これだけは知りたい!サロン専門コンサル会社に学ぶサロンオーナー基本の心得
サロン専門コンサル会社“フューチャーブレーン”佐藤社長のインタビュー第二弾。アパレル企業の一社員だった若かりし頃から紆余曲折を経て、ご自身の会社を立ち上げるまでの波瀾万丈な日々を駆け足で語っていただいた前回。さて、今回はさまざまな障壁を乗り越えてきたからこそ生まれたフューチャーブレーン独自の会社経営メソッドから、サロンオーナーたちの悩みを解決するヒントを学んでいきたいと思います。
お客さまを“回している”という意識は危険信号!
――これはどんなオーナーさんにとっても一番の悩みの種だと思うんですが、数年やってきてもまったく売上が伸びない原因っていったいどこにあると思いますか?
「だいたいどんなサロンも最初は上手く行くんですよ。開業して1、2年は本当に勢いがある。それが不思議なことに、3年目くらいになると急に勢いが落ちていくんです。自分もまさに同じ体験をしたことがあって。いったいなぜだろう……と分析したんですね。結論はこうです。『初心忘れるべからず』の“初心”の部分が衰えてしまう。言い換えれば“お客さま目線”第一主義から“集客目線”“売上目線”第一主義に変化してしまう。そこではないかと。
『新規集客したかったら、真逆です!』ということはうちの社員もサロンオーナーさんも一貫して伝えてます。マーケティングもサロン経営も、スタートはお客さま側の目線。だから上手くいくわけですよね。これがプロになって経験を積むほどにお店側の目線に慣れてしまって、お客さまを回しているといった感覚になってしまう。“回してる”これは危険な言葉です。」
「うちの場合、起業のきっかけが“美容業界の問題点を解決したい”というところだったんですが、会社が上手くいくか否かはその気持ちがどれだけ持続できるかというところだと思うんですね。放っておくと軸がどんどんブレてしまう。自分にも社員にも“常にブレないこと”を言い聞かせています」
――そのようなブレを防ぎ、初心を継続するために社内で実施していることはありますか?
「“360度評価ミーティング”というものを毎月やっています。これは立場が上だからとか下だからということにとらわれず、後輩側からも会社をよくすること前提の『アサーション』(※他者を攻撃したり自己を抑圧しない適切な自己主張)をしてもらい、その社員の成長を踏まえ、問題を指摘するということを率先してやっていきましょうというもの。これは色々な角度から視野を広げ、学びの場を増やすことにも繋がります。業界全体に言えることですが、どうしても視野が狭くなりがちな職種なので、常に内部にいるとその考え方に慣れてしまう。会社のなかでは新人が一番お客さま・ユーザーさんに近い視点をもっていますから、私たちが逆に教えてもらうことも当然あります。上下関係にとらわれずそれを受け入れる素直さと客観的な見方というのは常に大切にしていますね。」
採用のカギは“価値観の擦り合わせ”
――新入社員のお話が出ましたが、オーナーさんたちのお悩みのひとつに、採用や新人の教育があると思うんです。御社では、とくにどんなことを意識して臨むのでしょう。
「採用に関しては“価値観の擦り合わせ”が大切だと思っています。弊社では社員に“人生目標”と“売上目標”というふたつの目標を掲げてもらっているんですが、採用に関しては、その“人生目標”がこの会社で達成できますか、ということを確認してから入社してもらいます。サロンの採用にしてもそう。“独立したい”“店長になって人を育てたい”“技術を極めてお客さまに喜ばれたい“など、人によって目標はさまざまですが、それがこの会社で実現できるか、という価値観の擦り合わせが大切です。とくに中途採用は、入社する前が勝負。入ってから変えようとしてもなかなか変わらないですからね。個別対面コンサルティングや合同セミナーでは、こういった採用や面接の仕方などについても細かくコンサルティングしています。」
――コンサルティング会社・サロン経営どちらに関しても、従業員のノルマって必要でしょうか。
「うちの場合ノルマは一切設けていません。なぜなら、ノルマは他人に決められる、受身かつ強制的な目標だからです。ただノルマがない分、自分自身で目標を決めてもらっています。自らが決めた目標をみんなでサポートしあう、上の子たちが下の子たちを応援するという、そんな風土も意識して築いています。これは非常に珍しがられますよね。世の中には、足元をすくわれるからといって後輩にまったく教えることをしない職場もありますから。後輩の育成や成長を喜びとする“美学”を持つということ。これが我が社の文化です。」
――素晴らしい社風ですね。美容業界のみならず、すべての会社経営に応用できそうです。
「よく言われることかもしれませんが“奪う者は奪われる、与える者は与えられる”ってことが、実際あると思うんです。だからうちの会社でも、自分たちが持っているノウハウを従事者だけでなく“美学”として他社にもご提供する。それは社会貢献となって、やがて自分のところにもどってくるんだよ、という教育をしています。またWWF、WFP、赤十字、ユニセフ等の機関に寄付をさせていただいていているのも“美学”があるからこそ。会社が実践していないのに、上司が部下に与えなさいというのも説得力がありませんからね。」
ブレることのない“美学”に基づいたフューチャーブレーンの社員教育。スタッフの定着率にも関わる教育方針は、中小規模のサロン経営においてもおおいに学ぶところがあるのではないでしょうか。次回はサロンオーナーさんたちの具体的な悩みにフューチャー。Q&A方式で佐藤社長のお答えをいただきたいと思います。
Profile
佐藤 剛さん
1969年東京生まれ、中央大学卒業。株式会社フューチャーブレーン代表取締役社長/CEO。
一部上場大手アパレルメーカーにて誰もが知る海外有名ブランドのプロデューサーを経て、現在従業員数100名を有する自社グループの運営の他、サロン専門経営コンサルタント、毛髪診断士認定講師等の肩書きを有し、サロン経営の専門家としてサロン向け経営コンサルティングや人材育成、集客指導、各種セミナー等、精力的に活動。またヘッドスパ専門の先駆者ブランド「ワヤンプリ」ブライダルエステ専門の先駆者ブランド「ワヤンサラ」をはじめ全国に自社直営サロンを展開。実店舗を経営するなかで編み出した実践的コンサルを通じて、全国100社以上を成功に導き、サロンオーナーに“独自の繁盛サロンメソッド”を提供し続ける。
フューチャーブレーンHP
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