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介護・看護・リハビリ 2020-04-23

入居前から入居後まで一貫して責任を持つ介護リレーインタビューVol.3【営業小川博子さん】#1

介護業界における職種や仕事内容をより具体的にお伝えしていく本連載。第三回目は、営業職についてご紹介します。

高齢化に比例して施設の数やバリエーションが増えている昨今、お客様にとってより良いプランを案内し導く営業職は介護業界に欠かせません。今回は、首都圏を中心に、地域に根ざした介護施設をいくつも展開しているツツイグループの本部に在籍し、営業として働く小川博子さんにインタビュー。現場とは別の立場からどのような形でグループを支えているのかを伺いました。のべ4,000人以上ものお客様を担当してきたという小川さん。営業は、契約して終わりではなく、入居後のフォローまで担当すると教えてくださいました。

前編では、介護業界ならではの営業の仕事内容や必要なスキル、後編では小川さんが大切にしている営業スタイルについてご紹介していきます。

《プロフィール》

小川博子さん(47歳)…一般事務やホテルで勤務したのち、ツツイグループに営業未経験で入社。今はエリアマネージャーとして営業部のトップに立つ。

介護業界を目指したきっかけ

当時は有料老人ホームの存在も知らなかった

――介護業界に興味を持ったきっかけを教えてください。

この業界に入ったのは18年前。前職では事務やホテルの仕事をしていたのですが、転職しようと思い、求人雑誌を見ていたらハートフルケア(ツツイグループ)の求人を見つけて。正直そこで初めて有料老人ホームの存在を知ったんですね。その頃はまだ有料老人ホームの数は少なく、介護業界についても詳しく知らなかったのですが、高齢化社会の中で自分にもできることはないかなと思ったんです。

――なぜ営業職を選ばれたのですか?

営業はもちろん未経験でしたが、人と対面でお話しするのが好きだったこともありチャレンジしてみたかったんです。介護業界の営業は施設のアピールや居室販売をするんだろうなぁと、そんなざっくりしたイメージで応募しました。他にも、介護業界の営業は、人との関わりが深いことにも魅力を感じていたんです。でも、実際に働いてみて、イメージと全く違ったので衝撃を受けましたね!シニアの方に有意義な時間を過ごしていただくために、住まいだけではなく、食事や介護サービスといった生活全般のご相談にのりながら関係を築いていくことに、どんどん好奇心が沸いたことを覚えています。

現職の仕事内容&魅力

見学案内から入居後のフォローまでを一貫してサポート

《ある一日の仕事の流れ》
※その他、施設見学・入居相談・入居契約の業務が入ってくるため、随時スケジュールを調整
※毎週火曜日は本社で営業ミーティング

――では、小川さんの今の仕事内容を具体的に教えてください。

外交と呼ばれる訪問営業をしています。病院や居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、紹介会社に伺い、弊社施設の強みや特徴をアピールします。

――多いときは一日に何件回られるのですか?

7~10件ですかね。その地域に選ばれるように、時間をかけて回数を重ねて関係構築していくんです。

――施設の方でのお仕事は何ですか?

施設の見学予約が入ると、担当の施設に出向き、館内の案内やサービスの説明を行います。ご家族やご本人からお話を伺いながらご相談にお応えしています。入居申込みをいただいたら、施設のケアマネジャーや看護師と面談を設け、ご本人の身体状況や病気について詳しく確認を行います。その後の入居契約も私が担当しています。入居日当日は、施設でお客様のお出迎えをして荷物搬入のお手伝いをします。そこで改めてご本人やご家族が不安に感じていることなどがないかもう一度確認して、念のため施設の関係部署のスタッフにもケアしておきます。

――そこまで見届けるんですね。見学案内をして終わりかと思っていました!

そうなんです。最初に相談窓口になったら入居されるまで自分の方でしっかりフォローをしているんです。ちなみに、1回の見学では終わらないケースもあり、何度も見学される場合も少なくありません。その時の調整や対応も私たち営業が担当しています。

――入居してからもアフターケアなどはされるのですか?

