ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
介護・看護・リハビリ 2025-07-16

子どもが「できるようになる」のではなく「幸せになる」ことが目標【福祉・介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画 児童指導員 森末晋史さん】#1

業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載「福祉・介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画」。今回は、「リッツ児童デイサービス港南台」管理者・児童指導員の森末晋史さんにお話を伺います。

森末さんは、多忙を極めた建築会社での23年間にピリオドを打ち、児童指導員に転職。まったく別のフィールドへ飛び込んだ結果、こっちのほうが性に合ってるかもと感じたそう。児童指導員とはどんなお仕事なのか伺います。

お話を伺ったのは
リッツ児童デイサービス港南台
管理者・児童指導員 森末晋史さん

大学卒業後、建設会社に就職。現場監督として23年間勤務した後、放課後等デイサービスに転職。強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)終了。現在、リッツ児童デイサービス港南台の管理者・児童指導員として奮闘中。

前職よりこっちのほうが性に合ってるかも!

2012年に3,800ヶ所だった放課後等デイサービスは、2019年には13,990ヶ所に急増。

――以前は現場監督をされていたそうですね。

はい。新卒で建設会社に就職し、現場監督として23年間勤務しました。朝5時起床、帰宅はほぼ終電で、家族とほぼ会えない生活。それをなんとか変えたいと思っていたときに、兄がそれまで経営していた学習塾を放課後等デイサービスに転換。以前から子どもと関わる仕事をしたいと思っていたので転職を決めました。

――放課後等デイサービスとはどんな場所ですか。

小学校から高校に就学している発達に特性のあるお子さんが、放課後や夏休みなどの長期休暇に利用できる福祉サービスです。現在、管理者と児童指導員を兼任しています。

――児童指導員にはどうやったらなれるのですか。

児童指導員は国家資格や民間資格ではないのですが、任用資格が必要になります。自分は2年以上児童福祉事業に従事+厚生労働大臣or都道府県知事から認定という要件に該当します。

――まったく畑違いの仕事に転職されていかがでしたか。

前から子どもに携われる仕事がしたかったこともあり、こっちのほうが性に合ってるなと思いました。娘の自主保育園のイベントで山歩きの引率をしたときにとても楽しかった経験を思い出しましたね。

子どもの状態を見ながら職員一同アイデアを出し合う

解放感のある広々とした空間。

――リッツ児童デイサービスの特徴を教えてください。

公認心理師・臨床発達心理師の方と共同開発したリッツプログラムを軸に、子どもたちの成長のお手伝いをしています。

――リッツプログラムとは?

認知トレーニング、身体トレーニング、学習習慣トレーニング、課外学習のプログラムをらせん状に組み立て、楽しみ、遊びながら自立能力を自然と身に付けていきます。お預かりのみになってしまう放課後等デイサービスも多いと聞きますが、リッツには25年以上の学習塾運営の土台があります。

――例えば学習習慣トレーニングではどんなことをするのですか。

学ぶスピードがゆっくりだったり、学んだことが抜けてしまう子が多いので、学校の進捗に合わせて進むというよりは、その子の状況に合わせた学習プリントで課題に取り組んでいます。認知トレーニングでは、覚える、見つける、数えるなどゲーム感覚で楽しみながら学習面での基礎の土台作りを行います。

――身体トレーニングでは?

バランスボールなど体幹トレーニングで自分の体の状態をきちんと掴むトレーニングをしています。飽きが来ないように楽しく参加できるように考えた運動や体操も取り入れ、体感を鍛えます。

――プログラムの内容は森末さんが組むのですか。

それぞれの子どもの状態を見ながら、職員一同アイデアを出し合って取り組んでいます。それぞれ学年が違うので縦割りになりがちですが、あの子はこんなことをやりたいのでは、これなら参加できるかも、みんな一緒に楽しめるかもと職員みんなで意見を出し合って決めています。

――学年の垣根を越えての活動なのですね。

集団活動に馴染めない子が多いのでそれを練習する意味合いもあります。

――イベントも多いそうですね。

土曜日や長期休暇には、公園へ出かけたり、お買い物や外食イベントなども行っています。外食イベントでは、各自持参した1000円の中から自分の食べたいものを注文して、その後お釣りでおやつを買いに。おやつ分のお金が残るお昼ご飯の注文の仕方、お会計、お礼を言う、電車での移動など公共ルールを身に付けることを目指しています。人の気持ちを想像するのが苦手な子も多いのでコミュニケーション能力の向上にもつながるのです。

子どもが「できるようになる」のではなく「幸せになる」ことが目標

「子どもや保護者様にはもちろん、一緒に働く仲間にも尊重する気持ちを忘れずに日々仕事をしています」

――プログラムを進める上で心がけていることはありますか。

子どもが「できるようになる」ことを目標にするのではなく、子どもが「幸せになる」ことを目標にしています

――「幸せになる」。かみ砕くとどういうことでしょうか。

プログラムを継続していけば、運動と学習に関しては必ず力がついてきます。でも学校でそれについていけない子たちがここに来ているわけで、ここでも無理にやらせてしまったらただ嫌な世界が増えてしまうだけですよね。

大事なのは、やってみるを選べること。例えば運動したくない子は、できるところまでやってみる、足だけでも動かしてみる。さらに、見学するという選択肢を持たせてあげる。「これができるようになった方がいいのでは」という支援者側の気持ちが出すぎてしまうと、その選択肢が霞んでしまうことがあると思うのです。

体調が悪いことをうまく表現できない子も多いので、サボってるなどと決めつけずに、自分の意思で参加できる選択肢を持たせてあげることが必要。それが子どもにとっての幸せだと考えています

後編では一日のタイムスケジュール、児童指導員の魅力ややりがいについてお伺いします。

撮影/森末美穂
取材・文/永瀬紀子

Check it

リッツ児童デイサービス港南台
Instagram
住所:横浜市港南区港南台3-4-35松田ビル203

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの児童指導員求人をリジョブケアで探す

株式会社リジョブでは、介護・看護・リハビリ業界に特化した「リジョブケア」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