【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.27】ぜんき整体院 石井謙蔵さんが語る、整体師のお仕事の魅力
ヘルスケア業界のさまざまな職種にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。
前回に続き、「経絡内臓整体」を掲げ、施術とスクール指導を行っている、「ぜんき整体院」の石井謙蔵さんにフォーカス。働き方の変化からメンタルの不調が増えていることに危機感を覚え、内臓から体が壊れていくと気付いて整体師を目指すことになった石井さん。今回は、そんな石井さんが感じている、整体師という仕事の魅力をお伺いします。
お話を伺ったのは…
ぜんき整体院/ぜんき整体スクール
代表 石井謙蔵さん
大手ITメーカーに15年勤めた後、整体術および東洋医学古典理論、経絡治療、指圧を学び、市川派剛柔流空手道を礎に、2005年「ぜんき整体院」を開院。2006年には整体スクールを開校。知的生産型の現代社会に通用する、内臓整体整体術を広めている。
お客様自身でも気づかない「未病」を見つけて正すことが仕事
―石井さんが感じる、お仕事の魅力は何ですか?
お客様が元気になって、本来自分がしたいことができるようになるのが嬉しいです。自分もそうだったんですが、仕事などに没頭していると、自分が疲れているということがわからなくなってしまうんですよね。
そこに気づいていただいて、元の状態に戻してあげて、より良く生活できるようにするっていうのが、僕たちの仕事だと思いますし、やっていて面白くて楽しいところです。
―自分の不調に気づかれていない方は多いですか?
すごく多いですね。例えば、肩が痛い、腰が痛いって言っても、根本の原因はその部位ではなかったりします。それこそ、メンタルの部分が原因になっていることも、非常に多いです。
とくに仕事が立て込んでいたり、やりがいを感じていたりすると、寝食を忘れて没頭したりするでしょう。そうしている間はよくても、ひと段落した途端、具合が悪くなったりする。それって、見えていなかっただけ、気づいていなかっただけで、もっと前から不調が起きているんです。でも、自分では気づけない。
それを東洋医学では「未病」と言うんですが、未病を探してあげることが、僕たちの仕事なんです。自分では気づけないくらいの不調を、より健康に近いところで発見して正してあげる。そうすることで、大事に至らないように導いていく。
そこを突き詰めていくのが、僕としては仕事の楽しさにもつながっています。
身体、知識、技を正しく習得しなければ意味がない
―整体師を目指している方に、アドバイスをお願いします。整体師に必要な素質とは、何だと思いますか?
学び続ける姿勢と、いい意味での謙虚さですかね。真摯に、患者さん1人1人に向き合うことを大前提に、忘れずにやっていって欲しいです。
あとは、プロ意識が持てるか。優しさ一辺倒では、たぶん開業したらつぶれちゃうと思うので…。例えば、「腰が痛いから腰をもんでくれ」と言われたから腰をもむのではダメで。根本の原因が別の場所にあるのなら、何を言われようと自信を持って、そこを施術できるという気持ちの強さも必要だと思います。
その自信、自分としての軸を持つためにも、正しく勉強して、正しく実践をしていくことが大切だと思います。僕の場合は東洋医学がベースですが、例えばカイロの人だったらカイロプラクティックの理論のなかで、正しいものってあると思うんです。その真髄というか、基礎になるもの。そういうものを徹底的に勉強できるかって、すごく重要です。
―主体的に勉強できるか。
そう。勉強の途中で、いろんなことを習いたくなっちゃう人っているんです。そういう人って「どこに行っても全然上達しない」と言うんですけど、それって主体的にやっていないからなんですよね。
「誰かが神がかり的な素晴らしい技を教えてくれる」と思っていたら、それは違うと僕は思います。技術って、能動的に主体的に、自分で勉強して、初めて身につくものですから。
あとは、「お客様をどうしてあげたいのか」ですよね。慰安のレベルで術を施そうと思ったら、そういう技しか覚えられないです。それでは、僕は面白くないと思っちゃう(笑)。根本的な改善につながる技を追求していけば、自ずと勉強し続けることになりますから。
―では、今後の展望を教えてください。
理想としては、お客様自身が、自分で未病に気づけるようになって、自分で自分を整体できるようになるといいなと思うんです。
今は整体院、スクール、気功教室などもしているんですが、全部ひっくるめて「整体の塾」みたいなことができたらいいなと思っています。そうすると、整体を受けるだけじゃなくて、自分で健康になっていけるじゃないですか。
そのための知識や技を広めるために、僕たちの未病の見立て方をまとめた本なども出しています。ダウンロードもできるので、ぜひ見てみて欲しいです。(『からだからのサインがわかる本』)
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石井さんは、「整体師の仕事は、お客様が気づいていない不調まで見極めること」と言います。そして、そのために必要なのが、技を追求し続けること、正しく学ぶことだと教えてくださいました。次回は、そんな石井さんが追求したどり着いた「経絡内臓整体」の手技。技術について教えていただきます。
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取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代