手指・腕・協調運動に効果的! 紙コップを使ったゲーム【介護レクリエーションvol.29】
現場で役立つレクリエーションのアイディアをご紹介する「介護レクリエーション」。今回は、紙コップを使って遊ぶゲームレクリエーションを、レクリエーション・インストラクターの大野孝徳さんに教えていただきます。
「今回は『紙コップシュート』と『紙コップ投げ』というレクリエーションをご紹介します。『紙コップシュート』は、ダンボール箱の中に並べた紙コップに、カラーボールを投げ入れるゲーム。ボールを握る・投げる動作が必要となります」(大野さん)
では『紙コップ投げ』は?
「『紙コップ投げ』は、床に配置した的の上に紙コップを乗せるように投げるゲーム。こちらも『紙コップシュート』同様、紙コップを握る・投げる動作が必要となります」(大野さん)
それでは『紙コップシュート』と『紙コップ投げ』を行うことによって期待できる身体面と精神面の効果とは?
「どちらも手指・腕の運動になることに加え、協調運動にも効果的です。精神面の効果としては『紙コップシュート』は集中力の向上や、達成感を得る、競争心を養う効果が期待できます。一方の『紙コップ投げ』は、思考力の向上、創意工夫、他者との交流、気分転換にぴったりのゲームです」
それでは早速、『紙コップシュート』と『紙コップ投げ』の遊び方をご紹介。
紙コップシュート
【対象者】ボールを投げる・落とす動作ができる方
【レクの目的】手指・腕・協調運動、集中力の向上、達成感を得る、競争心を養う
【人数】6人程度〜
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】100cm×50cm×10cm程度のダンボール箱(お菓子の箱でも代用可)1箱、紙コップ40〜50個、2色のカラーボール(1人あたり5個用意。6人で行う場合は、赤のカラーボール15個、青のカラーボール15個など)、参加者が使用する椅子、記録用のホワイトボードなど
【制限時間】5分〜
【レクリエーションの内容】ダンボール箱の中に並べた紙コップに、カラーボールを投げ入れるゲームです。
レクを始める前の準備
・スタッフはダンボール箱の中に隙間なく紙コップを並べ、あらかじめ2個の紙コップに各チームのカラーボールを1個ずつ入れておきましょう。
遊び方
1. 参加者を同じ人数になるように2チームに分け、チームの人が交互になるように輪になって座ります。プレーは対角線上に座っている相手チームの人と対戦形式で行います。
2. スタッフは最初の対戦者にチームカラーのボールを5個ずつ渡しましょう。参加者はスタッフの「よーいドン」の合図が聞こえたら、箱に向かってカラーボールを投げます。全てのボールを投げ、紙コップに入ったボールの数が多かった人の勝ちとなります。スタッフはホワイトボードなどに勝敗を記録しておき、参加者が投げたボールを回収しましょう。
3. 2番目以降の人も2を行い、最初の人と同様に対戦します。全員の対戦が終わり、最終的に勝ち星が多かったチームの勝ちとなります。
進め方のコツ
・各チームのカラーボールをあらかじめ紙コップに1個ずつ入れておくことで、カラーボールが紙コップに入った時のイメージがつかみやすくなります。また、参加者が投げたボールが当たり、入りやすくなる効果も。
・カラーボールの代わりにテニスボールやピンポン球を使ってもOK。カラーボールよりもバウンドしやすいため、力があまり入らない参加者も一緒に楽しむことができます。
・参加者がゲームに慣れてきたら、紙コップごとに得点をつけ、ボールが入った紙コップの合計得点を競うゲームにアレンジしてもOK。参加者は得点の高い紙コップを狙って慎重にボールを投げるようになり、よりゲームが盛り上がります。その際はカラーペンなどで紙コップを得点ごとに塗り分けておきましょう。
紙コップ投げ
【対象者】紙コップを持つことが出来る方
【レクの目的】手指・腕・協調運動、思考力の向上、創意工夫、他者との交流、気分転換
【人数】12人程度〜
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】1チームの人数分の紙コップ、A3サイズの紙に点数を書いた的(10点を
6枚、50点を3枚、100点を1枚)、参加者が使用する椅子、記録用のホワイトボードなど
【制限時間】5分〜
【レクリエーションの内容】床に配置した的の上に紙コップを投げるゲームです。どうすればまっすぐ遠くまで紙コップを投げることができるかを考えることで参加者の思考力向上にもつながります。
レクを始める前の準備
・スタッフはA3サイズの紙に点数を書き、ゲームで使用する的を作りましょう。「10点」と書かれた的を6枚、「50点」を3枚、「100点」を1枚作ります。
遊び方
1. 参加者を同じ人数になるように2チームに分けます。ゲームの先行と後攻を決め、まずは先行チームが輪になって座りましょう。スタッフは参加者から近い位置に点数の低い的(10点)、遠い位置に点数の高い的(100点)を配置しましょう。スタッフは先行チーム全員に紙コップを1個ずつ渡します。
2.スタッフの「よーいドン」の合図が聞こえたら、先行チームは的に向かって紙コップを同時に投げます。スタッフは紙コップが乗った的の点数を足し、合計をホワイトボードなどに記録しましょう。記録後、紙コップを拾って後攻チームに渡しましょう。
※紙コップが的に全く触れなかった場合は、点数に加算されないので注意しましょう。
3. 後攻チームも2を行い、より合計得点が高かったチームの勝ちとなります。
進め方のコツ
・「的の上でコップが立ったら的の点数を倍にする」といったルールを加えると、高得点を狙って投げ方を工夫する参加者が現れ、さらにゲーム性が高まります。
・チーム戦ではなく、自分の名前を書いた紙コップを投げて得点を競う個人戦に変更してもOK。参加者に合わせて柔軟にアレンジしながら行ってみてください。
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運動能力や判断力などに不安を感じている高齢者は、ゲームの「安全」がきちんと確保されて初めて安心してレクリエーションを楽しめるようになります。そのため、レクリエーションに使う道具やゲームのルールは安全第一で考えることがとても大切。
今回紹介した『紙コップシュート』で使用するカラーボールなども「投げる方向に人がいないように十分注意する」「カラーボールを下投げしてもらう」など細かい部分にまで気を配り、ゲームに携わる人全員が楽しめる環境づくりに努めましょう。
イラスト:SMILES FACTORY
文:小沼奈央(レ・キャトル)
教えてくれたのは…
大野 孝徳さん
合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。