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ヘルスケア 2024-01-25

食薬&漢方をもっと身近に感じてほしい! 健康になりたいなら仕事にするのも一つの手段に【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.126 アイカ製薬株式会社 代表取締役社長 大久保愛さん】#2

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

今回は、「食薬」を広める活動をするアイカ製薬株式会社 代表取締役社長の大久保愛さんにインタビュー。

大久保さんは自身の幼少期の悩みがきっかけで、漢方薬について学ぶ道を選びました。薬剤師、国際中医師、国際中医美容師を取得し、「アイカ製薬」を起業。今では多くの人の健康を維持する手段として「食薬」を考案し広めています。調剤・漢方薬局の経営で西洋医学と東洋医学のそれぞれのメリットとデメリットを目の当たりにしてきた大久保さん。健康習慣を身につけるためには、食事や生活習慣などのライフスタイルや健康に対する常識の見直しが必要だと気づきます。

漢方薬の処方だけではなく、「食薬」を広めてもらう食薬アドバイザーを育てる講座を開いたり、薬局やジム、エステ、飲食店などに漢方薬を始めとした商品を卸したり、幅広い事業を展開してきた大久保さん。一体どんな想いで事業を拡大してきたのでしょうか?

お話を伺ったのは…
アイカ製薬株式会社 代表取締役社長 大久保愛さん

自身の悩み解決のために、昭和大学薬学部の生薬学・植物薬品化学研究室で生薬について学ぶ。卒業後は、漢方専門で症例数を重ね、国際中医師免許を取得。アイカ製薬株式会社(旧株式会社アイカ)を設立するほか、漢方・調剤薬局や様々な形態のサロンを経営。同時に、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人初の国際中医美容師資格を取得。現在は、起業から10年以上積み重ねてきた医療・美容業界での実績を糧に「食薬」という概念を構築し、「食薬」を広めるためのシステム作りをする傍ら、著書も複数出版するなど、漢方・「食薬」の専門家として活躍中。

「食薬」の重要性や漢方薬に親しみを持って欲しくて「アイカ製薬」を起業

栄養療法にはさまざまな流派があるのだとか。それを受けて、講座のマニュアル作りには慎重になっているんだそう。「食薬アドバイザーでは、なるべく盲点を避けられるように多角的に判断し、双方が納得できる理論を展開しています」。と大久保さん

――アイカ製薬を起業した経緯をお聞かせください。

やはり漢方や「食薬」を一般的なものとして広く認知してもらいたい気持ちから起業を決意しました。最初は漢方薬の処方がメインでしたが、始めてみたら漢方薬の認知度の低さに気がついたんです。新聞や雑誌に漢方薬の紹介を載せても記憶に残してもらえない、そもそも名前が難しい…そんな理由で敷居が高くてなかなかとっつきにくい印象だったようで。それに気づいたとき、事業を一般消費者向けから企業向けに変更することで、影響を与える範囲を広げ、同時に漢方薬や医薬品など絞ったものから「口に入るものすべて」へと範囲を広げシフトチェンジしたんです。

――どんな事業を中心に行っていますか?

一対一の相談を繰り返すことも大事ですが、様々な時代背景もあり、ヘルスケアに興味のある人は年々増加傾向にあります。そこで、自分が与える影響の規模を拡大していきたいと考えていて。その時に必要となるのが、DX化・人材育成・ファンサイトのようなプラットフォームの構築・物流管理だと考えました。

これらのデジタルとアナログを融合し開発したのが、「CrowdSalon®(クラウドサロン)」。特許も取得していて、オンラインで漢方薬や食薬について相談できるシステムになっています。具体的には心と体、さらには美容についても相談ができる専門家を見つけられるファンサイトで、日々の食事のコンサルティングや漢方薬の提案も行います。処方された漢方薬は全てこちらで手配し、面倒な配送作業をカットできるため、空いた時間に行えるところが魅力です。

あとは、「CrowdSalon®(クラウドサロン)」に伴う「食薬」の専門家の育成。「食薬」を習慣化するためのシステム・プラットフォーム作り、「食薬」を取り入れた商品開発なども行っています。

