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ヘルスケア 2020-07-01

【先輩教えて! 独立への道筋vol.2】整体院智圭-TOMOKA- 院長 阿部 智昭さん「アクションを起こさなければ何も変わらない」

健康思考の高まりとともに注目を集める柔道整復師、鍼灸師、スポーツトレーナーといった「ヘルスケア」のお仕事。独立を考える人が多い業界でもあるよう。そんな方たちのために、すでに独立して活躍中の先輩たちに経験談やアドバイスを聞こうという当企画。開業までの経緯から、開業後のメリットや問題の対処法など、経験したからこその話をお届けします。

お話をお伺いしたのは…

整体院智圭-TOMOKA-
院長 阿部 智昭さん

学生時代に自身が腰椎椎間板ヘルニアの痛みに苦しんだ体験と、延べ2万5千人以上に上る腰痛施術の経験から、その場しのぎではない「根本的な痛みの緩和」を重視。一人ひとりにしっかりと向き合う施術を目指し、昨年(2019年)、完全予約制の腰痛専門整体院 整体院智圭-TOMOKA-を開院。丁寧なカウンセリング・施術、自宅で取り組めるセルフケア方法の指導など、地域密着型のスタイルが人気。ブログやInstagramでの情報発信にも力を入れおり、オンライン施術やコンサルティングもしている。

独立はするつもりだったけど、やっぱり勇気がいった

――まずは、これまでの経歴を教えてください。

「高校卒業後、地元岩手の鍼灸専門学校に通い、鍼灸師の資格を取得しました。その後、首都圏の方が色々な勉強会やトレンドなど学べることが多いと思い、技術的に優れていると思った埼玉の接骨院で働くことにしました。5年修行したら独立しようと考えていたんですが、マネージャーという立場的にも辞められず、結局7年間勤めました。」

――独立を決めた理由を教えてください。

「東日本大震災で過疎化している地元岩手を盛り上げたい、貢献したい、という思いがずっとあったので、独立して開業することは元々決めていたことなんです。ただ、岩手に帰るのか、ここでやるのかは迷いましたね。」

――首都圏に残って開業すると決心したのはどうしてですか?

「こっちに残って診てほしいという患者さんが多かったんです。加えて、治療業界のYouTuberなどをみていて、今、岩手に帰っても、盛り上げるだけの力はまだないなと。帰ったら甘えが出て何者にもなれない、埋もれちゃうなと思ったんですよね。まだまだ、首都圏で学べることがある。まずはここで影響力を持てるようになるまで頑張ろうと。

独立しても5年後に5%しか残らないと言われている業界ですし、先輩からも無理だと散々言われていたので、独立すると決めてはいたけど、実際に動き出すのにはすごく勇気がいりました。」

――なるほど。この辺りが開業準備期間の短さにもつながってくるのでしょうか。

「そうですね。2019年の年始に「今年こそ辞めます。」と会社には宣言していたんですけど、実際に開業準備を始めたのは8~9月でした。12月21日に開業したんですけど、本当はもう3ヶ月くらい必要だと思います。」

――開業に向けて最初にしたことは何ですか?

「エリアの特定です。人口密度や病院の数、人の動きなどを徹底的に調べました。初めはベットタウンとして人気のつくばエクスプレス沿線を考えていたんですけど、私の『腰痛専門』のように専門性を謳っている店がいくつかあったのでやめたんです。調べた結果、競合がいない、かつ『腰痛専門』の需要もある今のエリアに決めました。」

――一番大変だったことは?

「リサーチから物件探し、備品やチラシ、掲示物などまで完全に一人で準備したので、頼る人もいなくて自分との闘いで。期間も短かったしどれも大変だったんですが、あえて挙げるなら物件探しですね。最初からマンションの1室のような場所で完全予約制にしてやろうと決めてたんですけど、そういう物件がなかなかなくて。」

なるほど。見つかってよかったですね! 物件は自分の力ではどうにもならない運のような側面もありますもんね。この後は、開業後についてお聞きしていきたいと思います。

独立すれば、「やっただけ自分にダイレクトに返ってくる」

――独立で大変なことは何だと思いますか?

「やっぱり、待っているだけでは患者様は来ないということですね。そうなるとお金は入ってこないですから。シンプルですが、これが一番かと思います。」

――どのように対策されているんですか?

