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特集・コラム 2021-10-12

サービス提供責任者と管理者のお仕事の違いとは? それぞれの資格要件を紹介

訪問介護事業所でホームヘルパーとして仕事をしていると、事業所内で「サービス提供責任者」が訪問先へ同行してくれることがあります。

事業所内には「管理者」もいますが、このふたつには一体どんな違いがあるのでしょうか。今回は、サービス提供責任者と管理者の仕事の違いや資格要件について解説します。

サービス提供責任者と管理者のお仕事の違いとは?

2000年から介護保険がはじまり、訪問介護は年々ニーズが高まっているのが現状です。訪問介護事業所には、「管理者」「サービス提供責任者(サ責)」の設置が法的に義務づけられています。ここでは、このふたつの仕事の違いについて見ていきましょう。

サービス提供責任者の業務とは|利用者の対応や支援など

現在ホームヘルパーとして働いている人のなかには、キャリアアップを目指して管理者やサ責を目指している人もいるでしょう。ここでは、サ責の業務について解説します。

1. 調整業務|利用者の申し込みや相談など

訪問介護を利用したい利用者はケアマネジャーに依頼し、ケアマネジャーは訪問介護事業所へ仕事の依頼をします。そのときにサービス提供責任者が依頼を受けるのです。サ責は対応可能か判断し、ヘルパーの日程を調整します。

また、すでに訪問介護を受けている利用者は、仕事内容や担当ヘルパーの対応について相談がある場合に、サービス提供責任者に相談することもあるでしょう。

2. 訪問介護計画書やサービス提供手順書の作成

利用者との契約が終わると、サ責はケアマネジャーから居宅介護計画書を受け取り、居宅介護計画書をもとに訪問介護計画書を作成します。

訪問介護計画書とは、利用者が自宅で家庭生活するのに困っていることや助けが必要な点を書き出し、ヘルパーがどのようにサポートし自宅での生活を改善できるかを計画する書類です。

また、サービス提供手順書の作成も業務のひとつ。サービス提供時間内に、なにをどのような手順でどれくらいの時間をかけておこなうかを記載します。サービス提供手順書があるからこそ、どのヘルパーが訪問しても同じサービスを受けることが可能です。

3. 訪問介護員の支援や指導

サービス提供責任者は、新しく訪問するヘルパーに同行し、作業のこまかい内容を伝えます。利用者の健康状態や障害の状態や認知症の状態を伝え、適切なサポートがおこなえるように指導するのが目的です。

具体的には、接客や倫理などについて指導します。サービス提供責任者が適切なアドバイスや指導をするので、ヘルパーは安心して仕事ができ、スキルアップにもつながるでしょう。

管理者の業務とは|介護サービスの品質管理やスタッフの管理など

一方で訪問介護の管理者は、どのような仕事をするのでしょうか。ここでは、管理者の業務について解説します。

1. 介護サービスのチェック

管理者は、利用者への介護サービスの質をチェックします。ケアマネジャーの計画どおり、介護サービスが提供されているかどうかを確認。その後、問題がある場合はヘルパーと話し合って改善をうながし、質を高めていくという流れです。

管理者がサービスの質をチェックすることで、事業所は全体として質の高い介護をおこなうことができます。

2. スタッフの調整・労務管理

管理者は急なシフト変更に対応します。介護保険法で定められている人員基準が守られているかどうかを見守るのも、業務のひとつです。

利用者が増えれば増えるほど、ヘルパーの管理はむずかしくなります。管理者は利用者やヘルパー全体を見守り、適切に業務が運営されているか管理するのも仕事です。

3. 事業所の経営|収支の管理

事業所の運営を続けていくためには、収支を管理しなければなりません。管理者は介護報酬がどれほどあり、人件費や交通費を含めた費用全体がどれほど支払われているかも管理する必要があるからです。

収支を管理することで、事業所の経営の安定を見守っています。

サービス提供責任者と管理者の配置基準とは

介護保険法では、訪問介護事業所ごとにサービス提供責任者と管理者の配置が義務付けられていますが、同じ配置基準ではありません。

また、配置基準は都道府県によって異なる場合があります。ここでは東京都を例に、サービス提供責任者と管理者の配置基準を紹介します。

サービス提供責任者の配置基準とは

サービス提供責任者は事業所に1人以上必要です。前3カ月平均の利用者が40人を超えるごとに1名追加します。

また、サ責は常勤職員で訪問介護に従事していなければなりません。事業所に有料老人ホームが併設されている場合でも、有料老人ホームの仕事を兼務することはできないということを覚えておきましょう。