――育成のプログラム概要について詳しくお聞かせください。

「食薬アドバイザー®」資格養成では、自分や身の回りの人の健康管理ができるようになる食薬マイスター、「食薬」の指導ができる食薬アドバイザーの2種類で展開。オンライン講座が受けられるほか、食薬キットの発送をします。1年経てば、台所が変わり、それによって意識や体も変わってきます。最終的には、食事で自分自身の体調を整えられることを目指しているので、「台所が薬局のような役割」を果たせるくらいになれば良いという想いも込めています。

――具体的に身につくことを教えてください。

そのときの体の不調と季節に合わせた食材を適切に選ぶなど、「食薬」のプランニングができるようになります。漢方医学をもとにした五感を活用して体調を判断し、現代の予防医学を取り入れて食事にアウトプットする。これを繰り返していくことで「食薬」の習慣化が叶うんです。

――どんな方におすすめな資格ですか?

健康になりたいと思う方ならどなたでも。マイスターは自分や自分の身の回りの人のために、アドバイザーは「食薬」を広める人として仕事にもできます。どちらにも言えますが、自分や周りの人に元気でいてもらいたい気持ちがあればおすすめしたいです。

正しい知識を蓄えて、自分の感覚で判断できる力を身につけることが必要

――改めて「食薬」の魅力とは?

自分だけではなく、周りの人も健康になることを手助けできるところに魅力を感じます。

世の中には良いものも悪いものも溢れていますよね。​​健康的視点から食事を判断できない場合に食事を選択するポイントとなるのは、利便性や話題性があるうえにコスパ重視のもの。ただ、そういった判断を繰り返してしまうと、結果的に体に余分なものを過剰摂取してしまう可能性があるんです。

同様に気を付けている人でも、体に害となるものを避けることはできない時代です。だからこそ、解毒に働く肝臓や腸、腎臓、血管などに負担をかけないように、もしくはケアするような意識が必要となります。

欲望のまま食べたいものを優先していたら、加齢に比例する形で健康度はどうしても低くなってしまいます。そうならないための知識が「食薬」にはあると思っていて。極論を言うと、健康でいたいなら健康を追求した仕事に就いてみるのもありだと思うんです。美容も同じで、綺麗になりたいならその方面の勉強をしてみるとか、仕事にできるように動いてみるのもおすすめです。

――では、目指すと決めてから大事なことは?

地味とも思える基礎的な知識を蓄えておくこと。今、流行りと言えば何でもかんでも飛びついてしまう人って一定数いると思うんですね。見境なしに飛びついてしまうと、のちにあまり良くない方法だったり、あやふやな知見だったりでバッシングされる展開も避けられません。こういう出来事って知識がないがゆえに起きてしまうんではないかと。まずは、自分で知識を身につけてから自分で取捨選択ができると良いですよね。

――大久保さんご自身の今後の目標をお聞かせください。

会社としては、もともとシステムに力を入れたいと考えてきました。現在は新しいシステムとして、LINEを使用した漢方薬や食事の相談ができるサービスの構築に取り掛かっています。

あとは、協会ですね。今年、新しく食薬学研究会なるものを立ち上げました。今後大きくしていきたいので、会員を募って機能させていけるようにしたいです。ほかにも、本の出版、化粧品やサプリメント、漢方薬などの開発など幅広く携わらせてもらえる機会があることに感謝をしながら取り組みたいと思います。

…といろいろ身の回りの取り組みばかりになってしまいましたが、本質は自分の力で健康を維持する文化を広めること。ただ、パツパツに制限してしまうと続きませんから、コンビニでパンじゃなくておにぎりを選ぶとかそういった選択が少しずつできるようになるだけでも違うんです。「早い・安い・うまい」の選択肢の中で、少しでも健康的なものを選ぶ意識を日々重ねていく大切さを「食薬」を通じてこれからも伝えていきたいと思っています。

多くの人の「健康」を追求し、叶えるための3つの取り組み

1.多くの患者さんのデータを統計し、不足している項目とその原因を見極める

2.自分で追求した結果を日常で取り組める方法として大衆向けに落とし込む

3.一人でも多くの人が健康になるためにシステム構築にも力を入れる


取材・文/東 菜々(レ・キャトル)

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