【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.12】頭と骨盤の専門店 癒師の処森家 森映一さんが語る整体師の魅力
「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい!「ヘルスケア」のお仕事』の企画。
脱サラして整体師へ転身、そして独立した現在、「頭と骨盤の専門店 癒師の処森家」のオーナーを務める森映一さん。前回は整体師を目指したきっかけや独立までの経緯などについて教えていただきました。今回は、整体師の魅力や、この仕事を続ける上で大切なことを語っていただきました。
僕にとってはお客様は神様です
――「森家」さんにはどのようなお客さんがよく来店されるのですか?
幅広いですが、多いのはデスクワークをしている方ですね。男女比は7:3で女性の方が多い印象です。年齢でいうと20代がここ最近目立ってきましたね。もともとは30~40代の方が大半だったのですが、テレワークが増えたからなのか、20代も同じくらい増えてきました!
地域の方にもよく利用していただいていますよ。近所の飲食店のスタッフさんが来店される際にはDMなどを持参いただいて(笑)、うちの待合スペースに並べさせてもらっているんです。
――「森家」さんはスタッフさんが9名と大所帯ですよね。スタッフさんへの向き合い方で気をつけていることはありますか?
ベッドメイクやお茶の出し方などに関してはお店の統一ルールがありますが、基本的にはマニュアルなどはありません。僕がオーナーではあるけれど、人生経験やバッグボーンはスタッフそれぞれが持っているので、上下の関係ではなくて、横一線でみんなに敬意を持って接するようにしています。危ない手技や法律上お客様に行なってはいけないことなど、最低限のことを守ってもらえばあとは自由なんです。パートナーとしてお店を良くするために力を貸してください! という感じですね。
――森さんがこの仕事をする上で大事にしていることは何ですか?
僕個人の考えとしては、人の役に立ちたいという気持ちをどれだけ体現できるかということですね。いわば社会貢献です。整体師として社会のために何ができるか、いつもそれを考えています。あとは、ここで働いてくれているスタッフをどれだけ幸せにできるか、ということも重要ですね。特にわかりやすいのが給与面で、スタッフの頑張りに合ったものをきちんと支払いたいと思っています。その2つを実現することがお店の成長と成功につながると思っています。
また、実業家の松下幸之助さんの言葉を借りて、「仕事に信仰を持つ」ことも大事にしています。今の時代、「お客様は神様ではない」という考え方が主流になりつつありますよね。でも、僕にとってはお客様は神様なんです。それは別にお客様を必要以上にありがたくもてなしなさいという意味ではありません。僕らの仕事を一番認めてくれているのは、お金を払ってくれるお客様なんですよ。僕は、整体師はエンターテイナーであれと思っているんです。変化をもって人に驚きと感動を与えられる仕事だからです。こんなに素晴らしい仕事をしているのだから、他の整体師の皆さんも自分の仕事にしっかりと信仰を持つことで、この業界がもっともっと発展すると思っています。
――森さんは専門スクールの講師をされていますが、整体師に向いている人はどんな人ですか?
素直な人が向いているのだと思います。うちに小柄な女性スタッフがいますが、体の使い方がとても上手で、男性スタッフと比べても変わらないほどものすごく圧が強いんですよ(笑)。それに50代のスタッフだって活躍していますし。整体師に一番大事なことはやっぱりマインドで、素直な人が通用するのだと思います。固定観念を持っていたり、ブレーキをかけたりする人は伸び悩みしてしまいますが、「まずはやってみよう」と何でも取り組める人は伸びますね。
2030年に台湾に進出
――森さんがここまで整体師を続けてこられて、成功された理由は何だと思われますか?
人と関わることが本当に好きだったんだと思います。会社勤めをしていた頃も接客をしていましたが、「あなたじゃないとダメ」と言われる仕事に憧れがあったんです。人の話を聞いて、受容して、共感する、ということが苦ではなかったことが、整体師に向いていたんだと思います。
成功したかどうかはまだ道半ばですが、目標の一つにしていた「人を雇ってお店を開く」ことに関してはここまで順調に進んでいますね。今日までの成功と言うならば、スタッフと一緒にここまで来られたことでしょうか。
――今後の目標はありますか?
整体師になろうと決めたときからの夢なのですが、台湾に進出するつもりです。むしろ、台湾に進出したいからこの仕事を選んだと言うべきかもしれません。
――なぜ台湾なのですか?
台湾が好きなんです。2011年の震災の頃から、日本に「頑張れ」ってメッセージを送ってくれていたんですよ。それまでは日本に近い国という認識しかなかったのですが、現地に行ったときに、カタコトの日本語で一生懸命に伝えてくれたり、親切にしてくれたり、台湾の人たちがすごく日本を想ってくれていることを肌で感じたんです。台湾にとって日本はお友達なんだなって。だから、その国のために何かできたらいいなと思ったんです。
2030年に森家が台湾に進出するために3つの目標を掲げていて、1つ目が多店舗展開をしてブランディングをすること。2つ目が後進の育成です。僕、この仕事を10年ほどやってきて一度も「仕事に行きたくない」と思ったことがないんですよ(笑)。こうして整体師になってとても幸せな人生を送れているので、この仕事の素晴らしさを伝えて、それで育った後輩たちがこの業界を盛り上げてくれると良いですよね。僕が講師活動をしているのもそういう考えがあってのことなんです。そして3つ目が社会貢献です。僕らの仕事はエンターテイメントだと思っていますが、エンターテイメントって平和の上にしか成り立たない産業ですよね。だから、地域で何かあったときに積極的に関わろうと思って。それが労働力なのか金銭なのかはその時々によると思いますが、地域が平和であれば僕らの産業も成り立つので。その3つを達成して台湾に進出します。
――日本で「台湾式」という言葉をよく耳にしますが、台湾で「日本式」と親しまれるのも面白いですね!
実は「整体」って言葉は日本生まれなんですよ。台湾に進出した暁には、向こうの技術を日本に持ち帰って、逆に日本の技術とおもてなしを向こうに持って行きたいですね。もちろん森家の一員としてね。そうやって双方の交流の架け橋になれたらいいですね。
「あなたじゃなきゃダメ」=整体師の仕事、というお考えがとても素敵でした。リモートが浸透した今の時代、気軽に立ち寄れる整体、そして「おかえり」と迎え入れてくるようなあたたかい空間が必要です。「森家」はまさにそんなサロンなんですね。次回は、いよいよ森さんの手技&技法をご紹介します。
▽#3はこちら▽
【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.12】頭と骨盤の専門店 癒師の処森家 森映一さん流! リラクゼーションの手技&技法とは?>>
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/石原麻里絵(fort)
教えてくれたのは…
整体師 森映一さん
新卒で入社した会社を退職し、整体業界へ転身。32歳で整体の専門スクールを卒業し、リラクゼーションサロン2店舗で経験を積んだのち、2012年に独立。横浜市の日吉にリラクゼーションと体質改善を目指す整体サロン「癒しの処 森家」を開業。2019年に2号店となる「頭と骨盤の専門店 癒師の処森家」を開業し、2020年に日吉店と統合。現在はスタッフ9名体制で営業中。母校である「YMCメディカルトレーナーズスクール」の整体講師、国際ホリスティックセラピー協会認定講師としても活動中。リフレクソロジスト、リラクゼーションセラピスト、アロマセラピストなどの資格を持つ。
Store Data
頭と骨盤の専門店 癒師の処森家
住所:神奈川県横浜市港北区綱島西3-6-21 三枝ビル2F
TEL:070-1356-0330
Instagram:@morike.tunashima