管理者の配置基準とは

管理者は常勤職員で、訪問介護事業所の管理に従事する1名が必要です。サービス提供責任者とは違い、管理者の資格要件はありません。

だれでも管理者になることができますが、業務は多岐におよぶため、適任者を選んで配置します。

サービス提供責任者と管理者は兼務できるの?

サ責と管理者を兼務することは可能です。東京都(2021年4月時点)の場合、管理者がサービス提供責任者を兼務するということは差し支えないと書かれています。

管理者とサービス提供責任者を兼任すれば、人件費を抑えることができるでしょう。

サービス提供責任者と管理者の資格要件を紹介

ヘルパーとして経験を積んで、サービス提供責任者や管理者を目指している人もいるでしょう。ですが、サービス提供責任者と管理者の資格要件は異なります。

ヘルパーとしてより責任を担い、事業所内で活躍するために、どうしたらサービス提供責任者や管理者になれるでしょうか。ここでは、それぞれの資格要件についてご紹介します。

「サービス提供責任者」「管理者」という資格はない

訪問介護事業所でヘルパーとして仕事をする場合、初任者研修(旧ホームヘルパー2級)課程を修了している必要があります。

これと同じように、サービス提供責任者や管理者という資格を試験などで取得して役職になるというものではありません。介護保険法や、それぞれの自治体の条例にもとづく要件を満たすことでなることができます。

サービス提供責任者の主な資格要件とは?

サービス提供責任者になるには、訪問介護事業所で常勤として働くことが条件です。加えて、介護福祉士や介護職員実務者研修修了者、旧介護職員基礎研修修了者、旧ホームヘルパー1級課程修了者のいずれかの資格が必要となります。

経験があっても、介護職員初任者研修修了者や旧ホームヘルパー2級課程修了者がサ責になることはできません。

1. 介護福祉士の資格を持っている

介護福祉士とは、国家資格のひとつです。国に指定された養成施設や福祉系高校を卒業するか、実務者研修を修了して3年以上の経験を積むことで受験資格を満たすことができます。

2. 実務者研修を修了している

福祉系の学校を出ずに、経験を積んで介護福祉士になる場合、必要となる資格です。資格取得のための学習時間は20科目450時間。「介護の基本」「認知症の理解」「医療的ケア」などの科目を学びます。

「医療的ケア」では、より重度の利用者を介護するために必要な知識や技術を学ぶことができます。

3. (旧課程)ホームヘルパー1級を修了している

ホームヘルパー1級は、現在は廃止されているため、取得することができません。

しかし、すでにホームヘルパー1級課程を修了している人は、サービス提供責任者になることができます。資格を活かしてキャリアアップすることができるでしょう。

管理者の資格要件とは?

管理者の資格要件はないため、だれでもなることができます。しかし、管理者の仕事には介護サービスの質をチェックしたり、ヘルパーのスケジュールを調整したり、事業所の経営にも携わる仕事です。

業務の内容から、介護福祉士やケアマネジャーの資格を持っていることをおすすめします。福祉の知識や経験を持っているなら、管理者として質の高い業務をおこなえるでしょう。

サービス提供責任者と管理者は兼務可能!

サービス提供責任者は現場の責任者として訪問介護員を研修・指導する業務をおこないます。求人情報でもよく載っている職種です。一方管理者は、訪問介護事業所全体を見守り、事業所の安定を図る仕事となっています。

スキルアップして、サービス提供責任者や管理者を目指してみてはいかがでしょうか。ゆくゆくはサービス提供責任者と管理者を兼務し、事業所としてなくてはならない存在になれるかもしれませんよ。

引用元:
条例・規則・要領 対照表(指定居宅サービス等 令和3年4月改正版)
厚生労働省 ページ4:介護福祉士の概要について
日本ホームヘルパー協会 実務者研修 (介護福祉士実務者研修)
公共財団法人 東京都福祉保健財団 東京都介護支援専門員(ケアマネジャー)

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