サロンとスタイリストが意識すべき、新しい付加価値の創造とは【ヘアサロンK-two プレジデント/塚本繁さん】#2

大阪から都内へ進出して20年近く、日本のトップサロンのひとつとして君臨する「K-two」。引き続きゲストは、K-twoを代表するスタイリストとして活躍を続ける塚本繁さんです。

後編では、後進育成への想いや、これからの時代にサロンが目を向けるべき新しい付加価値などについてお聞きしました。

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自分の後に残せるものは「人」しかいない

冷静で理知的な語り口調の中にも、スタイリストという仕事に対する「熱さ」が感じられるお話でした。

――K-twoはサロンだけでなく、スクール事業も展開されていますね。塚本さんご自身も、セミナー講師や技術動画の配信など、後進育成に積極的なイメージがあります。

以前読んだ本の中に、感銘を受けた言葉があります。「地位や財産、名声というのは死んでしまえば何の価値も持たない。人が残せるものは『人』だけである。」これを読んだ時、すごく共感したんですよ。

自分の持っているスキルや知識を、いかに次世代へとつないでいけるか。人間のなすべきことって、突き詰めるとそこに尽きると思うんです。セミナー受講生の中で、たったひとりでも「塚本さんの話がきっかけで、技術力を伸ばすことができました」と言ってくれる子がいればそれでいい。50歳60歳になっても活躍できる、息の長いスタイリストになってほしいという願いで活動しています

――今は学びの方法も変化していますよね。

昔の美容室って、クローズドな世界だったじゃないですか。独自に培ったノウハウやスキルを売りにして、自分の店だけが繁盛すればいいという考え方でやっていました。けれど今は、店もスタイリストも、持っているものをどんどんアウトプットして「私はこんなことができますよ」とアピールしていく時代に移り変わっています。

僕が駆け出しの頃は、教本を穴が開くほど読み込んで、とりあえず手を動かしてやってみるしか方法はなかったですからね。学ぼうという意欲さえあれば、若い子でも簡単に情報にアプローチできる良い時代だと思います。

――K-twoでのスタッフ育成について、実務的な面で意識していることなど教えてください。

昔は「このお店のスタイルが好き!!カッコイイ!!」といったシンプルな理由で、みんな就職先を決めていました。けれど今の子たちの多くは、給与や福利厚生といった現実的な部分も重視しながら働くお店を選んでいます。採用側としては、労働環境の整備はもちろん、指導方法にも気を付けています。感情的にならないよう、言い方・伝え方には神経を使いますよ。

――若い世代の施術に対する意識にも変化を感じますか?

感じますね。高度な技術を身に付けさせようとこちらが躍起になったところで、当人はそこまで高いゴールを目指していないというミスマッチが起こるケースもよくあります。でも、スタッフがストレスなく働けることを最優先してしまうと、お客様へのサービスの質が低下することにつながるため、難しい問題です。

では、これまで僕たちが培ってきた技術や接客方法を、どの程度のレベルで若いスタッフたちへ落とし込んでいくのか。そのすり合わせを慎重に、かつ柔軟にやっていく必要があります。教育についての考え方を今風へシフトしていけるかどうか。どこのサロンでも、経営陣が最も頭を悩ませている課題ではないでしょうか。

選ばれ続けるサロンであるために。時代のニーズに合わせて新しい価値を

――これからの時代、ヘアサロンへ求められることは何だと思いますか?

コロナ流行をきっかけに、人々の意識が変わってきました。「教育」「健康」「人との絆」の重要性が、改めてクローズアップされていると感じます。特に「健康」は大きなキーワード。少子高齢化で若い世代が減るという事象も合わせて考えると、ヘルスケアへの視点を持つことが、どの業界でも生き残りのひとつの方法でしょうね

サロンも、髪を切りに行くだけじゃなく、健康になるための場所として新しい付加価値を付けていかなければ淘汰されてしまうと思います。特にK-twoの客層は大人世代が多いため、「お客様を体の内面から美しくする」というコンセプトの強化が、選ばれ続けるお店であるための絶対条件だと考えています。

――すると、スタイリスト各人にも、美容だけでなくヘルスケアの知見が必要になってきますね。

その通りです。よりナチュラル志向なメニュー展開、薬剤の知識、技術の向上が求められます。そこにプラスして、食べ物や運動など幅広い視点から美しさの提案ができるといいですよね。

特に女性は、出産・育児や更年期など、年を重ねることで生じる体の変化を敏感に感じ取ります。僕のお客様は20年来の付き合いという方もたくさんいらっしゃいますが、施術中の話題が以前とはまったく違うんですよ。若い頃は可愛いヘアアレンジやファッションについて話していた方も、40代50代になった今、体の不調や白髪・抜け毛などのお悩みを口にされます。そんな悩みへ寄り添った新しい提案ができるスタイリストでありたいと、僕自身も願っています。

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美容師を志す人・美容業界でさらなる飛躍を目指す人へ

今は個人の時代で、自己プロデュース力が大切だとよく言われますよね。自分のアイデアひとつ、打ち出し方などで有名になれてしまいます。しかし「個が大切」とはいえ、美容師というのは周囲のスタッフとのつながりや協調性なしには成り立たない職業。人への感謝を忘れることなく、バランス感覚を持ちながら個性を発信していくとかっこいいなと思います

また「カットがうまい」とか「ショートスタイルなら日本一」とか、それぞれが自由に自己PRできてしまうのがSNSです。自分で言えてしまうからこそ、その言葉に見合った、嘘偽りのない自分づくりが大切なんだと思います。見せ方や言い方ひとつでバズることも可能な時代、その瞬間風速を利用していく。そして年齢を重ねながら努力を積み重ねて技術や接客術を身に付ける。それらを武器にして自分の可能性を広げていくための模索を、日々精進していきたいですよね。
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塚本さんの成功の秘訣

1. より高い目標を掲げ、攻めの姿勢を忘れない

2.自分やお店のスタイルに誇りを持ち、ブレない軸を持つ強さ

3.時代の変化を読み取り、新しい価値観を経営に取り入れる柔軟性

取材・文:黒木絵美
撮影:喜多二三雄

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Salon Data

QUEEN’S GARDEN by K-two 銀座
ADDRESS:東京都中央区銀座7丁目8−7 GINZA GREEN
TEL:03-6252-3285

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