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ヘルスケア 2024-06-05

柔道整復師×トレーナーの2つの顔を持ち大活躍!【もっと知りたいヘルスケアのお仕事 Vol.142 柔道整復師・トレーナー 安達愛美さん】#1

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

柔道整復師とトレーナーの2つの顔を持つ、安達愛美さん。現在「スポーツメディカル整骨院」の院長として勤務しながら、学生の部活のトレーナーや、アイドルのマラソントレーナーなどとしても大活躍中です。

前編では、安達さんが柔道整復師とトレーナーの道を歩むことになったきっかけと、新人時代の印象深い経験、その乗り越え方を伺いました。

お話を伺ったのは…
安達愛美さん

柔道整復師でトレーナー。整骨院「スポーツメディカル整骨院」院長。
日本治療家研究所の理事も務める。社会人アメフトXリーグや中高生の部活のトレーナー、コーチなども務める。アイドルのマラソントレーナーとして帯同経験も。

スポーツメディカル整骨院

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自分の判断に説得力を!2つの専門学校に通い、トレーナーと柔道整復師に

自身の怪我をきっかけにトレーナー、柔道整復師への道を歩みだした安達さん

――安達さんはどんな経緯でトレーナー、柔道整復師を目指されたのですか?

小学生の頃から競技として続けてきた競泳で、怪我を経験したのがきっかけです

中学時代には東京都の代表になり、関東大会に出場するくらい本気で競泳に打ち込んでいたのですが、高校1年生の練習中に足の靭帯を損傷し、満足に練習ができない日が続きました。

体育の授業を受けられない私の姿を見かねて、体育の先生がある日、テーピングをしてくださったんです。すると、足の痛みが嘘のようになくなりました。その経験に心から感動し「私もテーピングを巻けるようになりたい!」と、トレーナーとしての道を目指すことになりました。

――キャリアのスタートはトレーナーからだったのですね。

トレーナーを目指した私は、東京スポーツ・レクリエーション専門学校のスポーツトレーナー科へ進学しました。そこでは、運動学や生理学、解剖学に栄養学などトレーナーとして基本的な分野から、ウエイトトレーニングやストレッチまで幅広いことを学びました。

――柔道整復師の資格は、どのように取得されたんですか?

実は東京スポーツ・レクリエーション専門学校を卒業後に、もうひとつ専門学校に通って柔道整復師の資格を取得しました。

きっかけは、1つ目の専門学校に通っていた時、ある高校の部活にトレーナーとして参加していたことにあります。ある時、膝の痛みを訴える学生が相談に来てテストをしたところ、半月板損傷の疑いが出ました。顧問の先生に「半月板損傷の疑いがあるので、整形外科への通院をおすすめします」と伝えたのですが、そのときは聞き入れてもらえなかったんです。

その後、別の機会に鍼灸師の先生がその生徒をテストしたところ、同じく半月板損傷の陽性反応が出たのだそう。それを聞いた顧問の先生は、生徒を整形外科に連れて行ったと言うのです。

――同じ判断でも、鍼灸師さんの判断を優先されたということですか。

はい、そのときはすごく悔しかったですね。「私に資格があれば、もっと真剣に話を聞いてもらえたのかも」と思いました。自分の判断に説得力を持たせるためにも国家資格を取ろうと決めて、2つ目の専門学校に通って、柔道整復師の資格を取得しました

――2つの資格を取得してから、新卒として就職されたんですね。

新卒で入った会社では、社会人アメフトのXリーグのトレーナーや整骨院での勤務などを経験しました。トレーナーと柔道整復師というまさに私がやりたかったことが叶い、7年ほど勤務をしました。

――新人時代に大変だったと感じたことはありますか?

「患者さんの症状が、教科書通りではない」という点ですかね

教科書に出てくるような典型的な症状であれば正しく判断して施術を行うこともできるのですが、例外にぶつかったときは毎度ドキドキしていました。

ある時、肋骨骨折の疑いのある患者さんが来院されたときのことは今でも忘れられません。
王道のセオリーでは、連結した肋骨に刺激を与えて痛みが出るかを確認するのですが、そのやり方では反応が出ませんでした。痛みがないということで骨折ではないと判断したのですが、実は後々、刺激を与えても痛みの出ない独立した肋骨が折れてしまっていたことがわかったこともあり、深く反省しました。

――他にも、印象深い診察などはありましたか?

ある日「物を取ろうと腕を上げたが、腕が下に落ちてしまう」という理由で、来院された方がいらっしゃったんです。状態をみてみると確かに肩に力が入らないけれど、私が見立てた筋肉の損傷の症状がなかったため、整形外科に送り出しました。

すると、整形外科でも異常なしの診断が出たのです。
整骨院と整形外科で異常が確認できないことを不審に思い、脳神経内科の受診をおすすめしたところ、脳の疾患で肩から腕にかけて麻痺が出ていたことがわかったということもありました

――ときには、専門外のことにまで可能性を広げて考えないといけないんですね。

新しい症例にあたるたびに可能性を調べ尽くして、判断するプロセスを繰り返すことでカバーしていく必要があると思いますね。怪我などは、典型例と同じ様になることばかりではありません。新しい状況に出会うたびに、真摯に学び、取り組んでいくしかないと思います

 自分が正しいと思う診療を突き詰めるために独立

学生への指導は、精神面やマナーなどにまで及ぶそう

――安達さんは前職で7年勤務したあと、独立をされたんですね。今のお仕事内容を教えてください。

現在は整骨院「スポーツメディカル整骨院」の院長として来院される方々の治療をしながら、中高生の部活のトレーナーやコーチなどもしています。またアイドルの方が東京マラソンに挑戦する際のトレーナーも経験しました。

――安達さんは、なぜ独立をされたんですか?

「自分が正しいと思う診療をまっすぐ突き詰めたかった」というのが理由です

慢性的な体の辛さに対して単なる手技療法を提供する場というのではなく、患者さんにも問題を理解してもらい、根本的な解決を目指すための最適な治療を提供できる場を作りたいという思いが強く、自分でそうした場所をつくろうと思いました。

――「トレーナー」としては、どんなことをしていらっしゃるのですか?

技術指導から定性的な部分の指導まで幅広くしています。トレーニング方法を検討したり、体がつかれたときのケアをしたり、怪我をした方の状態の判断まで仕事の幅は本当にさまざまですね

学生に向けては「目上の人に向けては、敬語で話すんだよ!」という定性的な部分まで指導することもあります(笑)。

――スポーツ現場に憧れる方は多いですが、実際に携わるには狭き門をくぐり抜けないといけないイメージがあります。

コネクションなどがないとなかなか就きにくい仕事だと思われがちですが、登録をしておくと、学生の部活動やマラソン大会などのさまざまなスポーツ現場に派遣してもらえる株式会社PTTが提供する「トレーナーバンク」というサービスもあるんですよ

トレーナーとしての勉強会やテーピングの勉強会などサポートもしてもらえるので、
これからスポーツトレーナーとして経験を積みたい人はこうしたものを利用してみるのもいいかも知れません。

2つの専門学校に通い、経験を積んで自分の道を切り開いてきた安達さん。後編では、開業後のご苦労やその乗り越え方、お仕事のやりがいについて伺いました。

Information

スポーツメディカル整骨院
住所:東京都大田区南蒲田 3-13-25 佐藤ビル
電話:03-4361-6480

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