ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
ヘルスケア 2020-10-23

【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.12】頭と骨盤の専門店 癒師の処森家 森映一さんが整体師を目指したきっかけ

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい!「ヘルスケア」のお仕事』の企画。

今回は、「頭と骨盤の専門店 癒師の処森家」オーナーであるとともに、専門スクールで整体講師として活躍する森映一さんにインタビュー。会社員時代、整体を受けてその魅力に引き込まれたという森さんが、独立を経て今のサロンの形をつくり上げるまでの道のりを教えていただきました。

教えてくれたのは…

整体師 森映一さん

新卒で入社した会社を退職し、整体業界へ転身。32歳で整体の専門スクールを卒業し、リラクゼーションサロン2店舗で経験を積んだのち、2012年に独立。横浜市の日吉にリラクゼーションと体質改善を目指す整体サロン「癒しの処 森家」を開業。2019年に2号店となる「頭と骨盤の専門店 癒師の処森家」を開業し、2020年に日吉店と統合。現在はスタッフ9名体制で営業中。母校である「YMCメディカルトレーナーズスクール」の整体講師、国際ホリスティックセラピー協会認定講師としても活動中。リフレクソロジスト、リラクゼーションセラピスト、アロマセラピストなどの資格を持つ。

脱サラしてこの業界に飛び込みました

――まず、森さんが整体師を目指したきっかっけを教えてください。

実は新卒から会社勤めをしていたんです。仕事が大好きだったのでオン・オフ関わらずずっと仕事に打ち込んでいまして…。気づかないうちに疲れが溜まっていたんでしょうね。整体に通うようになって、スタッフさんに色々と相談するうちに心身ともにすごく楽になっていったんですよ。それで、すっかり整体師の仕事に魅せられて、今度は自分が頑張っている人たちを癒す側になりたいなと。そこから脱サラして専門学校に入ったという流れです。

――大胆なキャリアチェンジですが、周囲はどのような反応でしたか?

誰にも相談しませんでした(笑)。優良企業に勤めていたので、特に両親は僕が安定した人生を送っているとばかり思っていたでしょうね。専門学校を卒業して整体師になり、独立開業するという段階で、物件の保証人が必要になったんです。そのときにはじめて両親に打ち明けました。「脱サラして開業するので物件の保証人にサインしてください」と(笑)。僕、昔から両親を驚かせることが多かったので、向こうも慣れていたんだと思います。諸々のことが済んで、無事に独立開業をしてスタートを切ったのが今から10年くらい前ですね。

――ちなみに、整体の業界で学んでみて、苦労されたことはありますか?

学校に通っていた頃は、僕は技術を覚えるのが得意ではなかったので、周りと比べて時間がかかりました。一斉の声で始めても僕だけできていない…ということもたくさん。だからものすごく勉強しましたね。クラスメイトにお願いして練習台になってもらったり。一方で、解剖学や生理学、心理学などの学科は苦労しませんでした。僕は昔からちょっぴり健康オタクなところがあったし、ずっとスポーツをやっていたので理解が早かったと思います。

――森さんと同じように途中で整体師を目指す人も結構いらしたのですか?

いますいます! ちなみに、僕は今、専門スクールの講師を勤めているのですが、10〜20代の若い学生さんもいれば、50〜60代の人だって同じ教室にいるんです。セカンドキャリアとしてこの業界を選んだという人、僕のように一念発起して脱サラして来た人など、混在していますね。実際、年齢・キャリア・性別・体格は関係ない業界だと思います。

――いつ頃から独立を考えていたのですか?

会社員だった頃から何かしらの分野で独立したいなという気持ちはあったんです。両親が自営業だったこともおそらく影響していて、手に職をつけたいなと。自分ができそうなものは何かを考えたときにやっぱり健康産業だなと思いました。だから、整体師になったときには、独立・開業を前提としていました。

お店が潰れると思ったことは100回くらい

――「森家」さんのコンセプトを教えてください!

