作業療法士の給料は安いの?実際の年収や給料アップの方法について紹介
作業療法士を目指そうと考えている方の中には、「作業療法士の給料は安いのか」「どのように給料アップを目指せばいいのか」と考えている方は少なくないでしょう。
今回は、作業療法士の平均月収や年収、給料が安いと言われる3つの理由、給料をアップさせる4つの解決策について紹介します。
作業療法士の実際の平均月収・年収を知って、給料に関する現状を知り、給料を上げるための解決策についても確認しましょう。
作業療法士の平均月収・年収
作業療法士の平均月収・年収は特別高い訳ではありません。
令和4年度の賃金構造統計調査によれば、日本人の平均月収は31万1,800円でした。その一方で、作業療法士(理学療法士・言語聴覚士・視能訓練士を含む)の平均月収(決まって支給する現金給与額)は、30万700円だったというデータがでています。
作業療法士の平均月収から推定される平均年収は430万6,800円です。国税庁が発表した令和3年分 民間給与実態調査によれば、日本人の平均年収は約433万円というデータが出ているので、作業療法士の平均年収は日本人の平均年収並みの水準だとわかります。
引用元
厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査:結果の概要
厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表
国税庁:令和3年分 民間給与実態統計調査
勤務先の規模によって異なる
引用元:厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表
スタッフの数が1,000人以上の事業所は平均月収・平均年収が最も高く、スタッフの数が100人〜999人の事業所は平均月収・年収が低めの水準です。
年代によって異なる
引用元:厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第5表
スタッフ数が10人以上の事業所における作業療法士の平均月収を見てみると、年代別の平均月収は20代前半が最も低く、50代後半に月収のピークをむかえているのが特徴です。
また、30代以降になってから、作業療法士全体の平均月収である30万700円の水準を超えるということが、表内にある年収の推移からも見えてきます。
都道府県によって異なる
作業療法士の平均年収は、都道府県によっても大きく異なるのが特徴です。
平均年収が最も高い東京都と最も低い沖縄県を比較すると、約86万円もの平均年収の差があり、作業療法士の年収は地域差が大きいことがわかります。
作業療法士の給料は安いと言われる3つの原因
作業療法士の給料は日本人の平均的な水準ですが、給料が安いという意見も耳にします。作業療法士の給料が安いと言われる具体的な理由とその背景を確認しましょう。
1.作業療法士の人数が年々増えている
作業療法士の数は年々増えており、その結果、作業療法士の市場価値が下がり、相場よりも低い給料を提示されてしまうケースもあるようです。
2017年度〜2019年度までの作業療法士の会員数の推移は、下記のようになっています。
・2017年度:57,960人
・2018年度:60,413人
・2019年度:62,294人
作業療法士の人数は毎年2,000人前後のペースで増加しており、作業療法士が増えすぎた結果、作業療法士の給料は安いと思ってしまうようなイメージがあるのです。また、作業療法士の供給が増えすぎて、求人が見つかりにくいという声も見うけられます。
引用元
日本作業療法士協会:2017 年度 日本作業療法士協会会員統計資料
日本作業療法士協会:2018 年度 日本作業療法士協会会員統計資料
日本作業療法士協会:2019 年度 日本作業療法士協会会員統計資料
2.リハビリ診療の単位が決められている
介護施設などで提供できるリハビリサービスの単位は、診療報酬制度によって定められているのが特徴です。たとえば、下記のように疾患別のリハビリ時間が定められています。
引用元:厚生労働省|令和4年度診療報酬改定の概要 個別改定事項III
また、リハビリサービスの時間によって診療報酬額が大きく変わります。リハビリによって回復が期待できる標準的算定時間を超えてサービスを提供すると、もらえる報酬額が下がってしまう場合もあります。
これにより、事業所の売上アップのために多くのリハビリサービスを提供できない点が、給料が上がらない背景のひとつだとも言えます。
3.給料は固定化される傾向にある
リハビリサービスの内容は国によって規定されています、事業所の努力でサービス内容を大きく転換することができず、それが給料が上がらない要因になっています。
また、日中にリハビリサービスを提供するのが基本なので、遅くまで残業したり、夜勤で稼いだりするのは難しく、たくさん稼ぐのは難しいといわれているのです。。
作業療法士の給料をアップさせる4つの解決策
作業療法士の給料は簡単には上げられない現状がありますが、管理職を目指したり、よりよい給料を提示する職場に転職したりすることで、給料アップを目指せます。
1.今いる職場で管理職を目指す
現場を管轄する立場の役職に就ければ、基本給に加えて役職手当がもらえるので、手取り収入のアップが期待できるでしょう。役職に就くことで責任をともなう仕事が増え、負担が増えてしまう側面がありますが、手当の支給で給与も増える点が魅力です。
2.給与水準の高い職場に転職する
給料が高く、賞与も手厚い職場を見つけて転職するのも、作業療法士としての給与アップを目指すのに効果的な方法だといえます。今いる職場でのキャリアアップが難しいと感じているなら、よりよい給与条件の職場への転職も検討してみましょう。
3.副業OKな職場に転職する
今いる職場で副業がNGの場合は、副業OKの職場に転職することで、本業の収入があまり変わらなくても、副業収入を得ることで全体の収入アップを狙えます。本業に支障がでない程度に副業をはじめて、収入アップを目指してみるのがおすすめです。
4.公務員を目指す
公務員試験に合格する必要がありますが、国や地方公務員の医療技術職として勤務することで、年収アップを目指すという方法もあります。令和3年度 地方公務員給与実態調査によれば、全地方公共団体における地方公務員の平均月収は30万7,245円で、都道府県レベルで見ると32万1,765円となっており、全体平均の30万700円よりも高水準です。
チャンスがあれば地方公務員試験にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
作業療法士の給料をアップさせる方法を試して、給料アップを目指していこう!
作業療法士の給料は日本人の平均月収・年収と同水準です。ただし、平均月収・年収は事業所の規模や年代、勤務地などの要素によって変わります。
作業療法士の給料が低いと言われる背景には、作業療法士の数が増えていることや診療報酬制度によって、一人ひとりにリハビリできる時間が定められている点などがあります。
作業療法士としての給料アップを狙うなら、管理職や高待遇の職場への転職を狙うか、地方公務員への転職などにチャレンジして、給与アップを目指しましょう。
引用元
厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査:結果の概要
厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表
厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第5表
国税庁:令和3年分 民間給与実態統計調査
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日本作業療法士協会:2017 年度 日本作業療法士協会会員統計資料
日本作業療法士協会:2018 年度 日本作業療法士協会会員統計資料
日本作業療法士協会:2019 年度 日本作業療法士協会会員統計資料
厚生労働省|令和4年度診療報酬改定の概要 個別改定事項III
総務省|令和3年度 地方公務員給与の実態 第11表