整形外科と連携し、独自の強みを発揮!エビデンスに基づく治療が信頼を作る【もっと知りたいヘルスケアのお仕事 Vol.155 柔道整復師 坂本直人さん】#2
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
現在「ライジング鍼灸接骨院」の院長として活躍中の坂本直人さん。前編では、坂本さんが柔道整復師の道を歩むことになったきっかけと、新人時代の印象深い経験を伺いました。
後編では、院長として接骨院を開業した際のお話や、整形外科と連携をしている接骨院の強み、お仕事のやりがいについてお話しいただきます。
お話を伺ったのは…
坂本直人さん
柔道整復師。「ライジング鍼灸接骨院」院長。平成5年、富山県高岡市生まれ。小学校から横浜で育つ。八王子の柔道整復科を卒業後、町田市などの接骨院に勤務し厳しい研鑽を積む。
整形外科との連携を強みにした接骨院を立ち上げる
――坂本さんはどんな経緯でライジング接骨院を立ち上げて独立されたのですか?
新卒時代にお世話になった接骨院の元上司と、今の職場のオーナーである小豆沢整形外科の院長が「整形外科と接骨院のいいところどりの施設を作ろう」と意気投合してライジング接骨院の構成ができ上がりました。
別の院で働いていた私に元上司が声を掛けてくださり、院長として立ち上げに携わったという経緯があります。
――立ち上げに携わる院長に大抜擢されたのですね!元上司の方から、どんなところを評価してお声掛けがあったか、お聞きになりましたか?
声を掛けてくださった元上司からは、「謙虚な姿勢などを評価して声を掛けた」と言ってもらいました。これまで大切にしてきたことだったのでうれしかったですね。
――ライジング接骨院さんは、小豆沢整形外科さんと提携しています。接骨院と整形外科が提携することにはどんなメリットがありますか?
整形外科で診察して医療的な処置を受けている合間にケアとして、接骨院でリハビリを行うことで改善までの期間を短縮することが可能というメリットがあります。
接骨院と整形外科は嫌厭し合っているイメージを持っている人も多いと思いますが、連携し合うことで患者さんにもメリットを与えることができるのがいいところだと思います。
――整形外科と連携することで、他の接骨院との差別化ができているということですね。
「整形外科で医学的な視点からみた痛みなどの原因を特定し、治療をする→接骨院でフォローをする→結果をまた整形外科の診療で確認する」というサイクルを実現できているのが私たちの一番の強みだと思います。
接骨院では、レントゲンなどで所見を出すことができません。しかし当院では整形外科で診断した結果に基づいても施術が行えるので、患者さんにも安心していただけると思っています。
――開院後、集客でご苦労されたことはありますか?
整形外科を受診後にライジング接骨院にお越しくださる方の割合が9割なので、初日から多くの患者さんがお見えになりました。ただ、完全新規の患者さんにライジング接骨院を知っていただくための努力は日々続けています。
――整形外科と提携することで、工夫が必要な部分はありますか?
整形外科で薬などの処方を受けている間は、保険の関係で接骨院整骨院の物理療法が自費診療になります。そうした理由で健康保険のリハビリが出来ないため、自費でのリハビリをご提案している点で工夫が必要です。
私たちは、整形外科での治療の間、体のメンテナンスに空白の期間を作らないようにして、最短で症状が改善に向かう流れを作っています。その旨をご理解いただけるよう、お客様に丁寧に伝えることを心がけています。
一生技術を磨くことができることが柔道整復師の魅力!
――患者さんに選ばれる院にするために意識していることはありますか。
さまざまな情報を関連付けてお伝えするように意識しています。たとえばいきなり患者さんに「筋トレをしましょう!」「食事改善をしましょう!」と言っても、重要性を理解してもらえないもの。そのため改善を実行・継続してもらうことは難しいのです。
「◯さんはこういう姿勢なので、ここが痛くなります。この筋肉を強くすることで姿勢のバランスが取れて痛みが緩和されていきますので、少し筋トレをしてみましょう。筋肉をつけるためには◯◯を食べるのがおすすめです」というように、原因をしっかりと伝え、それに関連付けて何をするべきかを伝えると改善率は上昇します。
――スタッフへの教育で意識していることはありますか?
技術的な部分は互いに切磋琢磨し合っていますが、それ以外にも患者さんへの対応の質の向上を目指しています。過去の自分の体験をベースにして、「患者さんに対して謙虚な姿勢で向き合ってほしい」と伝えていますね。
――柔道整復師の仕事の魅力を教えてください。
「一生技術を磨ける仕事」ということでしょうか。自分自身で新しいことを学ぶほど、救える人の数が増えていくことにとても強いやりがいを感じています。
患者さんの痛みを和らげたり苦痛を取り除けたらと思い、手技を学ぶ講座に通って練習を重ねたり、栄養学セミナーに通ったりして勉強を続けています。努力の積み重ねが患者さんの信頼につながるのではないかと思うんですよね。
――これから柔道整復師さんになりたい人にアドバイスをいただけますか。
柔道整復師は、自分が学んで努力した分、結果が出るやりがいのある仕事です。「目の前にいる患者さんの症状をよくするんだ!」というモチベーションさえあれば、道は切り開かれるのではないかと思います。
ひとりの患者さんの症状を和らげることができると、それが自信に繋がり、楽しくて仕方がなくなるはずですよ!
――今後の展望を教えてください。
幅広い方にお越しいただいているので、まずはどんな方にもベストなリハビリの方法を提供して症状を改善してもらいたいです。
また、気持ちも明るくなって卒業していただけるような接骨院を目指しています。痛みを取る以上に、何かプラスにして帰ってもらえるようになれたらうれしいですね。