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特集・コラム 2020-08-30

ケアマネジャーは薬剤師からでもなれるの? 薬剤師からケアマネを目指す方法とは

高齢化による介護サービスへの需要の高まりにともない、現在では数多くの介護関係の資格が存在しています。「ケアマネ」と呼ばれることもあるケアマネジャー(介護支援専門員)の資格もまたそのひとつであり、その取得を目指しているという方も多いことでしょう。

そもそもケアマネジャーとは、介護を必要としている人やその家族から話を聞き、適切な介護サービスや施設を紹介したりする職種のことをいいます。要介護者と介護サービスの提供者を結びつける重要な存在です。今回はこのケアマネジャーに、薬剤師からなる方法について解説します。

ケアマネジャー(介護支援専門員)は薬剤師からでもなれるの?

薬剤師とは、薬局などで薬剤の処方をしたり、購入するお客様に対して用法用量の説明をしたりする職種です。そのため、薬剤師の資格を活かしてケアマネジャーになることはできないのではと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

薬剤師の資格はケアマネジャーになる際に活用することができるため、薬剤師からケアマネジャーになることもじゅうぶんに可能です。ここでは薬剤師がケアマネジャーになる方法についてみていきましょう。

※ここでは東京の例を挙げて解説しますが、ケアマネジャーの試験は各都道府県が管轄であるため、受験時には必ず居住している自治体の情報を確認するようにしてください。

薬剤師は介護支援専門員の受験資格対象業務のひとつ!

ケアマネジャーの資格は都道府県が実施している試験に合格することで取得できますが、受験資格を満たしていないとそもそも受験することができません。この試験の受験資格としては「受験資格対象業務」に従事していることが定められており、これには薬剤師も含まれます。

したがって、薬剤師の資格を取得していればそれだけで基本的な受験資格を満たしており、薬剤師からケアマネジャーになることはじゅうぶんに可能です。

 注意! 薬剤師として資格を満たすためには業務に関する規定がある

薬剤師としてケアマネジャーの試験を受けるためには、業務に関する規定も満たしていなければなりません。この規定では「通算で5年以上、かつ、業務に従事した日数が900日以上であること」が定められています。つまり、この条件を満たさなければ受験することはできません。

そのため、たとえば学生時代に薬剤師の資格は取得したが、実際に薬剤師として働いた日数は少ないという方の場合、この条件を満たすことができず、受験不可とされてしまう可能性もあるため注意が必要です。

薬剤師がケアマネを目指す方法とは?

薬剤師の資格を取得しており、なおかつ業務に関する規定を満たしている方の場合は、ケアマネジャーになることが可能です。続いては、ここでも東京の例を参考にしながら、受験資格を満たした薬剤師の資格保有者がケアマネジャーになるための方法をご紹介します。

介護支援専門員実務研修受講試験を受けて合格しよう!

薬剤師の資格保有者に限らず、ケアマネジャーになるためには、試験に合格しなければなりません。この試験の正式名称は「介護支援専門員実務研修受講試験」といい、東京では毎年10月ごろに実施されています。

また、厳密にいうと、この試験は実務研修を受けるための試験であり、合格をするだけでケアマネジャーとして働けるようになるわけではありません。したがって、この試験はあくまでも乗り越えなければならないハードルのうちのひとつと認識しておくのがよいでしょう。

受験資格|受験地と必要な実務経験

ケアマネジャーになるうえで避けてとおることのできない介護支援専門員実務研修受講試験。この試験を受けるためには受験資格を満たしていることが必須となります。この受験資格には若干わかりづらい点があるため、「受験地」と「対象となる国家資格・実務経験」の2つにわけて、その詳細を見ていきましょう。

受験地についての考え方

東京で介護支援専門員実務研修受講試験を受ける場合、以下の2つの条件のどちらかを満たしていなければなりません。

・申込日の時点で受験資格該当業務に従事している場合、その勤務地が東京都であること
・申込日の時点で受験資格該当業務に従事していない場合、住所地が東京都であること

これらの条件のどちらも満たしていない人が東京都で実施される試験に申し込みしても受理されないため、注意が必要です。また、これらの受験地に関する取り決めについては、ほかの都道府県が実施する試験を受ける予定の方も注意しなければなりません。

