過去の経験がすべて「今」の伏線に。ヘルスコーチとして健康を広めていく活動を【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.88 ヘルスコーチ・腸活エイジングコンサルタント 齋藤真由美さん】#1
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
今回は、「薬に頼らずに健康な体を手に入れ、病気にならない体づくりを目指す」という想いのもと、ヘルスコーチ・腸活エイジングコンサルタントとして活動している齋藤真由美さんにインタビュー。ヘルスコーチは、食事やライフスタイル、ストレスマネジメントを通して、人々を健康と幸せへと導く仕事です。
なんと、過去にはスポーツインストラクターをしていた経験もあるとのこと。さまざまな経験により、現在の活動につながったと齋藤さんはいいます。前編では、過去に経験してきた職業を伺い、どのような経緯で「今」の基盤が出来上がったのか、詳しくお聞きします。
お話を伺ったのは…
ヘルスコーチ・腸活エイジングコンサルタント 齋藤真由美さん
食事や健康について興味があり、専門大学へ進学。しかし栄養士の道には進まず、スポーツインストラクターで就職。その後は、子どもを育てるために医療事務の勤務をするも、働きながら予防医療の大切さに気づき、特化した活動をするべく退職。現在は、「腸活エイジングコンサルタント」として、健康や予防医学の大切さを広めるための活動に取り組んでいる。
過去に経験した、多くの「気づき」や「違和感」によって今の活動にたどり着いた
――過去にはスポーツインストラクターをされていたと伺いました。現在に至るまでの経歴をお聞かせください。
子どもの頃から料理が好きで、食や健康に興味があったので栄養士を目指して進学しました。ですが、実際に病院などの教育実習に行ってみたら栄養士の仕事の印象がよくなかったんです。就職先に悩んでいたちょうどその頃、スポーツクラブの求人が目に入って。スポーツクラブの栄養士なら…と興味が湧き、説明会に行ってみました。
そうしたらなんと、説明会ではなく、インストラクター志望の人たちの試験会場だったんです(笑)。栄養士に進むつもりだったのが、話を聞いていたらおもしろく感じている自分がいて。流れのままに受けてみたら、あれよあれよという間に一次、二次と受かってしまい、インストラクターをすることになりました。もともと、教えることや新しいことを学んだり挑戦することが好きだったので苦痛ではなく、「とりあえずやってみよう」という感覚で始めることにしたんです。種目は当時から得意だった水泳を担当していました。
――栄養士から、インストラクターとは、まさかの展開ですね!
自分でも予想してなかったですね。それから結婚して出産を機にインストラクターは退職し、ガス会社の料理教室で栄養士の資格を活かして講師をしていました。ですがその後、離婚することになり、料理教室だけでは経済的に苦しいため、医療事務の仕事も掛け持ちすることに。子ども二人を成人するまで育てなければならないという想いで、とにかく必死でしたね。日中は料理教室、夜は医療事務と働き詰めの毎日を送っていました。
――その後は?
しばらくしてから医療事務で正社員登用の話をいただき、一本に絞ることに。料理教室は断念しました。ただ、その医療事務を経験したことが、現在の活動に繋がっていると感じています。働きながら思ったこと、考えたことがたくさんありました。
――どんな気づきだったのでしょうか?
医療事務の受付業務とはいえ、先生が記入したカルテを見て処方薬、病名、症状や経過などを把握する必要があり、患者さんと密に関わる機会が多々ありました。そこで、通院の度に薬が増えていく患者さんを見て、何となくですが徐々に違和感を感じる様になっていました。そもそも病院とは、調子が悪くなってから行くところですから、対処療法のお薬は出ても根本的な原因が改善されないので、いつまでも薬を飲み続けていることがほとんどでした。
働いている間、私は並行して健康や食に関連する項目の勉強を続けていました。調理師、フードコーディネーター、ホリスティックケア、東洋医学系。美容栄養学専門士、薬膳士など。それらを学んでいたことで当時の仕事は自分がしたいと思うものではないとハッキリ感じるようになってしまったんです。病気になってからその場しのぎの処置をするのではなく、病気になる前のサポートをしたいと思うようになりました。
メンターとの出会い。「真の健康」を広めたい一心でスクールを開設
――そのために始めたことを教えてください。
予防医学のサポートがしたいと考えながらも、その思いを具現化できる仕事があまりなくて…。
どうしようかと悩んでいたとき、石黒成治先生と出会いました。先生は消化器外科医でありながら、ヘルスコーチとして「薬に頼らない健康法」など、予防医学について発信されていて「こんなドクターが存在するなんて」と、嬉しくなったのを覚えています。
その後アポを取り、お話しする機会をいただけることに。先生も私の考えに共感し、サポートをお願いすることになりました。
このとき、確実に仕事にできる確証はなかったのですが、とにかくワクワクしたのを覚えています。病院をスパッと辞めて健康を広めるための活動をするため、起業に注力し始めました。
――石黒先生からはどんなサポートを?
例えば、集客するためにInstagramやフェイスブックなどで発信を。そういった基礎的なことから指導していただきました。活動の基盤をオンラインにしたのでSNSツールを使用した集客が必要だったんです。投稿していた内容は、食材の効能や調理法について。自分が学んだ知識や経験から日々生活するうえで参考にしてもらいやすい内容を心がけていました。自分で、実感していないとその重要性を人に伝えることって難しいですからね。自分で健康の大切さを学んで理解できているからこそ、伝えられることだと思います。
そうした投稿を重ね、先生の指導の通り、「健康スクール」を立ち上げることができて一年目にして生徒さんもついてくれました。
――ようやく想いが形になったのですね。「健康スクール」について詳しく教えてください。
一人ひとりの体に合う健康習慣を身につけてもらうためにと、始めたスクールです。基本的には自分が経験してよかった食事法や今まで学んだ健康に関する知識をもとに、日々を健康に過ごすための指導を半年間、個別やグループにて行います。
食事の指導内容は、発酵食品を取り入れた食事法や毎日の習慣づくりをメインに。余計なものをとらず、なるべく体に悪いものを入れないようにと、発酵食品や季節のものを用いた食事の重要性を伝えています。ただ、人それぞれ好みや体質に合う食材は違うのでその都度、対応してアドバイスすることも欠かさずにしています。
現代の食生活では平然と体に悪いものが入ってきてしまいます。一人でも多くの方が正しい知識を知って、健康でいるために正しい食事法を習慣化してほしいという想いを込めています。自然に歯磨きや髪を洗うように、大人になるとそういった習慣化がとても難しい。ですが、それらを当たり前にすることによって一人ひとりの健康寿命は伸ばせることをもっと広めたいですね。
――大事なのは頭でわかっていても、実践することが重要ですよね。それが難しいとは思いますが…。受講された生徒さんの反応や様子は?
そうですね。実際に半年の間サポートしているとみなさん、本当に変わっていく姿が見られます。体が変わると、自信が湧き、思考も変わる。すると、人生も変わってきます。
実際に、私も50代に入るあたりで体の衰えを実感しました。いつまでも疲れがとれず、なんとなく不調の日々。それが健康のための習慣化を実践したことで徐々に改善され始め、人生まで好転していくように感じました。自分自身で経験したからこそ、ひとりでも多くの方に実践、習慣化していただき、みんなで健康寿命を伸ばせるようにという想いを込めて活動をしています。