと考えたところ、脚になりました。よく聞くお悩みでもありましたし、ダイエットするにしても、姿勢を整えるにしても、脚の骨格が整わないとなかなかキレイなスタイルにならないんです。

もう1つは営業的な理由になるのですが、「骨格改善」や「美脚矯正」が最近話題になっているということ。それに脚をまっすぐにするというのは、ビフォーアフターが撮りやすく、変化も感じていただきやすいんです。

正直ずっと、ただのパーソナルではなく何かに特化すべきだと感じていたのですが、何にしようか迷っていたんですね。姿勢でもいいし、筋肉スキルでも、ヒップアップでもよかったんですけど、差別化として「脚骨格改善・美脚矯正」にしました。

――お客さまとしては、やはり脚骨格改善を目的でいらっしゃる方が多いんですか?

脚と姿勢の半々ですね。やはり反り腰や猫背でお悩みの方は多いです。でも先ほどお伝えしたように、脚と姿勢はリンクしているんですよ。脚のバランスが悪いせいで姿勢が悪くなる人もいますし、逆に姿勢が悪いせいで脚にお悩みが出る方もいます。こればっかりは切っても切り離せません。なかでも上半身を整えると下半身もよくなるパターンが非常に多いです。

――施術の流れを教えていただけますか?

まずはカウンセリングですね。お悩みをお聞きするんですが、最近はサイトからお問い合わせいただいた時点で、ある程度しっかりお悩みを伝えていただけます。これはパーソナルの時と大きな違いで、「なんとなく」というのではなく、しっかりとしたお悩みを持って来てくださる。専門性を掲げているというのも、理由の一つかもしれません。

ここには20〜30分、しっかり時間を割きますね。お客さまの目的をきちんと伺わないと、その先が曖昧になったり、回り道をしてしまうこともありますから。そしてAI姿勢分析、歩行診断、柔軟性の評価、骨格の評価、将来の予測を行います。現在どういう状況で、将来的にどのあたりまで持っていきたいかというのを、実際にお客さまの体をみながらチェックしていきます。

それぞれ写真を撮ったり動画を撮ったりして、実際に目視で確認しますが、AIも判定結果を出してくれます。精密とはいえ正直100%正確とはいえませんが、客観的情報としてわかりやすいですよね。一つの目標・指標として、お客さまも納得しやすいと思います。

その後に「こういうプランで進めて行いきましょう」というのを決めて、実際の施術やエクササイズに進みます。

――みなさんどれくらいの頻度で、どのくらいの期間通われるんですか?

2週間に1回、2ヶ月ぐらい通われる方が多いです。とはいえ脚や姿勢に関しては、日々のケアが重要になってくるので、サロンに通われているお客さまには公式LINEで会員限定の動画を公開しています。それを見ながら毎日ケアしていただいたり、施術時に次回までの宿題をお願いすることもあります。

根本改善を目指すには、いわゆるマッサージや整体など受け身だけのアプローチでは、その一瞬はいいのですが、結局すぐ元に戻ってしまうんですよね。なので、なるべくお家で日々のケアに取り入れてもらうことが大切。そのためにもやる気を出して取り組んでもらえるよう、コーチング力も重要になります。

指導しているのは筋肉でもなく骨でもなく
「人」であることを忘れない

――施術時に大切にしていることはなんですか?

「誰に指導しているか」というのをしっかり考えること。アプローチするのは骨や筋肉かもしれませんが、指導しているのは「人」なので、お客さま自身をしっかり見るようにしています。何に悩んでいるのか、どこに原因があるのかというのも、直接聞かずとも感じ取る。そのためには信頼関係をしっかり築く必要があります。

というのも、動画やグループレッスンではなく、1対1のレッスンなので、知識や技術をただ伝えるより、その人のためにその人にフィットした内容を提供することが大事。それは施術やエクサイズ内容だけでなく、声がけなども含まれています。

声がけでいうと、トーンを変えたり、長さを変えたり、いろいろ工夫しています。同じお客さまでも、その時その時で体調が変わりますから。毎回しっかり向き合って、その人をいかに感じ取れるかということが、一番大切にしていることですね。


後編では、吉田さんの代表的な1日の流れや、この仕事のやりがいや魅力、未来のパーソナルトレーナーに向けたアドバイスを伺います。

取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄

information

Ves 脚骨格改善×美脚サロン
住所:東京都渋谷区代々木2丁目16-15 オークビル102
電話:03-6276-8716

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