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ヘルスケア 2024-02-05

人生は「線」で繋がっている。好きなことに夢中になれる自分らしさを忘れずに【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.128 NORIKOさん】#2

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

今回は、スペインのバルセロナでピラティストレーナーをしているNORIKOさんに、インタビュー。

前編では、ピラティスに目覚めた経緯とオンラインサロンで展開しているオリジナルの「NOBIメソッド」考案の経緯について詳しく伺いました。後編では、オンラインサロンでレクチャーするときに気をつけていること、仕事で大事にしているモットーをお聞きします!

お話を伺ったのは…
ピラティストレーナー NORIKOさん

30代の頃、ピラティスと出会う。ピラティスの理論にハマり、以後、スペインを拠点に、日本と海外を行き来しながらピラティストレーナーとして活躍。現在は、オンラインサロンをメインに「NOBIメソッド」を広めるための情報を発信中。

Instagram:@nobibynoriko

オンライン上のレクチャーは、生徒が「目の前にいること」を想像する


――オンラインでレクチャーする際に気をつけているところは?

まずは、フォームやそれにまつわる動きが「なぜ必要なのか」を説明して、理解してもらうところから始めています

私はヨガを経験してからピラティスを習得しました。私個人が思った感想としては、ダイナミックな動きが多いヨガに比べるとピラティスは動きが地味。さらに、体のどの部位に良いのか、なぜその動き方をするのか、想像ができなかったんです。比べてヨガは、体を伸ばせば気持ち良いから体に効いていると感じやすいなと。前提として、ピラティスの動きがどんな効果や作用があるのか、知識がない状態だと実感できないと思いました。そんな経験から、先に知識を身につけておけば取り組みやすくなるのではと考え、フォームの解説をしながらレクチャーをしています

説明のあとは、実践です。オンラインだとどうしてもどちらか一方的な声かけになってしまうんですね。人それぞれ体の可動域や悩みも違うため、本来ならば一人一人に合わせたアドバイスが必要なのですが、オンラインだとそうもいかなくて。受けているメンバーの方も安心して受けてもらうために、分かりやすくてみんなに通じそうな言葉をかけるように意識しています。

――どのような言葉を?

フォームで足りていないであろう動作を見抜いて、呼びかけています

今までリハビリが必要な方から、アスリート、ダンサーの方まで、何百人とレクチャーをしてきた経験から、なんとなく足りていないところが分かるんです。頭の中では常に、目の前にメンバーの方がいるのを想像しています。そうしてフォームを見てみると、腰が反っているとか腕が上がっていないとかが分かり、声かけをするとみなさんに大体驚かれます(笑)。

見えてないところを見ようとするのは最初からできることではありませんが、オンラインでレクチャーするにあたってかなり重要なポイントだと思っていて。体を整えたい人、サロンのインストラクターをしている人、いろいろな人がそれぞれタメになったと思ってもらえるレッスンを心がけていきたいですね。

――オンラインサロンでは「NOBIメソッド」を受けられるほか、どんなことができますか?

月に一度テーマを変えて、新しい動画をどんどん配信しています。リアルタイムで観られない方でも大丈夫なように、アーカイブにも残しています。

あとは、座談会といったメンバーのみなさまと一緒にお話ができる場を設けています。配信された動画だけを見ながらトレーニングを継続していくには限界があるし、人によって体の可動域も悩みも違うので、個人で相談や質問をいただける機会も作りました。

自分が喜ぶことに取り組んできたことで「今」に繋がった

愛犬と一緒に近所までリフレッシュしに散歩へ。

――今後の展望はありますか?

現在、バルセロナを拠点に自宅サロンを経営しているのですが…1月いっぱいで閉めることにしました。(2024年1月現在)

ありがたいことにスタジオの認知度がだんだん上がっていて、現在は従業員に現場を回してもらうまでに成長してきていたのですが…私のレッスン以外の仕事が増えたことで、スタジオでトレーニングのサポートをする機会が減っていってしまっていて。そうすると、以前よりも時間の配分が大事だと気づいたんですね。仕事以外にも、子どもとの時間もしっかり確保しておきたい気持ちが強くなってきました。

ただ、閉めると言ってもスタジオがなくなる訳じゃないんです。スタジオ自体がなくなってしまうのは嫌だったので、移動式にしようと考えています。さまざまな土地にこちらから出向いて、レッスンをするようなイメージ。2024年2月からはバルセロナにあるスタジオを閉じ、オンラインで教えつつ、各国各地に出向きワークショップを行なっていく計画を練っているところです。

私を既に知っている人、知らない人に出会えることに今からワクワクが止まりません。運動が好きな人、嫌いな人でも自分を大切にする手段として、「NOBIメソッド」をもっと多くの方に広めていきたいです。

――NORIKOさんが仕事をするうえで大事にしていることは?

好きだと思えるもの、自分の心が喜ぶことに取り組むことでしょうか。私が今までそうしてきて、うまく渡ってこれているから(笑)。でも、これは経験してきて初めて分かったことなんです。

いつも住む土地によって仕事が変わっていたので、一つの物事が続かない自分をコンプレックスに感じていました。楽しかったけど、ピラティスに出会うまではずっとこんなペースなのかなって悩むこともしばしば。そのとき、人生は道として繋がっていなくて「点」だと思っていたんです。でも、今になって「点」ではなく、「線」になっていたんだと気づけるようになって。

例えば、ミュージシャンとして堂々と表舞台に立ち続けたとか、裏方で人をサポートしながら瞬時に受け答えが必要な場面を乗り越えてきたとか、そういう出来事が今の仕事に応用できていることに気づき、ようやく実感できたのです。何か一つのことを続けるのは大事ですが、私の場合最初からピラティストレーナーをしていたら、こうなってはいなかったんだろうなと。だから今、挑戦しようか迷っている人は自分が思う方向へ進んでほしいです。

後に役に立つか分からなくても、一つの物事が続かなくても、その一つ一つの経験がその後の自分の身になるはずです。

――今後、ヘルスケア業界を目指す方へアドバイスをお願いします!

最初は真似をしてみてください。偉人の知恵は偉大です。真似をしているうちに必ず自分の身になっていき、その中から自分のスタイルが確立する可能性もあります。

どうしても分からない、答えが見つからないときは、自分で徹底的に調べて研究してみること。自分で実践するに限ります。経験がのちに自分自身を大きく成長させてくれるので、安心して挑戦してみてください!

趣味からピラティスを仕事にするまでやるべきこと

1.興味を持ったことについてあらゆる方法を駆使して徹底的に探ってみる

2.足りない部分に気づき、補うための取り組みをする

3.自分自身で経験することで効果を実感し、周囲へ説得させる材料を持っておく


取材・文/東菜々(レ・キャトル)

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