はい、もちろんです。それもとても大事な仕事です。やはりご本人やご家族は不安を抱いて入居されるので、そういう気持ち面のフォローも心がけています。たとえば、入居してから1週間後くらいにご本人にお会いして、施設での生活に馴染んでいるかお話を伺ったり、ご様子を確認したりしているんです。また、お客様をご紹介して下さったソーシャルワーカーや居宅介護支援事業所のケアマネジャー、紹介会社さんを訪問して、お礼とあわせて「今、○○さんこんな風に過ごされていますよ」と報告することもありますよ!

――お客様を手厚くサポートしていらっしゃるんですね。営業のイメージと全然違います!

私もこの仕事に就く前は、営業ってモノを売って終わりでしょ?っていうイメージが強かったんです。しかし、今は「契約してからが始まりで、一人の人生をお預かりするような仕事」だと感じています。だからこそ、継続して責任を持つということはこの仕事の基本なんです。

――営業というよりプランナーという感じがしますね!

そうですね。やっぱりお部屋の案内というよりも、お客様のお困りごとや介護についての相談を受けることの方が大きいですね。

営業職に必要なスキル

柔軟な心と時間のマネジメント

――施設のスタッフさんとのコミュニケーションも大事になってくるのでしょうか?

担当エリアの施設の朝礼に参加し、お客様の状態はもちろん、施設の取り組みやスタッフの温度感、トラブルなどを把握するようにしています。少しの時間でも有効に使うようにしているんです。そして、ちょっと気になるスタッフがいれば声をかけて話を聞いたりしていますよ。実は2年間施設長を経験させていただいたこともあり、スタッフの表情や雰囲気には敏感なんですよね。

――施設長を経験されていたのですか! その頃の経験が今の営業に役立っていることはありますか?

施設長をしてわかったことは、介護施設は地域の医療機関、薬局、自治会、社会福祉協議会などから様々な協力を受けているということ。医療連携により施設の医療体制をサポートしていただいたり、地域交流イベントで入居者様に喜んでいただいたり、たくさんの方々の力によって施設運営が支えられていると実感したんです。だから、今は施設のサービス向上に役立てるべく、担当エリアの中で地域ネットワークを意識して営業活動をするようにしています。

――介護業界と地域は切り離せない関係なのですね。ちなみに、営業職に求められるスキルとは何でしょう?

営業は、お客様や紹介元など、相手の都合に合わせて動かなくてはならない仕事です。だからこそ時間のマネジメントはとても大事。一週間の行動予定をしっかり立てておかなければ、慢性的に忙しいという状況になってしまうからです。時間の使い方が上手な人が営業には向いていると思いますよ。

――介護業界ならではの営業職の大変なところは何ですか?

介護業界はとくに専門職の集まりなので、とにかく幅広く知識を持っていなければいけないことですね。専門的なことを一通り理解した上で噛み砕いて説明できなければ、お客様に伝えたいことが上手く伝わらなかったり、不安感を与えたりしてしまうのです。接客する上では、ご家族が悩んでいたり、ご本人が入居に抵抗を感じていたりする部分が出てくるケースがとても多いのですが、それでも真剣に向き合うということですね。相談しやすい雰囲気をつくったり、笑顔を絶やさないようにしたり。ささいなことの積み重ねでご本人やご家族と信頼関係を築いているんですよ。

――小川さんが営業活動で大事にしているのはどんなところですか?

柔軟な心と頭を持つことですね。本当に色々なご家庭がありますし、この仕事にはたくさんの方々が関わっているからです。一人で完結できる仕事ではないので、相手に合わせられるような柔軟性を持つことを大切にしています。

営業=施設のPR・個室販売のイメージを覆すお話をたくさんお聞きすることができました。小川さんは「営業」という職種ではあるけれど、入居者の方やそのご家族との関わりが非常に深いお仕事をされているようです。取材中もとくに印象的だった丁寧な言葉遣いと、人懐っこい笑顔で、きっと不安を抱くお客様の心もほぐされるのでしょうね。次回は、挫折話や小川さんの営業スタイルについてさらに深堀りしていきます!

▽#2はこちら▽
本音を吐き出してもらう。それが私の営業スタイル 介護リレーインタビューVol.3【営業小川博子さん】#2>>

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/岩田慶(fort)

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住所:東京都品川区東五反田5-25-19
電話:03-5475-5050

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