介護のQOLとは?ADLやIADLとの関係やQOLを上げるための5つのポイントをご紹介
介護福祉の現場では、利用者のQOLやADL、IADLなどの言葉が日常的に使用されています。しかし、これから介護福祉業界に転職予定の方の中には「QOLやADL、IADLとは一体何だろう」と疑問に思っている方も少なくないでしょう。
本記事では、介護職のQOLやADL、IADLとの関係性、利用者のQOLを上げるために介護職が意識すべきポイント、職場選びのポイント、おすすめの職探しの方法を紹介します。
介護職に求められるQOLの考え方と活用方法を知って、転職活動に活かしましょう。
QOL(Quality Of Life)とは
QOLとは、「人生の生活の質」を表す言葉です。生活・人生・生命の質の3つの側面があり、「身体的・心理的・社会的に満足の行く生活状態」を表す考えだといえます。
端的にいえば、与えられた環境下で可能な限り快適な暮らしを送ることがQOLです。
ただし、利用者によってQOLの基準は変わるため、特定のモデルは存在しません。介護においては、利用者一人ひとりの生活環境や性格、趣味嗜好など、人によってQOLは変わります。そのため、利用者一人ひとりのケースに沿って、その人のQOLのあり方を考える必要があるのです。
利用者一人ひとりが自分らしく生活するためのサポートをすることが、利用者のQOLにつながり、ひいては介護サービス全体の満足感につながると考えられています。
QOLに大きな影響を与える要素
QOLに影響を与えている要素には、以下のようなものが考えられるでしょう。
・肉体的な側面:運動量の増減や身体機能、身体の異変など
・精神的な側面:気分や生活に対する意欲、認知機能など
・役割的な側面:活動性や日常生活の役割など
・社会的な側面:周囲の人間との関わり合いなど
・経済的な側面:収入の安定しているかどうかなど
・スピリチュアリティの側面:自分自身の生きがいや信念、主義主張など
QOLを構成する要素には、肉体的・精神的な側面が大きく関わっていることはもちろん、社会での役割や周囲との関わり、経済的な安定度合いなども多分に影響しています。
また、利用者一人ひとりにとっての生きがいや信念、主義主張などが実現できているかどうかも、QOLの改善には大きく関わっていると考えられるでしょう。
QOLとは複数の側面が複雑に関わり合って成り立つ考え方です。
QOLを測定するのに役立つ指標
QOLの基準は利用者によって大きく異なります。そこで、他人がQOLを客観的に測定するために作られた指標がSF-36とWHO QOL26です。
SF-36は、介護や医療に広く使われている指標です。36項目の質問に5分程度で質問することで、QOLが可視化できます。国民標準値が設定されているので他人との比較も可能です。
WHO QOL26は、WHO(国際連合世界保健機関)によって定義された、「身体的・精神的・社会的」の状態を測る指標です。全体的な生活の質・身体的な状態・心理的な状態・社会的な状態・経済的な状態について質問することで、QOLを数値化します。
引用元
日本腰痛会誌:SF-36® 日本語版の特徴と活用
Benesse:家族のQOLの特徴
QOLとADL、IADLの関係性とは
介護福祉の現場において、QOLと同様に目にする言葉にADLやIADLがあります。どちらもQOLと密接に関わっている一方で、言葉の定義が微妙に異なるのがポイントです。
・ADL(基本的日常生活動作)・・・日常における基本的な身体の動き
・IADL(手段的日常生活動作)・・・ADLを複合的に行う日常動作
ADLは日常生活を送る上で基本的な身体動作をさします。具体的には、ベッドでの起床や歩行・階段の登り降り・着替え・食事・排泄などが該当します。
その一方で、IADLはADLを複合的に行う日常動作です。買い物・電話での受け答え・洗濯・掃除・金銭管理・服薬管理など、ADLよりも難易度の高い行動をさします。
ADLとIADLが向上することでQOLが向上したり、その反対でADLとIADLが低下することでQOLが低下したりするという関係性があり、すべての指標の向上が求められるのです。
利用者のQOLを上げるために介護職が意識すべき5つのポイント
介護福祉サービスの利用者のQOL向上のためには、利用者の話に耳を傾け、サポート役にまわることを意識して、利用者の行動に過度に干渉しないことが求められます。
また、利用者同士の交流の場を設けたり、運動する機会を作ったりと、利用者の生活の質に直結するような試みをおこなうことも大切です。
現場のスタッフ同士でうまく協力して、介護サービスを充実させていきましょう。
1.利用者の話をよく聞いて理解を深める
QOLを向上させるためには、日常生活で利用者一人ひとりの話に耳を傾けることが大切です。利用者によってやりたいことや欲しているもの、趣味嗜好などは異なります。おのずと幸せを感じるポイントも異なるため、日々のコミュニケーションの中で利用者が何に充実感を覚えるのかをチェックして、QOLに対する理解を深めていく必要があるのです。
まずは相手の話を聞いて、QOLの向上につながるポイントを探ってみましょう。
2.過干渉せずに時には遠くから見守る時間をとる
介護福祉サービスの基本は、利用者が自立した生活を送れるようにすることです。過度な介護サービスは、健康状態を損ねてQOLを低下させてしまうリスクがあります。
たとえば、何とか歩行できる利用者に良かれと思って車椅子を使わせると、結果的に歩行が困難になり、肉体的な健康を損ねてしまうケースも考えられるのです。
あくまでも「自立的な生活をサポートする」という視点で介護をおこないましょう。
3.他人との交流の場を作る
交流の場を作って、社会との関わりを維持することで、利用者のQOLの向上につながる可能性があります。あくまでも本人の意思によりますが、他人との交流を希望している利用者は、季節行事やイベント、レクリエーションに積極的に参加させるのがおすすめです。