対象となる国家資格・相談援助業務従事者とは?|医師や看護師など

ケアマネジャーになるうえで合格しなければならない介護支援専門員実務研修受講試験では、特定の国家資格を所持している人しか受験ができないことが取り決められています。この対象となる国家資格には、薬剤師のほかに医師や看護師、理学療法士、柔道整復師、栄養士などが指定されているのです。

また、実務経験に関しては、上述したように「通算で5年以上、かつ、業務に従事した日数が900日以上であること」が定められており、受験に際してはこの規定を満たしていることも確認しておく必要があります。

どんな試験を受けるの?

介護支援専門員実務研修受講試験を受ける方のなかには、事前にどのような問題が出題されるのかをある程度把握しておきたいという方も多いことでしょう。この試験の出題範囲や区分ごとの出題数、配点などの情報は毎年事前に発表されるため、最新のものを確認しておくのがおすすめです。

ここでは参考として2019年度の同試験で事前に発表された情報をもとに、試験の概要について解説します。

社会福祉振興・試験センター|第22回介護支援専門員実務研修受講試験問題

2019年に実施された第22回介護支援専門員実務研修受講試験では、「介護支援分野」と「保険医療福祉サービス分野」の2つに分けて出題され、前者は25問、後者は35問で構成されていました。試験時間は120分が基本となり、点字受験者の場合は180分、弱視等受験者の場合は156分の試験時間がそれぞれ与えられました。

問題では介護に関する基本的な知識やケアマネジメントに関する知識だけでなく、医療や福祉に関することも含めた幅広い知識が問われます。そのため、じゅうぶんに対策をしておかないと合格するのは難しいでしょう。

この年の詳細な試験内容に関しては以下のサイトにて確認できますので、受験勉強に活用してみるのがおすすめです。

出典元:公益財団法人 東京都福祉保健財団 東京都介護支援専門員 実務研修受講試験

受験料

介護支援専門員実務研修受講試験を受けるためには、受験料を納めなければなりません。2019年に東京都で実施された試験の受験料は1万2,800円でしたが、年度によって価格が異なることもあるため、こちらに関しても最新の情報を確認するようにしてください。また、受験料とは別に手数料100円がかかることも覚えておくとよいでしょう。

合格率はどれくらい?|全国・東京都

介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は毎年発表されています。2019年に実施された試験の合格率に関しては東京都のものがまだ発表されていませんが、全国の合格率に関しては「18.5%」と発表されています。ちなみに、この年の全国の受験者数は3万509人で、合格者数は5,644人でした。

また、2018年に実施された東京都の試験の合格率は「12.9%」で、受験者数は3,636人、合格者数は469人でした。この年の全国の合格率は「10.1%」で、毎年の推移を見てみると東京都の合格率は全国の合格率よりも3%前後高い状態を維持していることがわかります。

ケアマネの資格は訪問診療や医療施設でのお仕事でも活かせる

ケアマネジャーの資格は、対象となっている国家資格を所持している人だけが受けられる試験に合格したうえで研修を受け、さらに登録をおこなうことではじめて取得することができます。そのため、取得すること自体のハードルは高いといえるでしょう。

しかしながら、ケアマネジャーの資格を取得すれば、高齢者の訪問診療や医療施設などの現場でも活かせるため、仕事の幅を増やせるという点では大きなメリットがあり、取得を目指す価値はじゅうぶんにあります。

これからケアマネジャーの資格取得を目指す方は、スクールの専門講座などを利用しながら、少しずつ知識を身につけてみてはいかがでしょうか。

出典元:
公益財団法人 東京都福祉保健財団 介護支援専門員(ケアマネジャー)について
公益財団法人 東京都福祉保健財団 受験資格
公益財団法人 東京都福祉保健財団 平成31年度(2019年度)東京都介護支援専門員 実務研修受講試験受験要項
公益財団法人 東京都福祉保健財団 東京都の試験実施状況
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 第22回介護支援専門員実務研修受講試験問題
厚生労働省 第22回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について

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