制作者の意図をくみとって、読者に伝わりやすい言葉を選ぶ。40冊以上の著書がある身体均整師・松岡博子さん
身体均整師として23年活動してきた松岡博子さん。前編では「アピア均整院」を順調に拡大した松岡さんに、なぜそのようなことが可能になったのかをお聞きしました。「運がよかった」という松岡さんですが、身体均整法をベースにした確かな技術と、お客さまと横並びの関係を大切に、現在の地位を確立されたそうです。
後編では著書は40冊以上、雑誌掲載やテレビ出演も多数の松岡さんに、なぜそのようなことが実現できたのかを伺いました。松岡さんが何より大切にしてきたのは制作者の意図をくみとる姿勢。そのうえで、読者や視聴者が分かりやすい言葉遣いを心がけてきたそうです。
今回、お話を伺ったのは…
松岡博子さん
「アピア均整院」代表/身体均整師会副会長・代表理事/身体均整師
身体均整法学園で身体均整法を学び、卒業と同時に仲間ととともに独立。その後、高田馬場に「アピア均整院」を開業。不調を抱える人や悩みを抱える人を改善に導くことで人気を集め、現在では祖師ヶ谷大蔵に「アピア均整院ドゥ」と2店舗を構える。また、著書は「背骨の『ゆがみ』直し体操」、「ゆがみをリセット!骨盤ほぐし体操」、「15秒背骨体操で不調が治る」など40冊を超えるほか、雑誌掲載やテレビ出演も多数。
背骨の調整×セルフケアの着眼点で、初めての出版に手ごたえ
――なんと40冊以上の出版経験があるとのことで、それ以外にも雑誌やテレビなどにもよく登場されています。なぜそのようなことが可能なのでしょうか?
最初の出版がうまくいったからかなと自分では思っています。最初の本である「背骨のゆがみ直し体操」は発売直後から好調で、19年経った現在でもいまだに買ってくださる方もいらっしゃいます。その本を読んだテレビのプロデューサーさんや、雑誌の編集者さんから声がかかり、次々とメディア出演が決まっていきました。
――最初の出版のきっかけは何だったのでしょうか?
最初に独立したときに、ホームページに「均整法的6月の生き方」や「均整法的な骨盤ケア」など、その季節にあった記事を書いていて、それを読んだ編集の方が声をかけてくださったんです。最初の本は「セルフケア」という大枠だけ決まっていたので、そのなかで身体均整師である自分ができそうなことを提案しました。
ちょうど時代的に背中を整えることの大事さが話題になり始めた時期だったので、背骨を調整する体操で1冊作れないかと思ったんです。一応これは私が書いた本ですし、なかには私が考えた体操もありますが、ほとんどは身体均整法のなかにある自動操縦法という体操をベースにしたものですから、私の本というより身体均整師会の本という気持ちでいますね。
相手が求めているものや、意図をくみ取ることが重要
――出版などメディアでの発信の際にはどんなことを心がけていますか?
相手が求めているものを把握することです。編集者さんも、テレビのプロデューサーさんも、大抵こういうことを聞きたいというのが固まっているんですね。なので、その意図をきちんと確認してから提案するようにしています。また意図に添えないときはお断りしますね。
それと使う言葉にも注意しています。これはお客さまにかける言葉選びと同じですが、私たちが使う言葉と一般の方が使う言葉というのは異なります。専門用語などは使わずに、より分かりやすく、伝わりやすい言葉を選ぶようにしていますね。もう1つは企画の段階で自分の意見を出したら、あとは編集者さんやプロデューサーさんにお任せする気持ちでいることです。みなさんプロなので、いい形にしてくださいますので。
――逆にこんなことはやらないと決めていることはありますか?
ここにいらっしゃるお客さまや読者の方の信頼を裏切らないようにしています。最近ではあまりなくなりましたが、過去には「ものすごく高額な雑誌を作るので協力してほしい」とか、「『○○をやれば一発で○○が治る!』というようなわかりやすい表現を使って本を作ってほしい」というような依頼を受けたこともありました。儲けることが基準になってしまったり、誇大表現になりかねないような依頼は基本的にはお断りしています。この仕事は物を売る仕事ではなく、人との信頼関係で成り立つ仕事ですから、信頼を失わないようにしていきたいと思っています。
孤独な仕事でも、一緒に学び、進んでいけるように
――最後に今後の目標を教えてください。
個人の身体均整師としては、これからも来てくださる方とのご縁を大事にしていきたいと思っています。また身体均整師会の副会長も担っているので、その発展も目標の1つです。最近の治療家さんや整体師さんは個人で活動している方がとても多いですが、団体に所属している強みというのもあると私は思っています。
というのもこの仕事はすごく孤独な仕事だと思うんですね。お客さまと対峙したら、自分がすべての責任を負って、お客さまの悩みも痛みも全部受け止めて改善させなければいけない。自己判断と決断力が必要になってくる仕事です。でも団体に所属しているとお互いを注意しあえるし、一緒に学んでいけます。身体均整師会には会歌があって「世のため、人のため」という歌詞があります。そんな思いをベースに、これからも会の魅力を発信していきたいですね。