トップサロンとしての気概。長く愛されるお店に必要なのは「一貫性」【ヘアサロンK-two プレジデント/塚本繁さん】#1

「JJ」「CanCam」など赤文字系雑誌で、関西在住の読者モデルが大ブームだった2000年代半ば。「関西のリアルなカワイイ」を引っさげて都内へ進出、瞬く間に超人気サロンとして躍り出たのが「K-two」です。

今回のゲスト・塚本繁さんは、K-twoを代表するスタイリストとして、そのブランドを確立してきた人物。前編では、塚本さんの若手時代のお話からはじまり、愛されるお店づくりに必要な要素についてお聞きしました。時代の移り変わりに対応できず、多くの美容院が生まれては消える中、トップサロンのひとつとしてK-twoが常に注目され続けてきた理由に迫ります。

Tsukamoto’S PROFILE

お名前
塚本繁
出身地
大阪府
年齢
49歳
出身学校

ル・トーア東亜美容専門学校

経歴
ロンドン留学後、1997年株式会社K-twoエフェクト入社。関西の主力店舗で活躍後、東京進出の代表に就任。有名ファッション誌、TV、ヘアショーなどでも活躍する。
プライベートの過ごし方
海に行ってサーフィンと日光浴
趣味・ハマっていること
サーフィン、筋トレ
仕事道具へのこだわり
たくさんのお客様を切るので、ハサミは手を痛めない特別仕様。コームはカーボンの超軽量タイプ。

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世界一の流行発信地で学んだのは「プロ意識」

カリスマ美容師として絶大な支持を集める塚本さん。10年20年と通い続けるお客様も多いそうです。

――塚本さんが美容師を目指したきっかけを教えてください。

中高生の頃から、セルフカットをしたり洋服をリメイクしたりしていました。クリエイティブな気質があったのと、手先が器用だったんですかね。高校は進学校だったものの大学へ進学する気持ちになれず、ものづくりの職に就こうと専門学校をいくつか見て回りました。その中のひとつだった美容学校で「自分が求めてたのはコレだ!」とピンときたんです。

――海外留学もご経験されたと伺いました。

卒業旅行で、数日間のヨーロッパ研修に行ったんです。その時、ロンドンという街に惚れ込んでしまいました。もともと、パンクやロックといったカルチャーが好きだったこともあり、街の雰囲気も歩いている人もみんなカッコよく見えちゃって。絶対にいつかこの街で住んでやると決意しました。

卒業後はアシスタントとしてサロンに一旦就職しましたが、この給料じゃいつまで経ってもロンドン行きの資金が貯まらないなと。そのため1年足らずでお店は辞め、アルバイトをして費用を稼ぎ、21歳で渡英しました。語学学校に通いながら現地のヘアサロンで働かせてもらい、2年間ロンドンで生活しました

――今ほど情報収集が容易でなかった時代に、学校で学ぶだけでなく現地で働くことを実現させたチャレンジ精神に驚かされます。

確かに、1回のやり取りに数週間かかるエアメールと、公衆電話で小銭を入れ続けながら通話するしか手段がない時代でしたしね(笑)。けれどその頃は、ロンドンのヴィダル・サスーンがすごい勢いで、日本からも多くの美容関係者が渡英していた時代でした。そういった先輩方とのネットワークもあったし、向こうにいる間は「辛かった・大変だった」という記憶は全然なく、「楽しかった!」という思い出ばかり。就労ビザの取得が難しくて2年で帰国を余儀なくされましたが、このままロンドンで働き続けたいというのが本音でした。

――ロンドン生活で得た、最も大きな学びはどんなことですか?

教えられるのを待つのではなく、自分で学ぼうとする姿勢です。まず、海外ではサロン内にあまり上下関係がなく、研修制度もありません。当時の僕も、日本ではアシスタント歴1年というヒヨッコだったにも関わらず、一人前のスタイリストとして扱われました。

そのため、自信のない技術も、お客様からオーダーされれば見よう見まねで施術するしかないんですよ。目で見たことをすぐさま消化し、実践して、身に付けていく必要がありました。例えば海外でのカラーリングはハイライトが主流だったんですが、日本にいた頃は一度も経験したことがなかった技術でね。「ヤバいヤバい」と内心めちゃくちゃ焦りつつ(笑)、他のスタイリストが施術する様子を必死で見ていましたね。

お店に立った時点で、自分はひとりのプロなんだという高い意識を持つこと。そして、そのプライドに恥じないための努力を惜しまないこと。僕のスタイリスト人生における根幹は、ロンドンで育まれたと思います。

