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ヘルスケア 2023-07-29

ヨガとアーユルヴェーダで癒しを与え、将来的な自立までサポートしたい【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.107/ヨガインストラクター/アーユルヴェーダセラピスト 綾さん】#1

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回お話を伺ったのは、ヨガインストラクター/アーユルヴェーダセラピスト 綾さん。

2005年にヨガインストラクターとなり、スタジオレッスンを中心に活動されていた綾さん。2022年6月にヨガとアーユルヴェーダのサロンを開業し、40代以降の女性をターゲットにした施術を行なっています。
前編では、ヨガインストラクターになったきっかけや、サロンに込めた思い・コンセプト、施術の流れを伺います。

ヨガとアーユルヴェーダで
女性のためのサロンをオープン

――ヨガインストラクターになったきっかけを教えてください!

もともと派遣社員として一般企業に勤めていたのですが、みんな座りっぱなしで仕事をしていて運動不足だし、ストレスも溜まるし……ということで、ランニング部ができたんです。結構本格的に活動していて、ホノルルマラソンにも出場しました。

マラソン大会では、走った後のクールダウンにみんなでストレッチを行うのですが、ある大会では体育館に集まってヨガを行ったんです。そのヨガがすごく気持ちよくって! ヨガは呼吸を十分に意識しながらストレッチを行うので、高ぶった神経を鎮静して、より深くリラックスできるんです。これがきっかけでヨガスタジオに通うようになり、ヨガインストラクターになりたいと思うようになりました。

その後3ヶ月ほどティーチャートレーニングに通い、ヨガスタジオのオーディションを受けてインストラクターとしてデビューしました。

――ティチャートレーニングではどんなことを学んだんですか?

ヨガインストラクターは生徒さんにポーズを教えるだけでなく、精神的な面のサポートや指導も必要になってきますので、ヨガの哲学や理論など、メンタル的なことも学びました。

――なるほど、確かに必要ですよね。ちなみに2022年に今のサロンを開業されるまで、ずっとそのヨガスタジオにいらしたんですか?

はい、約16年勤めました。当初はヨガがまだ日本に定着していなかったので、インストラクターの数も少なかったのですが、2007年に長女、2010年に次女を産んで職場復帰したら、インストラクターの数がすごく増えていて……! しばらくスタジオのクラスから遠ざかっていた時期もありました。

でもこれもいい機会だと思って、自分自身の学びに力を入れることにしたんです。ヨガは「万人ができる」というのがいいところなので、万人に教えられる力をつけることが必要。元気な若者だけに向けたものではなく、シニアヨガや骨格の個性を敬った指導方法も学びましたし、自分自身の妊娠出産の経験を活かして、産前産後のお母さんに向けたヨガも学びました。

そうこうしていたら、自分のクラスをまた持てるようになりました。仕事が安定してきたのはインストラクターになって10年目ぐらいですね。

――そうだったんですね。

その頃になると、周りのインストラクターとの差別化も考えるようになりました。「これからどういう風に指導していきたいか」というのを考える上でも、得意分野を持ちたいと思ったんです。

そこで「女性のためのヨガ」を学び始めました。やはりヨガスタジオに来られる方は女性が多いので、いろいろお話を聞いていると、月経や更年期など女性ならではの症状に悩んでいる方ももちろん多かったのですが、それ以上に食生活や日常生活に悩みを抱えている方がすごく多かったんです。

となると、「ヨガ以外のアドバイスもできるようになりたい」と思うようになり、ヨガ以外にも日本古来の食べ方を教える食養生を学びました。そうこうしていると、コロナ禍になってしまって……。

――あらら……。

みんな外出を自粛するようになり、スタジオに来る生徒さんも減ったので、私が担当していたクラスも全てなくました。もちろんはじめは悲しかったのですが、徐々に「これは転機かもしれない」と思うようになったんです。

というのも、仕事をしている中で「自分の場所を持って、一人一人のお客様とじっくり向き合う働き方の方が向いているかも」と思うこともあったので、その思いを後押ししてくれた感じですね。

