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ヘルスケア 2023-11-27

作業療法士の知識を活かした『脳チング』でパラレルキャリアに成功【作業療法士/conditioning studio VIVALUCK! 代表 恒松伴典さん】#1

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回は、作業療法士として長年のキャリアを積んだ後、脳の仕組みを元に考案した『脳チング』でパラレルキャリアを成功させた「VIVALUCK!」代表の恒松伴典さんにインタビュー。

前編では、恒松さんが作業療法士になったきっかけと、『脳チング』考案の経緯、考案後の働き方の変化についてお聞きします。

お話を伺ったのは…
『conditioning studio VIVALUCK!』代表 恒松伴典さん

医療・介護業界に20年以上従事。脳科学ベースの人材育成法により離職率を大幅に改善。脳の仕組み×コーチング・ティーチングの手法『脳チング』を考案。離職防止、ストレスマネジメント、メンタルコントロール、人材育成の研修が好評。脳の仕組みを解説し、ワークライフバランス回復・維持を支援している。

『conditioning studio VIVALUCK!』Instagramアカウント:@conditioning_studio_vivaluck

人の生活を支える作業療法士として20年。
転機はデイサービスの立て直しのため
「脳の仕組み」から働くことを考えたこと

――まずは作業療法士になったきっかけを教えてください。

姉が看護師だったので、進路を考えるときに医療系に興味を持ちました。私はずっとバスケットボールをしていてリハビリを経験したこともあり、リハビリ系の仕事を考えるようになったんです。同じような進路を目指すという同級生に話を聞くと、「作業療法士になる」と言っていました。そこで初めて「作業療法士」という職業を知ったんです。

作業療法士の仕事について調べていくと、体に関することはもちろん、心のことや生活全般のことまでカバーしていることを知りました。他のリハビリ系の仕事より人の生活に近いイメージを持ち、そこに惹かれて作業療法士の学科を受験したんです。

――その後のキャリアと、お仕事の転機になったできごとを教えてください。

学校卒業後、作業療法士として4つの就職先に勤務し、医療・介護分野で20年以上働いてきました。病棟勤務をはじめ、通所リハビリ、訪問リハビリ、整形外科の外来勤務など、いろいろな現場を経験させていただきました。

大きな転機になったのは、行政とともに介護予防事業に携わった時期のことです。地域に出張して健康教室を開き、介護予防や認知機能低下予防などを広める活動をしていたので、地域の方々に顔を知られる立場でした。その実績を見込まれ、デイサービスの管理者に異動することになったんです。会社としては、地域に顔が知られている私が入ることで、新規利用者を増やしたいという意図があったようでした。

ただ、私はリハビリ業務しか経験がなく、介護業務は全く知らない状態。しかしそのデイサービスは退職者が多く、スタッフたちの育成や部署の立て直しも必要でした。これから介護の仕事を覚えて、いろいろな改善をしていくには時間が足りなかったんです。

そこで作業療法士として長年蓄えてきた脳の知識を活用できないかと考えました。人がどう思考して、どう感情が動き、どう行動して、どんなふうにモチベーションが上がるか。持っている本を全部読み直し、脳の絵を描きながら整理していくことにしたんです。

――現場の立て直しのために、ご自身が持つ脳の知識から、効率的に人を動かす方法を模索したんですね。

その結果、人間の思考と行動を6つの流れにまとめることができました。早く仕事を覚える人は、この6つの流れが早く整っている。それに気づくと、「このスタッフは、ここが整っていないから仕事が止まっているんだな」とか、「脳のこの部分がうまくいっていないからモチベーションが上がらないんだ」ということがわかるようになったんです。

これを元に声掛けをしていくと、スタッフが目的と理由を持って自ら動き始めるようになりました。結果、77%だった離職率を1年で7%まで改善でき、年度末には誰も退職しなくなったんです。スタッフのワークライフバランスが整ったことで、やる気を持ってウェルビーイングな働き方ができるようになり、比例するように業績も上がっていきました。

そうして作り上げた人材育成メソッド『脳チング』の考案が、作業療法士としてのキャリアのなかで大きな転機になったんです。

人の思考と行動を統括する「脳」から
働くことにまつわるアレコレをサポート

――改めて『脳チング』について教えてください。

『脳チング』とは、解剖学、脳生理学、精神医学、臨床心理学、リハビリテーション医学などを基本に脳の仕組みを3つにまとめ、人が前向きに考え行動する仕組みを見える化した行動メソッドです。

すべての人は脳で考え、脳で行動を起こします。だから、3つの脳の仕組みを基本に考案した『脳チング』は、すべての人の思考と行動のプラットフォームを視覚化したものだと言えます。

自分の思考が視覚化されれば、目標達成までの最短ルートがわかるようになる。また相手の思考を視覚化できれば、対人関係も楽になり、相手を最速で成長させることもできます。つまり、自己成長や人材育成だけでなく、離職防止にもつなげられる。『脳チング』は、人が行う全てのことに活用できるメソッドなんです。

――『脳チング』考案から、働き方に変化はありましたか?

会社員としては、変わらず作業療法士のリハビリ業務を行いながら、企業研修講師や介護予防の講演なども行っています。『脳チング』考案後は、副業として『脳チング』の講師活動を休日に行うようになりました。休日を使っている分忙しくはなりましたが、収入も増えましたし、いい変化だったと思います。

『脳チング』では離職防止やヒューマンエラー防止、コミュニケーションエラー防止、リスク管理など、オールジャンルの企業に役立てるメソッドなので、建設やホテル業、レストラン、IT関係、金融関係など、ありとあらゆる企業からお声がけいただいています。

作業療法士としての知識を活かした副業が
新しい働き方につながる

――作業療法士をしながら副業するのは大変じゃないですか?

元々バンド活動をしていたりして、人前に立つのが好きなので、講師業というのも好きな仕事なんです。ステージに立って場の一体感を感じたり、みんなの感情が動いていくのを見たりするのが好きなんですよね。講師の仕事をしているときも、同じような視点で見ている感じ。一方的に伝えるのではなく、相手の感情が動くためにはどう伝えればいいのか、相手が行動を起こしたいと思うような一体感を作るにはどう仕掛けたらいいのか。

そういった視点が持てているのは、音楽活動で学んだことが活きていると思いますし、音楽活動同様に楽しいです。だから講師業というのは、全然苦じゃないんですよね。

――作業療法士からのステップアップとして、現在の活動の仕方にシフトしてよかったことは?

正直なところ、私が作業療法士になった20年前よりも、現在の作業療法士は将来的な展望に厳しさがあると思います。イメージしていたよりも作業療法士も増えていますし、給与面や医療点数の低下などを踏まえても、競争が多くなっているように感じるんです。食いっぱぐれる仕事ではないけれど、どんどん厳しくなっていくんじゃないかと思います。

そう考えると、これから若い世代の作業療法士たちが将来に悩んだときのひとつの道として、作業療法士の資格を活かしたパラレルキャリアというもので実績が出てきたのはよかったかなと思います。

作業療法士は、体だけでなく心まで、広く人間のことを専門的に知る仕事です。この資格があれば、人間がしている仕事ならどんな仕事でも応用が利きそうだなと思うんです。そういうすごい仕事なんだということが示せたかなというのも嬉しいところです。


次回後編では、恒松さんがヘルスケアのお仕事に感じる魅力、これからヘルスケアの仕事を目指す人に向けたアドバイスをお聞きします。

取材・文/山本二季

Salon Data

conditioning studio VIVALUCK!
※お問い合わせはHP上「お問合せ」からお願いします。

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