「整体をもっと身近に」ですね。語弊を恐れずに言うと、整体をカジュアルに使ってもらいたいなと。病院に行くほどではないけど何か調子悪いな…とか、病院に行って異常はなかったんだけど症状はあるとか、そういう人たちが行き着ける場所があったらいいなと思ったんです。あとは、「歩き疲れたときのベンチのような存在」でありたいとずっと思っています。ちょっとひと休みをして、また頑張ろうと思えるようなお店にしたいですね。

――店名にもそのような想いが込められているんですよね。

癒しの場所になるような、まるで我が家のようにほっとできる環境でお迎えしたいと思って「森家」と名付けました。それは、うちのスタッフに対しても同じで、家族のように責任を持てる関係でありたいという考えも含んでいるんです。この店でスタッフをどれだけ幸せにできるかということは僕がいつも課題にしていることなので。

――お客さんにもスタッフさんにも愛情を感じますね。ちなみに、開業してから苦労されたことはありますか?

最初に開業したのが同じ横浜の日吉店だったのですが(8年目に綱島店と統合)、オープンしてからの3年間で、売り上げが悪くて潰れるなと思ったことは100回くらいありました(笑)。

お客様には本当に助けてもらいましたね。閉店の危機を感じる度に、お客様にセールスして来店頻度を増やしてもらったり、紹介してもらったり…。この業界って、オープンして1年目で7割が潰れ、残った3割のうちの半分が2年目で潰れ、3年目でようやく安定してくるというような閉店率なんですよ。売上げが悪くて閉店するのは3年未満、3年保てばこの先も何とかやっていけると言われているんです。僕も3年過ぎたあたりから、セミナーの依頼が来たり、講師の話をいただいたりしましたね。そういう実績もあいまって顧客数も安定してきた感じがします。

――お客さんにリピートしてもらうために工夫されていたことは何ですか?

お客様の体に対してこちらが感じたことをフィードバックすることを徹底していました。あとは、「疲れないために来るのはいかがでしょうか」という促し方に変えたことです。ほとんどの人が疲れたときに来店すると思うのですが、疲れる前に体に良いことをして、その状態をキープすれば、自然治癒力も手伝って高いパフォーマンスで生活できますよね。そういう提案をしていたら、だんだんとお客様の方から「次はいつ来たら良いの?」と聞かれるようになったんです。僕は、「今の状態だったら2週間は大丈夫だと思いますよ。また来店したときに様子をみてみましょう」という感じに、人それぞれ来店の目安をお伝えしていました。

――セールスからいつしか信頼関係に変わっていったのですね。お客さんから言われて嬉しかったことなどを教えてください!

指名をしてもらえるときですね。「今日、森さんの予約が取れなかったら困るところだった」とか、僕がいて良かったと言われるとやっぱりモチベーションが上がります!

特に思い入れがあるエピソードは、妊婦さんとの出会いですね。不妊治療をされていた方なんですが、体に良いことを色々と試されている中で、整体に来てくれたんです。脚を触るとすごく冷えていて、むくみもひどかったので、整体にリフレクソロジーを交えて冷えを解消する提案をしたりしていました。そして、2か月後くらいにご懐妊されて、妊娠中は医師の許可のもとでマタニティー整体をさせていただき、無事にご出産されたんです。その方は今でも通ってくださっていて、この前もお子さんの七五三のお話などを聞かせてもらったんですよ。医療の力がほとんどなんだろうけど、それでも「あのときはありがとうございました」と言われると感極まりますね。

――森さんの一日のタイムスケジュールを教えてください。

勢い良く整体業界へ飛び込んだ森さんですが、何度も閉店の危機に直面しながらも、店名に込めた想いを貫いてきたようです。その場の施術だけでなく、生活までを含めた提案をすることがリピートにつながるポイントなのですね。次回は、森さんが整体師として大事にしていることや、今後の目標をお届けします!

▽#2はこちら▽
【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.12】頭と骨盤の専門店 癒師の処森家 森映一さんが語る整体師の魅力>>

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/石原麻里絵(fort)

Information

頭と骨盤の専門店 癒師の処森家

住所:神奈川県横浜市港北区綱島西3-6-21 三枝ビル2F
TEL:070-1356-0330
Instagram:@morike.tunashima

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事