そこで学び始めたのがアーユルヴェーダ。ヨガとアーユルヴェーダはどちらもインド発祥のものなので、切っても切れないつながりがあるんですよ。1年間スクールに通って、施術方法はもちろん、アーユルヴェーダの考え方や理論も学びました。そこには、サロンをオープンする人に向けたビジネスクラスもあったのでそれも受講。当初、アーユルヴェーダの施術を仕事にするかどうかまでは決めていなかったものの、「せっかく学んだんだから!」という勢いもあって、サロンのオープンを決心しました。

アーユルヴェーダは
セラピストとお客さまのエネルギーの循環も大切

――どんな思いを込めてサロンをオープンしたんですか? コンセプトは?

コンセプトは、サロン名でもある「ハーモニー」。日本語で言うと「調和」ですね。私たち人間は自然の一部なので「自然との調和」、そして「心と体の調和」という意味を込め、お客さまのバランスを整えて差し上げたいという思いでオープンしました。

もちろん、「ヨガとアーユルヴェーダの調和」という意味もあります。先ほども少しお話ししたように、ヨガもアーユルヴェーダも古代インドの「ヴェーダ」という古い文献に由来するもので、どちらも5000年以上の歴史があるんですよ。そのため、ヨガをする人はアーユルヴェーダのことも少なからず学びますし、アーユルヴェーダでもヨガをすることを推奨しています。ずっと一緒に発展してきた、インドの両翼ですね。

――ちなみに組み合わせることで、実際の施術ではどういうメリットがあるんですか?

ヨガをするとすごくリラックスできますよね。その後アーユルヴェーダの施術をすることで、より効果的なアプローチができるようになります。というのも、私が行っているアーユルヴェーダの施術はエネルギーの流れをとても意識するため、セラピストとお客さまの間の「エネルギーの循環」を大事にします。お互いリラックスしていると、それがすごくスムーズに行えるんです。

でもそのためには、私自身の体を常にいいエネルギーで満たしておく必要があります。普段からヨガやアーユルヴェーダ、瞑想を行なって、調和の取れた状態をキープできるように心がけています。

ひとときの癒しだけでなく、
将来的な自立もサポート

――改めて、施術の流れを伺ってもいいですか?

1.カウンセリング(ドーシャ チェック)
2.ヨガ(希望者のみ)
3.アーユルヴェーダの施術
4.アフターカウンセリング

カウンセリングでは生活習慣などを伺い、ドーシャのチェックも行います。ドーシャとはアーユルヴェーダでいうところの「生命エネルギー」。「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」と、大きく分けて3つの種類があります。誰の中にも3つ全て存在しているのですが、そのうちのどれが優勢かによって体のつくりや症状、思考の傾向などが変わってきます。どれがベストというわけではなく、その人の生まれ持った「タイプ」のような感じなので、バランスに合わせて、体の整え方を変更します。

アフターカウンセリングでは施術の感想も伺いますが、ここに来る方にはひとときの癒しを与えるだけでなく、将来的に自分自身で自立できるようになっていただきたいと思っているので、今後のアドバイスなども行います。

――施術時に大切にしていることはありますか?

お客さまに寄り添うこと、否定しないことですね。みなさん少なからず「こうなりたい」という思いを持って来てくださっているので、それをうまく汲み取ってあげるようにしています。

あと、これは施術時の話ではないのですが、私がSNSで何かを発信する時は、できるだけ正直な気持ちや感じたことを素直に表現するようにしています。そうすることで、私の思いや考えに近い方、納得していただける方が通ってくださると思うんです。そういう方だと、サロンに滞在している時間すべてを心地よく感じていただけるはずですから。


後編では、綾さん代表的な1日の流れや、おすすめのヨガポーズ、今後の目標、未来のヨガインストラクター/アーユルヴェーダセラピストに向けたアドバイスを伺います。

取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄

information

Harmony
住所:東京都三鷹市下連雀3-16-18 ヒラソル三鷹201
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