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介護・看護・リハビリ 2025-05-03

重症心身障害児の看護が大好き!【介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画 看護師×食養生講師 織戸せい子さん】#1

業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載「介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画」。今回は、看護師で食養生講師の織戸せい子さんにお話を伺います。

織戸さんは、国立総合病院勤務の看護師や派遣看護師を経て、重症心身障害児のケア施設に17年間勤務。現在もその施設と放課後デイサービスに週一回ずつ勤務しながら、食養生講師の活動もされています。前編では、これまで看護師としてどんな仕事をしてきたのか教えていただきます。

お話を伺ったのは
看護師×食養生講師
織戸せい子さん


看護学校卒業後、神奈川県内の国立総合病院小児科に勤務。社会福祉法人 聖テレジア会 鎌倉療育医療センター「小さき花の園」には17年間勤務し、重症心身障害児のケアにあたる。現在は「小さき花の園」、NPO法人ハビリテーションケア(多機能型事業所LEO)で看護師として働く他、「心も体も元気になる」食養生講師としても活動中。

インスタグラム

病院に6年勤務した後、派遣で単発の仕事を

「保育園を巡回する仕事では、身体測定をして肥満や身長が伸びないことへのアドバイスなど健康相談が主でした」(織戸さん)

――まずは看護師としてのキャリアを教えてください。

看護学校卒業後、横須賀と横浜の国立総合病院の小児科に勤務しました。6年後に寿退社したんですが、3ヶ月くらいで退屈になってしまって…。その後、派遣社員として訪問入浴専門の看護師や健康診断、市に登録して保育園を巡回する仕事をしていました。

――ひとくちに看護師といってもいろいろな仕事があるのですね。それぞれの仕事を一定期間ずつ?

3ヶ月間とか期間限定の仕事もありますが、私は単発がよかったので「この日こんなお仕事があります」という求人の中からピックアップして、月に15日ぐらい働いていました。病院に常勤している看護師さんがお休みの日に気分転換で入ることもあるみたいですよ。

――単発のお仕事が多かったのですね。訪問入浴専門の看護師というのは?

3人チームで利用者さんのお宅を訪問してバイタルを測ったり、褥瘡など皮膚の処置をしたり。利用者さんの体を洗ったり入浴介助もしましたが、入浴前の健康状態をチェックして、お風呂に入ってもいいかどうかを判断するのがメインの仕事でした。

体調の変化をいち早くキャッチして子どもたちに笑顔を

「利用者さんが大好きなんです」と微笑む織戸さん。

――いちばん長く勤務した職場は?

鎌倉療育医療センター「小さき花の園」には17年間勤務しました。いまも週一でパート勤務しているので現在進行形です。

――そんなに長く! そこで働くきっかけは?

派遣職員のときに「小さき花の園」の求人チラシを目にして、学生時代の夢を思い出したんです。看護学校の実習で重症心身障害児施設を訪問したときに、「なんてピュアな人たちなんだろう。こんなに素晴らしい人たちがいるんだ。わたしはこういう方のお手伝いをしたい」と思ったんです。それを看護学校の先生に相談すると、「あなたはあまり成績がよくないから就活している時間はないよ。国家試験の勉強に専念して」と一蹴(笑)。それでまずは看護学校付属の病院に就職した経緯があります。

でも「小さき花の園」の求人チラシを見て本当にやりたかったことを思い出し、とりあえず派遣会社に相談してみると、派遣職員として働けることになったんです。

――重症心身障害児施設とはどんな施設なのでしょうか。

重度の知的障害と肢体不自由がある子どもを対象に、治療・療育と日常生活を支援する施設です。わたしが担当した利用者さんの中には発声できる方は数人で、コミュニケーションやさまざまな活動に介助が必要でした。

――そこではどんなお仕事を?

長期滞在施設なので、利用者さんは親元を離れて施設で暮らしています。利用者さんに充実した生活を送っていただくために、体調の変化をいち早くキャッチして対応し、利用者さんの笑顔を引き出すのがおもな仕事です。それは看護師としての仕事の基礎であり、それができる職場でした

――笑顔を引き出すためにどんな工夫をされていますか。

遠足や運動会、クリスマス会などいろんな行事があり、写真撮影ではとてもいい笑顔が見られるので、まずはそのときに体調を崩さないように心がけています。

寝たきりの方がほとんどで食事も自分で食べられる方は少ないので、食べるときの姿勢やタイミングを工夫したり、痰がゴロゴロしてきたら吸引したり、ちょっとした変化を見逃さないように常に注意しています。

――「小さき花の園」には現在パート勤務?

子育ての両立で悩んだこともあり、一旦辞めたんですが「人手が足りない。2時間でいいから来て」と言われ、「2時間で帰るのはもったいない。どうせなら1日行きます」(笑)と現在は週1回10時~16時まで勤務しています。

放課後デイサービスで医療的ケア児をサポート

――織戸さんはもうひとつの施設でも働いているそうですね。

はい。前職の同僚だった理学療法士の方が2023年にオープンしたNPO法人ハビリテーションケア(多機能型事業所LEO)でも働いています。ここは鎌倉支援学校に通われている子が放課後や休日に利用されるデイサービスです。

――放課後デイサービスではどんなお仕事を?

例えば平日2時間のご利用では、始まりのパレードを歌い、お名前呼び、今日の活動予定を確認。それぞれおやつ、吸引、トイレなど。天気がよければ中庭でお散歩といった内容です。

――スタッフの方はみな看護師?

医療ケアが必要な方には必ず看護師がついて、必要でない方は保育士、理学療法士、介護福祉士などのスタッフが担当します。

――利用者さんと接する上で心がけていることを教えてください。

利用者さんの話をしっかり聞く。というか反応を待つことを大事にしています。それから利用者さんが自分でできることを奪ってしまわないように、トイレもちょっと支えれば歩いて行けるような方には手を貸す。なかなか乗り気にならないときは、しっかりと反応を見てそれに合わせた声かけをするように心がけています。

後編では食養生講師としてのお仕事や子育てとの両立について伺います。

撮影/森末美穂
取材・文/永瀬紀子

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