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介護・看護・リハビリ 2020-03-12

初めての在宅訪問で不安を解消する3つの心得。介護福祉士の日常あるある#1【Q&A編】

初めての在宅訪問はドキドキするもの。自分ではよかれと思った行動が利用者さんの方に不快を与えてしまい、ついにはトラブルに発展することも。特に、初めての現場ではトラブルを避け、気持ちのよいスタートを切りたいですよね。そこで、数々の介護現場で活躍していたベテラン元介護福祉士の國廣幸亜さんに、初めての在宅訪問で意識していたことや悩み解決への道のりを伺いました。

Q.初めての在宅訪問で意識していたことは?

A.利用者さんを不快にさせないように、丁寧な言葉遣いで話すことを意識していました。ですが、かえってよそよそしいと言われてしまうこともありましたね。他にも色々な気づきがありましたが、利用者さんの気持ちを汲み取り、ときにはラフな言葉で話すことも重要だということを学びました。

Q.他にはどんな気づきがあった?

A.訪問する前は早く介助することが大事だと思っていましたが、利用者さんの想いを尊重することの方が大事だと気づくこともありましたね。例えば、一見散らかった部屋に見えても利用者さんにとっては居心地が良い空間というケースもあるんです。それを察し、あえてその状態をキープすることで喜んでいただけたこともありました。ただし、キレイな部屋を好む利用者さんもいらっしゃるので、そこは想いを汲み取り各々に合った対応をすることが重要ですね。そうすることが、何よりも自分のメリットにもなるんです。

Q.利用者さんの気持ちを汲み取ることでどんなメリットがあった?

A.気持ちを汲み取ることで、以前よりも仕事に前向きに取り組むことができました。以前、初めて訪問介護をしたときに、利用者さんの言動から私は必要とされていないのかと不安になったこともありました。それだけではなく、厳しく家事の指導を受けたので「家から出ていってもらいたいのかな」と、さらに不安感が募りましたね。ですがある日、利用者さんにペットボトルのフタを空けてもらいたいとお願いされたことをきっかけに、「もしかしたら私は必要とされていてまだ出来ることがあるのではないか」と考えるようになりました。それを機に今までの利用者さんの言動から、家事にこだわりがあり、その通りにこなしてもらいたいという想いがあると予想し、「徹底的に教えてもらうぞ」という意気込みで取り組んでいきましたね。すると、私が1人で家事ができるようになった頃には、利用者さんが別の部屋でくつろいでくれるようになったんです。時間はかかりましたが、以前よりも前向きに仕事に取り組むようになったのも、利用者さんの気持ちを汲み取ったからだと実感しています。

Q.利用者さんから信頼を得るまでにどれぐらい時間がかかった?

A.1年くらいかかりましたね。その頃には仕事を1人で任せてもらうようになり、「今日は家事をしないでいいから話を聞いて欲しい」と言われ、雑談をすることもありました。心を開いてくださったのかなと思い、その介護現場で働くことが楽しみになりましたね。

Q.利用者さんの信頼を早く得るコツは?

A.利用者さんをもっと知りたいという気持ちで接することが、早く信頼を得るコツのひとつですね。お話しした内容を覚えたり、部屋に飾ってある写真に興味を持ったりすると、利用者さんに「私に関心があるのかな」と喜んでいただけることもありますよ。それから利用者さんを知ることも大切ですが、仕事ができるようになることも信頼を早く得るコツのひとつだと思います。

Q.仕事に早く慣れるためにどんな努力をした?

A.利用者さんから教えてもらった家事のやり方をメモして、訪問する前に確認していましたね。継続していくことで「言ったことを覚えていてくれている」と利用者さんに安心してもらえ、色々な家事を任せていただけるようになりました。

Q.仕事に慣れるまでにどれくらいかかった?

A.私の場合ですが、約3カ月続けていると段取りがわかるようになり、自信をもって仕事ができるようになりました。半年くらい経つと利用者さんに家事のやり方を聞かなくてもできるようになり、以前よりも仕事のミスが減っていきましたね。仕事に余裕ができたときは、「アレはもう少し積極的に取り組みたかったな」と思うときもありました(笑)。

Q.初めての在宅訪問で、もう少し積極的に取り組みたかったことは?

A.利用者さんに早く安心してもらうために自信をもって介助し、明るく話しかけることですね。それから、利用者さんの想いを汲み取ることも積極的に取り組みたかったことのひとつです。利用者さんが一番生き生きしている姿をヒントに、どんな個性を持った方なのかを早いうちから理解することで、より早く打ち解けられたと思います。そうすれば利用者さんとの人間関係で落ち込むことも減り、介護福祉士としてもっと自信を持って働けていたと今になって思いますね。

Q.介護福祉士の仕事に自信を持つためには?

A.自分が得意なことを活かすつもりで仕事に前向きに取り組むことです! ご自宅に訪問して生活の援助を行うヘルパーは、利用者さんの生活を一番近くで見守る分、その方の大切な情報を一番多く持っています。その情報を他のヘルパーや事業所の方、ケアマネジャー、看護師、在宅医など、他業種に伝えるという重要な役割もあるんです。利用者さんに介助するだけではなく、とても重要な役割を持つ仕事だと私は考えているので、胸を張って取り組んでいただきたいと思います。

國廣さん流・初めての在宅訪問の心得3箇条

1.利用者さんの想いを汲み取る

2.自信をもって介助をする

3.自分が得意なことを活かす意気込みで取り組む

取材・原文/井上桂佑(レ・キャトル)
イラスト/國廣幸亜

▽#2はこちら▽
転倒が起こりやすいシチュエーションとその対策方法は? 介護福祉士の日常あるある#2【Q&A編】>>

教えてくれたのはこの人!

國廣幸亜さん

在宅ワークや介護老人保健施設、デイサービスなど多くの介護現場を渡り歩いたベテランの介護福祉士として活躍し、現在は自身の豊富な介護経験を題材にした漫画などを手がける人気の漫画家として活躍中。

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