「東日本大震災を経験したからこそ、店舗がなくなった時でも生きていける仕組みを作らないといけないと思っていたので、HPでのリスティング、チラシや雑誌掲載での集客の他に、SNSでブランディングをして、オンラインでの集客・ビジネスができるようにしていました。おかげでコロナ自粛の影響で立ち行かなくなることもなさそうです。」

――逆に独立して実感した独立のメリットは?

「自分のやりたい手技、経営方針が貫けて、収入が上がることです。」

――自分の手技とは?

「『腰痛専門』を看板にしていますけど、肩でも膝でも同じで、痛みの原因は痛いところにはないんです。痛い場所ではなく、原因につながる別の部分からアプローチするのが僕の手技です。一人では限界はどうしてもあるので、今後は自分の技術を人に教えて、同じような技術を提供していく予定です。教えても人には個性があるから、マニュアル化は難しいとは思うんです。けど、手技のベースは統一して、自分以外でもできるような形を作ってどんどん広げていきたいと思っています。」

――経営方針とは?

「勤めていた接骨院は一人8分と時間が限られていたんですよ。でもそれだと症状の変化があった時などに対応できなかったりして。でも独立した今は、完全予約制にしたからこそ、しっかりと時間をとって話を聞いて、一人ひとりと向き合う施術ができています。」

――収入面では? コロナ自粛の影響もありましたよね?

「週休1日で勤めていた時と比べれば、全然! 既存患者のみ・週3日の施術でもあの頃よりあります。この業界ではまだやっている人が少ないインスタが伸びていることもあって、オンラインでのセルフマッサージ指導やコンサルの依頼もあり、その収入もあります。

独立を考える人って、やっぱりお金の面も大きな理由だと思うんですよね。独立すると、自分のやることがダイレクトに返ってくる。週休1日・給与で働いている時とはモチベーションが全然違います。今、不定休で営業していますけど、施術や動画配信の準備など、毎日ほぼ何かやっています。楽しくて休みなしでも全然いいくらいです。」

阿部さんの考える「独立に必要な3つのこと」

HPやSNSがなくても、ノウハウさえ押さえればビラだけでも100万円/月の売り上げも可能だと話す阿部さん。今後は、慕ってくれる後輩などから雇い始め、自分の手技や経営のノウハウを伝え、人を育てて店舗の数を増やしていきたいそう。そんな野心溢れる阿部さんに、独立において大切だと思うことを聞きました。

1.自信を持って他と差別化できる武器を持つこと

「まずは、自分に自信が持てる『自分の軸』をしっかりと持つことです。自信をもってコレ! と言える技術と話術。感動させてあげられなかったらダメなんで。極端な話、ヘタな人でも話術がよければそれだけでよくできたりすることもあるんです。常に自分に自信を持っておく。これは大事ですね。」

2.徹底的なリサーチ

「最近コンサルをしていても、地域のことを全く知らない人が結構いるんです。出したい場所は決まっているのに、そのエリアの競合店のことも調べていない人が多い。リサーチは絶対にしておかないと厳しいです。」

3.明確な目標・プランを持つこと

「惰性で終わらせないためには、目標・プランが必要です。僕の場合は、力をつけて岩手に貢献すること、勤めていた時の生活から変えたかったことですかね。今はインスタのフォロワー10万人を目指しています。」

――最後に、独立を目指す人たちへアドバイスをお願いします。

「コロナの影響は経済、特にローカルビジネスは強く出ます。しかしその中でも、この危機をチャンスに変えている人も多々います。その違いは経営者として想定していたか、いかに準備していたかだと思ってます。雇われの時は給料をもらえて当たり前けれども、独立したらそうはいきません。頼れるのは自分のみです。まず個を強くしブランディングしていくことが全てです。その上で初めて人を雇えると思います。あらゆることに対応できる準備・想像力が大事です。僕自身、週休1日の休みのために働く日々の中、何かを変えなきゃという思いが独立への原動力でもありました。アクションを起こさなければ何も変わりません。」
(整体院智圭-TOMOKA- 院長 阿部 智昭さん)

取材・文:細川光恵

Salon Data

整体院智圭-TOMOKA-

住所:埼玉県吉川市美南3-15-1 リラーモみなみ207
電話:048-940-3373
URL:https://seitai-tomoka.jp/
Instagram:@seitai_tomoka

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