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介護・看護・リハビリ 2025-01-09

勤務先の病院にプレゼンして「院内写真館」を実現【介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画 看護師×着付師×フォトグラファー 小杉昌美さん】#2

業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載「介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画」。今回は、看護師をしながら高齢者に着付けとメイクをして写真を撮る活動をする「輪繋」小杉昌美さんにお話を伺います。

高齢者ともっとゆったり関わりたいと、介護美容やシニアフォト、爪ケア、車いす着付けなどさまざまな資格を取得した小杉さん。正職員から週3のパートにシフトし、いざ活動を始めたものの方向性が思っていたのと違いモヤモヤした時期も。自分にしかできないテーマを模索し、「写真と着物とフットケア」というテーマを見出します。

勤務先の病院にプレゼンして、患者さん向けの着付け・メイク・撮影サービス「院内写真館」を実現。介護美容を施設や病院に取り入れることは、なかなかハードルが高いこと。小杉さんはどうやって実現したのでしょうか。

お話を伺ったのは
輪繋
小杉昌美さん


常勤の看護師から週3回のパートにシフトしてケアビューティスト、シニアフォト、爪ケア、着付け師などさまざまな技術を習得。ケアビューティストとしての活動を始めるも、高齢者とゆったりと関われないことにモヤモヤした気持ちを抱える。方向性を見つめ直し「100才まで着物を着て写真を撮ろう」という自分にしかできないテーマを確立。病院や出張先で高齢者にメイクと着付けをして写真を撮る「院内写真館」、「出張シニア写真撮影」など精力的に活動中。

インスタグラム

「院内写真館」で入院患者さんに思い出づくり

パート勤務に替えることで、担当の患者さんや病院内の委員会への所属が免除され、その分介護美容を取り入れる時間を確保。

――テーマが決まったことでどんな変化がありましたか。

「100才まで着物を着て写真を撮ろう」というテーマの下、写真と着物とフットケアの三本柱に絞ることを決め、専門学校からの業務委託はフットケアのみ受託することにしました。パート勤務している病院では、レクリエーションの時間にメイクフォトをやらせてもらったり、空き時間があれば患者さんのフットケア、コミュニケーションのとれる方にはネイルをしたりと少しずつ活動し始めました。その中でも「院内写真館」をスタートさせたことは大きな動きですね。

――院内写真館とは?

病院の患者さんにメイクと着付けをして写真を撮らせていただくサービスです。先日のお客様は、緩和ケアの患者さんでお孫さんが申し込んでくださいました。

――そのときの様子を詳しく教えてください。

患者さんのお孫さんが立ち会ってくれて、まずはご自分のお部屋でメイクと着付けを。着物を羽織って腰紐を巻くぐらいまではご自分で立っておられて、その後は疲れてしまったのでベッドに座った状態で帯を巻き、無事にお支度完了。その後メイクをして、車いすで病院内の会議室に移動。ご本人の撮影と総勢8名でのご家族写真を撮らせていただきました。

――時間にしたらどれくらいですか。

患者さんが疲れてしまわないように、撮影のセッティングからお支度をして撮影まで2時間かからないくらいですね。わたしは、着付け・メイク・撮影の一連の作業に必死だったので病棟の看護師さんに「大丈夫?」と心配されるほど汗だくでした(笑)。

――一生懸命だったのですね。ご本人やご家族の感想は?

お孫さんが「最近はだいぶ元気がなくなってきちゃったけど、普段見られないようなすごくいい顔をしていた」とおっしゃって、とても喜んでいただけました。その患者さんは、それからしばらくして亡くなったと聞きましたが、あのとき思い出を作ってあげられて本当によかったなと思います

キャンバで資料作成して看護部長にプレゼン

「普段の優しい感じがいいんだろうなと、メイクも自然に仕上げました」(小杉さん)

――アロマやトリートメントなどを学んでも仕事に結びつけるのが難しいという話を聞きますが、受け入れはスムーズだったのでしょうか。

そうですね。看護部長がよく話を聞いてくださる方で、介護美容の専門学校に行きたいと相談すると「行きな、行きな」と後押ししてくれて、勤務中に介護美容を取り入れたいと持ちかけたときも「時間内であればどんどんやっていいよ」と言ってくれました。

――すごいことですよね! ちゃんとプレゼンをしたのですか。

仕事時間内に介護美容を取り入れることを提案したときと、院内写真館の導入と2回プレゼンして、事務所にも許可をもらってパンフレットを置かせてもらいました。専門学校でビジネスの授業があり、簡単な事業計画書を作ったことがあったので、資料はそれをもとにキャンバで作りました。

フレイル予防のための着付け教室も楽しいかも

「しばらくは看護師×介護美容の二本立てを続ける予定」と小杉さん。

――今後力を入れていきたいことは?

「院内写真館」を広めることと、ご自宅にお伺いする「出張シニア写真撮影」もやっていきたいです。そのためにも現在いろいろなイベントに参加してメイクやフットケア、写真のスキルアップを心がけています。

あとは介護予防にも力を入れたいですね。着付け教室をしながらフレイル予防できるような取り組みもおもしろいかも。着物を着て出かけること自体運動になるし、出かけた先のイベントもいい刺激になるので。私たち世代ぐらいからをターゲットにして、着物を着付けてあげるんじゃなくて自分で着物を着てフレイル予防を。

――それいいですね。

2回目の成人式、3回目の成人式という感じで着物を着ようというイベントも楽しいんじゃないかな。漠然とですけど、いろんなことを考えています。そのためにインスタがんばったり、ホームページを作ったり、やれることはいっぱいあるんでしょうが、なんせマイペースなので(笑)。

小杉さん流! 介護美容の仕事への取り入れ方

1.看護師の仕事を正職員からパートへ切り替えて時間を確保

2.自分にしかできないテーマ「100才まで着物を着て写真を撮ろう」を確立

3.勤務先の病院で「院内写真館」を実現

看護師として18年のキャリアを積み、セカンドキャリアとして趣味の着付けに介護美容をプラス。「100才まで着物を着て写真を撮ろう」というテーマを確立した小杉さん。まずは動いてみて、その中でより自分がやりたい方向性を模索しながら自分らしさを確立していくというやり方、ぜひ見習いたいですね。

撮影/山田真由美
取材・文/永瀬紀子

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