地方の1サロンで終わるわけにはいかない!東京へ進出

――帰国後は地元・大阪でK-twoへご入社されたんですね。

「うちはこれからガンガン攻めるよ」と語る社長に惹かれて入社しました。その言葉通り、関西では徐々に知られる存在となり、メジャーな出版社から東京での撮影に呼ばれるようにもなりました。そんなある日の撮影現場で、「原宿」「渋谷」などエリアごとに各サロンの写真がまとめられていたんです。そこで僕が見たのは、大阪が「地方7」として他の地方都市のサロンと共にひとまとめにされている光景でした。

当時の僕は、大阪は日本で第2の大都市だし、西日本で最大のトレンド発信地だという自負を少なからず持っていました。けれど、東京のメディアから見ると大阪は地方の一都市に過ぎず、まったく重要視されていないという事実に衝撃を受けたんです。

――今でこそSNSの発展でそういったエリア格差はないと思いますが、当時は「東京か、それ以外か」という意識があったんですよね。

この体験が決定打となり、このままだとK-twoは置いていかれるだけだという焦りが生まれ、社長へ東京出店の直談判をしました

ただ、当然のことながら、東京に出店するのってリスクしかなかったんですよ。そのため、3−4年計画で都心に土壌をつくって…と気の長い話で当初は進んでいたものの、たまたま良いご縁が重なり、予定より短い準備期間で渋谷へ出店することに。僕はその新店舗の代表となりました。

――渋谷店オープン時の様子はいかがでしたか?

これもタイミングが絶妙だったのですが、当時はファッション誌に登場する関西在住の読者モデルがカリスマ的人気を誇った時期でした。そのベースがあったため、「関西のカワイイをつくる代表」として、K-twoの東京進出は十分な話題性とともにメディアに受け入れられました。おかげで僕個人も露出の機会を多くいただき、自分のスタイルを発信することができました。

色んな勢いや時流にうまくハマったおかげで、お店があっという間に大きくなっていった感覚です。もし仮に、今の時代にK-twoが大阪から東京へ出店したとしても、たぶん上手くいかなかっただろうとは思います。

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軸を太くし、自分たちのスタイルにプライドを持った店舗運営を

――東京進出から20年近く経ちましたが、今も変わらずK-twoが愛され続けている理由はどこにあるのでしょう?

その人の「キレイ」を全力でサポートできるよう、確かな技術と接客を提供してきたこと。当たり前のことですが、その当たり前をきちんと積み重ねた信頼感が、長年通ってもらえる結果を生み出しているんじゃないかと思いますよ。

――時代の流れとともに、サロンの方針を変えるようなこともありましたか?

僕たち自身の軸は、今も昔もブレていないんです。例えば、赤文字系が流行っていた頃はフェミニン、今であれば大人フェミニンにカジュアル感や小顔カットなどトレンドのエッセンスを加えます。「女性の’キレイ’をサポートする」というコンセプト自体は、創業当時から何も変わっていません。

むしろ、流行を意識しすぎると顧客離れを起こすと考えています。もちろんトレンドは大事だし、勉強しなきゃいけない。常にトレンドを追っていたいお客様というのも一定数存在すると思います。けれど、息の長いサロン経営のためには「一貫性」を持つことが最も重要。「僕たちが応援する女性像」を明確に打ち出すことで、お客様は安心してお店をチョイスすることができます

――自分たちの得意なスタイルをコロコロ変えてしまうと、結局はお店の個性も失われてしまいそうですね。

お店の雰囲気や客層もその時々で変わってしまいますからね。また、店側がポリシーを持たず次々と流行に乗り換えることで、お客様側には代用可能な「使い捨て」の感覚が生まれてしまうんじゃないかなと。だとしたら、それはとてももったいない。

同じ流行モノでも、アパレルの世界とは少し違いますから。サロンは、お客様自身が持つ素材で、その人のキレイをお手伝いするのが帰着点です。だからこそ、目先の来店数に踊らされるのではなく、「長くじっくり付き合う相手」としてお互いの信頼関係を築くことをゴールに据えるべきだと思います。
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銀座の一等地。洗練された店内。柔らかく、気遣いにあふれたスタッフたち。多くのお客様がこのサロンを愛してやまない理由は、塚本さんが積み上げてきた技術と接客への絶対的な信頼感に他ならないのだと感じられる特別な空間でした。

後編では、後進育成への想いや、これからの時代にサロンが目を向けるべき新しい付加価値などについてお聞きします。

取材・文:黒木絵美
撮影:喜多二三雄

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Salon Data

QUEEN’S GARDEN by K-two 銀座
ADDRESS:東京都中央区銀座7丁目8−7 GINZA GREEN
TEL:03-6252-3285

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