また、外出時に一緒に買い物に行くのも、交流の場を作ることにつながります。
暮らしの中で新たな楽しみを見つける手助けをすることで、QOLを向上できるでしょう。
4.現場スタッフ同士で円滑な連携をはかる
介護施設では介護職員だけでなく、理学療法士や作業療法士、看護師など、他職種のスタッフと協力しながら、介護サービスを円滑に提供していきます。
現場スタッフ同士でチームとして協力しながら、利用者一人ひとりの状態やケアの方法を共有することで、質の高い介護サービスを安定的に提供できる体制につながるでしょう。
現場スタッフの間で情報共有とチームワークを意識することがおすすめです。
5.適度な運動とバランスのよい食事を心がける
利用者のQOLを維持・向上させるためには、適度な運動習慣を心がけ、栄養バランスのいい食事をとることが重要です。運動することによって利用者の運動機能を維持・向上させ、バランスのとれた食事は心身に活力をもたらします。
運動機能が衰えなければ、日々の生活を満喫することができ、QOLを高めることにつながるでしょう。そのため、運動と食事はQOLに直結する重要な要素だといえます。
介護職の後悔しない職場選びのポイント3選
QOLを意識した介護サービスが求められる介護職に転職するなら、ワークライフバランス・福利厚生・業務内容・職場の雰囲気を重視して職場選びするのがおすすめです。
介護職への転職を考えている方は、職場選びのポイントもチェックしましょう。
1.ワークライフバランスが整っているか
介護職として長期的に活躍するためには、仕事とプライベートが両立しやすい職場を選ぶのがおすすめです。週休2日は確保されているのか、有給休暇は消化できる環境なのかなど、きちんと休みがとれてプライベートに時間が取れる職場かどうかを確認しましょう。
医療・福祉業界の年間の平均有給取得率は65.3%です。気になる職場の有給取得率がそれ以上なのか、それ以下なのかで、休暇のとりやすさを判断してみてはいかがでしょうか。
2.給与・福利厚生は充実しているか
給与面・福利厚生面が充実している職場を選ぶと、職場選びに失敗しないでしょう。
たとえ熱心になって業務に取り組める職場でも、希望する収入が得られなかったり、福利厚生が整っていたりしなければ、継続的に働くのは難しいでしょう。
厚生労働省の「令和4年度 介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によれば、介護職員処遇改善支援補助金を取得(届出)している事業所で働く介護職員(月給・ 常勤の者)の平均給与額は、令和4年9月時点の調査で31万7,540円でした。
介護職の職場を探しているなら、この平均給与額を基準に職場を探すのがおすすめです。
また、子育て支援制度・介護支援制度・スキルアップ制度・退職金制度など、自分自身のライフプランにとって必要な福利厚生が充実している職場を選ぶのがいいでしょう。
引用元
厚生労働省:令和4年度 介護従事者処遇状況等調査結果の概要
3.仕事内容や職場の雰囲気
理想の職場を見つけるためには、自分がやりたい業務や自分のキャリアを考える上で有益な経験が積める業務に就けるのかを基準に求人探しをするのがおすすめです。たとえ給与水準が高く、福利厚生が充実している仕事でも、やりたい仕事ができなければ、仕事のモチベーションを維持して中長期的に働き続けることは難しいでしょう。
加えて、職場選びにおいては職場の雰囲気もきわめて重要な要素です。職員同士の雰囲気と利用者が過ごす様子を確認しておくと、就職後のミスマッチを防げるでしょう。
介護職の職場を探すのにおすすめの方法
自分に合った介護職の職場を見つけるためには、最適な探し方を活用すべきです。介護業界に特化した転職エージェントや求人サイトを使うと、効率的に見つけられるはずです。
豊富な選択肢の中から自分に合った職場が見つけられる方法を見つけましょう。
1.介護業界に特化した転職エージェントを利用する
介護福祉業界に特化した転職エージェントを活用すると、職歴や経歴をもとにキャリアコンサルタントが自分に合った職場を探してくれます。自分で介護職の求人を一からリサーチする必要がないので、これから介護業界にはじめて転職するという方におすすめです。
まずは転職エージェントに登録して、アドバイスをもらってみてはいかがでしょうか。
2.介護求人が豊富な求人サイトだと希望する求人が見つかりやすい
自分に合った職場を自分自身で探したい方には、求人サイトの利用がおすすめです。
介護福祉業界に特化した求人サイトのリジョブなら、豊富な求人の中から希望条件に絞って求人を検索できるため、自分にとってベストな職場が見つかる可能性が高いです。
自分自身で求人をリサーチできるので、納得して転職活動ができるでしょう。
まずはリジョブの求人ページで、気になる求人をチェックすることをおすすめします。
自分に合った職場に就職して、利用者のQOLを向上させる努力をしよう!
この記事では、介護現場でよく耳にするQOLの考え方やADL・IADLなどとの関係性、QOLを向上させるために介護職員が意識すべき5つのポイントについて紹介しました。
また、職場選びのポイントや職場探しの具体的な方法についても触れました。
QOLの基準は人それぞれなので、介護職員は利用者とのコミュニケーションの中で興味関心のあることや好きなこと、満足感を覚えることは何かを探っていく必要があります。
利用者に過干渉せずに他人と交流する場所を作り、適度な運動とバランスの良い食事を心がけ、スタッフ同士でうまく連携していくことが、QOLの向上に役立つでしょう。
介護職の職場選びをする際には「自分の中ではこれだけは外せない」という基準を設けて、自分に合った方法で求人探しをする必要があります。
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