過度なトレーニングや制限ではなく「脳のクセ」に着目したトレーニングが人気【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.99 脳のクセなおしトレーナー 松永健吾さん】#1
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
今回は、トレーナーの松永健吾さんにインタビュー。松永さんは脳のクセに着目し、メンタルケアに重点をおいたトレーニングの指導を行っています。
松永さんが脳のクセから痩せやすい体づくりを目指すトレーニング方法を取り入れたきっかけとは? 前編では、これまでの経緯と脳のクセに着目したきっかけをお聞きします。
お話を伺ったのは…
脳のクセなおしトレーナー 松永健吾さん
北海道で教育大学在学中にスポーツクラブでアルバイトをしながら、トレーナーを志す。卒業後は介護施設のリハビリテーションで半年勤務を経験後、スポーツクラブに再就職。その後、独立を目指して業務委託を開始し、約1年ほどで独立。現在は北海道から神奈川県に移住。脳のクセなおしを軸にしたトレーニング方法を発信・指導している。
ウェブ集客で独立を実現!「脳のクセなおし」に着目したきっかけとは?
――これまでの経歴をお聞かせください。
北海道にある大学に通いながらスポーツクラブでアルバイトをしていて、指導をした際にお客様から喜ばれるのが嬉しくてこの道に進みました。
最初から独立を視野に入れ、学校卒業後もスポーツクラブでアルバイトを続けながら、業務委託契約を交わして集客から始めたんです。
その結果、次第にお客様を獲得していき、アルバイトをしなくても業務委託だけで生活できるようになったのですが、集客はクラブありきの状態。業務委託契約ですから4割はクラブに売上がいってしまい、人数をこなさないと収入が増えないという悪循環に…。
アルバイトをしなくても業務委託だけで生計は立てられていましたが、今後独立してやっていくためにはしっかりと自分の力で集客できる力がないと厳しいと感じ、SNSを使用した集客に力を入れ始めました。
――どのツールから始めたのですか?
まずはブログから。集客をするために知名度が必要と思って投稿に力を入れていたのですが、最終的に集客できるようになったのはInstagramがきっかけ。写真が必須で一定の文字数がいるブログと比べて、動画で簡単に投稿できるInstagramの方が操作しやすく、投稿頻度も自然と上がった結果、トレーニングの予約が増えていきました。
投稿していたのは、自宅でできる簡単なトレーニング動画。写真よりも動画でハウツーが見れる方が分かりやすかったのか、反響も大きかったですね。
――「脳のクセなおし」に着目したきっかけをお聞かせください。
トレーニングの他に食事指導も行っていたのですが、巷に溢れるダイエット情報を鵜呑みにしたり、他のトレーナーに過度に制限ダイエットを指導された結果、摂食障害に近い状態になっている人が多いことに気づいたんです。
改善するためには、食事やトレーニング方法よりも「考え方」「脳のクセ」「正しい知識」を知ることがまず大事だなと思い、「心」のサポートを始めようと考えていたところ、InstagramのDMへ「WINメディテーション®︎」の立ち上げ講座にたまたま誘われ、「脳のクセなおし」に興味を持ちました。
目標を達成するには、脳のクセなおしをすることが重要と気づいた
――「WINメディテーション®︎」とはなんでしょう?
WINは自己実現することを表現、メディテーションは瞑想。その二つを組み合わせて「WINメディテーション®︎」と言います。
メディテーションとは、つまり「瞑想」。何か一つ没頭できる趣味や気分転換できる選択肢をたくさん持っている人ほど、上手に気持ちをコントロールできます。ただ、それが難しい人もいますよね。そんなときに誰でもできる手段として、瞑想があるんです。
ただ初めて聞いたとき、瞑想=宗教っぽいイメージがあって興味が湧きにくかったのですが、勉強してみたら脳科学的に説明できるものだったことと、実際にアメリカでもマインドフルネスという形で瞑想に近いことが医療現場で取り入れられているとわかり、これなら安心してお客様にお伝えできると確信したので、「脳のクセなおし」と銘打ち、自分のトレーニングに取り入れることにしたんです。
――トレーニングを受ける前にコンディションを整えることも必要なのですね。まずはどんな試みを?
最初はメールマガジンで配信して脳トレへの反応を見ました。「こういう悩みはありませんか?」、「こうするといいですよ」と悩みに対しての解決方法を添えたメールが届くサービスです。無料で生活に役立つ情報をプレゼント!と謳って、登録してもらえるように考えました。
すると登録していただいた方から、ジムに興味を持ってくれる方が増え、体のトレーニングとは別に、本格的に「脳のトレーニング」としてメディテーションを取り入れることにしたんです。
――どのようなメニューなのでしょうか?
メンタルを整える「脳のクセなおしトレーニング」とし、ダイエット指導の際やカウンセリング時にメンタルからサポートすることを目的としています。
どんなにいい食事法を実践してトレーニングをしても、「とにかく我慢しなきゃ」「頑張らなければダメだ」などの考え方では失敗してしまいますから、脳のトレーニングで考え方を修正するように指導します。だいたい、トレーニングや食事管理と並行して行なっています。
――松永さんが提唱している「脳のクセなおし」の「クセ」というのは…?
何事もマイナスな感情で取り組むと挫折してしまったり、続かなくなったりしますよね。そういった環境や周りの影響で作られる、無意識的な考え方のクセがついてしまうと、どんどん成功から遠ざかり、目標を達成するのが難しくなるんです。僕は、そのクセに着目しました。
――お客様の反応はいかがですか?
やはりメンタルが整うと結果も伴ってくるようで、多くの方から「人生変わりました!」「暗闇から抜け出せそうです!」「食事が楽しくなり、家族とも同じものを食べられるようになりました!」などのお声をいただくようになりました。
ダイエットを目標にトレーニングをしているつもりですが、それよりもこの手法があるおかげで成功しやすくなるみたいで、痩せたと報告を受けるより嬉しく感じます。
加えてトレーナーとして生きていくには差別化が大事ですから、自分の強みを極めていきたいと思います。
――やはり差別化を図るというのは大事なのですね。
ないと厳しいと思いますね。さまざまなトレーナーがいる中で、自分はこれが得意だとか、特化しているところを打ち出さないと埋もれてしまう。僕はこれからも自分の信念を大事に活動を続けていきたいです。
自身で疑問に感じた問題を追求した結果、「脳のクセなおし」が大事だと気づいた松永さん。同時にトレーナーとしての武器を手に入れることの重要さをお話いただきました。後編では武器とする得意分野を磨くと良い理由、現在行っているプログラム内容や独立を目指す人へのアドバイスをお聞きします!