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介護・看護・リハビリ 2020-08-24

笑いあり!? 調理の実態に迫ります! 介護福祉士の日常あるある#7 【Q&A編】

利用者さんに楽しい食事の時間を提供する料理の時間。楽しいと感じる食事は利用者の方にとってさまざまで、時には「そんな食べ方があるの!?」と驚くことも。今回は調理の実態を元ベテラン介護福祉士の國廣幸亜さんにインタビュー。実際に経験した心が温かくなるエピソードなどご紹介します。

Q.利用者の方の優しさを感じた印象的なエピソードは?

A.時間がなかったため、⼊浴介助をしながら、煮物の材料を切って⽕にかけたり、煮物の様⼦を⾒たりと忙しかったときの話です。私は介助に集中しすぎて煮物の事がすっかり頭から抜け落ち、⼊浴が終わった頃には煮物がこんがり焦げていました。利⽤者さんは普段厳しい方ですので、絶対に怒られると思っていましたが、「こういう時はね、上の⽅を食べればいいんだ。うん、美味しく出来上がっているよ!」と励ましてくださり、⼼の中があたたかくなった経験がありました。

ほかにも、⾷にこだわりがなく冷凍⾷品や惣菜、お弁当等で十分だと話す利⽤者さんのお手伝いをしていたときの話です。ある⽇、利⽤者さんと介護記録を書きながら雑談をしていた時、「私昔は家政婦として働いていてね。住み込みもやったりしてよく頑張ったと⾃分でも思うわ」とカミングアウト。

それを聞いたときに、「ええ!? それじゃあ家事全般お得意なのでは…!」と聞いたところ、「そうね、掃除も料理も結構早くて上⼿いのよ、ふふ」と、まさかのお料理上⼿というかプロだったんです。「私の料理なんかで本当にすみません」と言うと「今は買ってきたものでも凄く美味しいし、⾃分でさんざん作ったからちょっとしたものでも⼈が作ってくれたものがとても嬉しいのよ」という言葉が返ってきました。きっと、苦労してきたからこそ寛⼤で優しい⼼が持てるのかなと感動しましたね。それからクスっと笑った経験もありましたね。

Q.食事を通じて利用者の方の意外な一面や力強さを感じたことは?

A.利用者のご家族を含めた介護サービス向上の会議で、ご家族から「お⾁が⼤好きなおばあちゃんのために⾁料理を作って欲しい」という要望があったので、先輩達から教えていただいたお⾁料理を披露することに。生姜焼きを作ってお出しすると、利⽤者さんが義⻭を外し、お⾁を口に頬張るのです。「え? 義歯を付けて食べるのではないのですか」と聞くと、「⼊れ⻭なんかつけていたら食べにくくてしょうがないよ! 飾り飾り!」と答え、その後も⻭茎でもりもり生姜焼きを食べる姿に「人ってこんなに強く生きることができるんだ」と驚きました。

ほかにも、いつもたくさんご飯を食べてくださる利⽤者さんが、ある日体調が悪くて⾷欲がない様子だった時、食欲がない方におすすめのご飯のおかゆや体に優しいうどんの作り方を先輩に聞いてから、ご自宅を訪問。利用者さんに、「おかゆやおうどんは食べられそうですか?」と聞くと、「冷蔵庫に特別なものがあるからとってきて」と返答。私はどんな食べ物があるのかとドキドキしながら冷蔵庫を開けると、そこには体に優しいと言われている乳酸菌飲料がありました。「これこれ! これは全ての病気に効くんだよ。おれはこれで何でもなおしてきたからな」とごくごくと飲み干しました。

その後、本当に元気になったので信じる⼒ってすごいなと思いましたね。こういった楽しかった出来事があったためか、苦手な調理も長く続けることができ、やりがいを感じるほどになりました。

Q.調理のやりがいとは?

A.利⽤者さんの⽣活を⽀える⼀端になっているという実感がわいたときです。牛乳を買いに行ったり、お米を研ぐのも大変だという方の代わりに研いだり…。喜んでいただく姿が嬉しく、前向きに取り組みました。

Q.調理に苦手意識や不安を抱いている方に向けて伝えたいことは?

A.利用者さんとの調理の経験からたくさんの学びがあることです。今も料理は苦⼿で、ヘルパー時代に培ったもので料理が上達するということも、私の場合残念ながらありませんでした。ただ、調理は料理の腕を磨く以外にも、利用者さんの好きなものや、⾷事の仕方などを知ることができる貴重な経験だと思っています。「⽣き様」ならぬ『⾷べ様』も⼈それぞれでとても興味深く、さまざまな個性に触れることで知見が広がっていき、介助に活かせることが数多くありました。

例えば、限られた時間と⾷材で効率よく美味しいものを作る方法や、一人暮らしの⽅と楽しく⾷事をするための会話なども参考になります。笑顔で食べてくださったり楽しいお話ができたりするのも、調理を通じて学べたからこそだと思っています。

國廣さんが想う料理介助の魅力3選

1.利用者さんの優しさに触れ心が温かくなる経験ができる

2.利用者さんの意外な食生活に触れ、楽しい経験ができる

3.料理方法や楽しい食事の時間の過ごし方を学ぶことができる

取材・原文/井上桂佑(レ・キャトル)
イラスト・漫画/國廣幸亜

教えてくれたのはこの人!

國廣幸亜さん

訪問介護や介護老人保健施設、デイサービスなど多くの介護現場を渡り歩いたベテランの介護福祉士として活躍し、現在は自身の豊富な介護経験を題材にした漫画などを手がける人気の漫画家として活躍中。
所有資格:介護福祉士

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