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ヘルスケア 2020-01-27

積極的に新しいことに取り組み、『アイム鍼灸院』を通じて鍼灸の可能性を拡張する横山奨さんのキャリアの描き方(後編)

千代田区の治療院激戦区にあって安定した経営を続ける『アイム治療院』の横山総院長。後編は、自身のキャリアや今後の展望、さらに後に続く者たちへのメッセージについて、お話を伺いました。

今、意識しているのは「できることを全部やる」です

—鍼灸師としてキャリアを築く中で、苦労してきたことはありますか? また、乗り越えた方法を教えてください。

鍼灸師は一人でやっている人が結構多いんですね。つまり、自分の中だけで完結してしまうんです。僕も普通の会社に勤めることなく開業したので、他人と一緒に仕事をするという経験をしていない。これが弱点なんです。最初の頃はそれでもいいですが、ある程度、業績が上がってくるとそうはいきません。いろんな人と関わっていかないと、お店も回らないし、経営もうまくいかないんですね。ですから、鍼灸のスキルを上げるとともに、鍼灸以外のスキルも身につけないといけないんです。そこは苦労した点ですね。

どう乗り越えたかというのは、妻の存在が大きかったです。妻は脱サラをして鍼灸師になったので、僕よりも社会経験がありました。そこで毎日宿題を出されて……(笑)。寝ている間にアイデアを思いつくこともあって、忘れないようにと枕元にメモ帳を置いたりもしていましたね。その話を知人にしたら、「松下幸之助と一緒」なんて教えてもらったのを、当時の苦労話とセットで覚えています。

そうした経験をして、今、僕が意識しているのは「できることを全部やる」ということなんです。治療が中心になるのは間違いないですけど、それ以外にも経営、人材育成、広報など、治療院を構成するファクターがいくつかあります。それらを、できるだけ全部自分でする。全部しようとすると一人ではできなくなるので、外と関わる機会が増えていきます。ちょっと矛盾していますが、ここ何年かはそういう意識で取り組んでいます。

鍼灸業界もあらゆる業界との連携が必要になる時代。もしかしたらAIとの連携もあるかもしれません

講演先のトルコにて

—反対にいうと、鍼灸師の中には他人と何かをするという意識を持たない方が多いのでしょうか?

鍼灸師には「日本鍼灸師会」という団体がありますが、会員は1万人にも満たないんです。鍼灸師自体はもっと多いはずなのに、学会に参加するのは3000人くらい。つまり、自分一人で完結して、満足をしている方が多いんだと思います。患者さんと自分との間だけで完結すると、井の中の蛙みたいになってしまって怖いなと僕は思っていますけどね。それぞれの考えなので別に構わないんですけど、社会と積極的に関わろうとか、人と一緒に何かをやっていこうとかっていう意識はないんだなとも感じています。

ただ、鍼灸だけできればいいという時代ではなくなってきているのも確かです。ですから、患者さんがどういう生活をしていて、どういう仕事をして、だからこういう治療をしましょう、みたいな関わり方をしないと、鍼灸院は成り立たないようになっていくのかなと思います。

—そうした点も踏まえて、これからの鍼灸業界をどう見ていますか?

鍼灸業界はまだまだ狭いので、いろいろな業界と関わっていくのではと考えていますし、そうなるべきと思っています。今までは医療や美容などに寄せてきましたが、例えばリラクゼーションを取り込んだりできるのかなと。とにかく、いろんなところに出ていきたいですね。

例えばですけど、鍼灸にもAI(人工知能)が活用できるのであれば、積極的に関わるべきですよね。鍼灸自体は機械ではできないと思いますが、ここまではAI、ここからは鍼灸師、というようなことで、一人の鍼灸師がするよりも患者さんにとってより良い治療を提供できるかもしれない。そういう情報をできるだけ仕入れて、当院もブラッシュアップしていきたいです。

開業が目的では駄目。明確な理念を持っている方が鍼灸師のレベルは上がるはずです

—最後に、これから鍼灸業界を目指している方へメッセージをお願いします。

まず、今のトレンドを興味がなくても押さえておくことですね。それから、仕組みを知るのがすごく大切だと思います。例えば、行政によっては起業するための助成金を出してくれたりします。開業する・しないにかかわらず、そうした世の中の仕組みを知っておくと、目の前がパッと開けたりしますね。

あと、鍼灸は開業しやすいという側面もありますが、だからといって「資格があるから安心」というような気持ちだと厳しいと思います。「世の中に貢献できる鍼灸師になりたい」とか「一緒に仕事をしたいと思ってもらえる鍼灸師の形をつくりたい」とか、そういうところにやりがいを感じた方が、結果的に鍼灸師としてのレベルが上がっていくのではないでしょうか。

開業が目的ではなく、何を成し遂げたいかを明確にした上で立ち上げること。僕も今までお話ししてきた通り、明確な考え……理念があります。それを成し遂げるためにもこれから日々精進していきます。

『アイム鍼灸院』横山総院長が伝えてくれた鍼灸師として成功するための3つの極意

1.鍼灸のスキルを上げるとともに、鍼灸以外のスキルも身につける

2.鍼灸業界は狭いので、鍼灸以外の他のさまざまな業界と関与する

3.開業を目的にするのではなく、「何を成し遂げたいか」を明確に

医療機関との連携というスタイルで実績を重ねる、『アイム治療院』の横山総院長。地に足をつけつつ、将来を見据え、新しい取り組みにも積極的です。そうした姿勢を貫くことが、これまでの概念を打ち破るような唯一無二の治療院へと進化する大きな一歩なのかもしれません。

Salon Data

アイム鍼灸院

住所:東京都千代田区神田小川町3-8 中北ビル2階
TEL:03-6273-7689
URL:https://www.salon-im.com/

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