カリスマ美容師Jr.世代の今 S.(エス)植田高史さんの作品づくり #2

今やすっかり昔のこととなった「カリスマ美容師ブーム」。表参道にあるS.(エス)のオーナースタイリスト・植田高史(たかし)さんは、その真っただ中でスタイリストとしてデビューしたカリスマJr.世代の一人。

伝説のヘアサロンAks(アクス)での修業時代、注目の若手スタイリストの地位を捨て、突然退社。欧州でさまざまなアーティストと交流したのちに帰国し2003年にS.をオープンします。以来、その独特なたたずまいと職人肌な仕事ぶりで、主要女性誌や広告の撮影までオファーがくるという、実力の持ち主です。その魅力を堀下げるとともに、作品づくりの姿勢を追います。

履歴書なしで応募可能!

実際の求人を見てみる

“調和”させていくことこそ大事、ということ

――植田さんはいつ頃からサロンだけでなく、ヘア&メイクとしての仕事を始めたんですか?
「ラッキーなことに、まだスタイリストとして駆け出しの頃から、それっぽいことをやらせてもらう機会がありました。当時は撮影現場が学びの場というか、やりながら知識と経験を蓄えていくという風潮でしたから、僕なりに手探りで撮影の技術や、現場での立ち位置、ふるまいといったものまで、身につけていった感はあります。

その後、いろいろなご縁でカメラマンやアートディレクターといった、プロフェッショナルな方々とお仕事をする機会にも恵まれましたが、一流だからこそ気が抜けない厳しさみたいなものも経験しましたし、相手の力も借りて調和させていくことこそ大事だと、そのとき学びました。

自分とは違う感性をみんなで一つにまとめていく作業って面白いと思うんですよ。人と人のアイディアやセンスを取り入れながら それで新しいものできるのではあればいいじゃんと。美容師なの? ヘア&メイクなの?とたまに聞かれることもあるのですが、僕自身はどちらも必要で、両方やっているからこそ、見えてくるものがあると思っています」

植田さん
サロンワーク以外の仕事でも活躍する植田さん。ファッションブランド『HERFEE』(https://www.herfee.com/)のコレクション撮影にヘア&メイクとして参加。※ヘッダー部分の写真参照。ブランドサイトのメイキング動画にも登場している。そのほか、有名美容メーカーのカタログ撮影や主要女性誌の特集記事など、彼のセンスと腕を買うクライアントは多い。

大切なのは、求められているものが何かということ

――毎月300人の顧客を担当しながら、外の仕事と両立をさせているわけですよね。

「両立とまでは言えないかもしれませんけど(笑)僕にとってはサロンワークの比重が一番ですが、ヘア&メイクなど外の仕事も必要なんです。だからあえてヘア&メイクと美容師の境界線は引いてないんですよ。以前、あるディレクターさんに言っていただいた言葉で印象に残っているのが“植田さんのように、美容師さんとヘア&メイクさんの中間ぐらいの人って、いそうでいない”という言葉でした。

僕自身も立ち位置として、じつはそこを狙っていて(笑) サロンワークで世の中のニーズを感じながら、撮影などのクリエーションで、その道のプロと一緒に“半歩先にあるもの”を探していくことこそ大事だと思っているんですよね。もちろん自分たちで撮影したり衣装を着せたりして発信することも勉強にはなりますが、その道のプロの客観的視点や仕事ぶりを見たり、体験したりすると断然、違いますからね。最近、サロン独自でタブロイド型の印刷物をつくったんですが、カメラ、服のスタイリング、デザインはプロの方々に依頼しています。うちのスタッフも外部のそうした一流の人たちと触れることで、いい化学反応をしてくれていますね」

履歴書なしで応募可能!

実際の求人を見てみる

僕たち世代が、若い世代に向けてできること

――タブロイド紙、なかなかおしゃれな仕上がりですよね。

「ヘア&メイクはもちろん自分たちでしていますが、中面の商品の写真や文章、おすすめ音楽のセレクトなど、エディトリアル(編集的)な部分はうちのスタッフによるものです。一流の人たちと真剣に組むことで、彼らの才能やセンスがいい感じに引き出されたいい例だと思います。

最近、よく思うんですよね。ひとりでできることには限界があるし、独りよがりでは面白味のないものになってしまう。今以上のことをやりたいのであれば、才能ある人と組めばいいんじゃないかと。スタッフもそうです。たまたま縁があって出会っている以上は、持てる才能を発揮しやすい場にしていかなくてはと思います。よく“技術は上から来て、新しいものは下から来る”と言いますが、こういう仕事は、下から学ぶことが多いな、とつくづく思います。

僕らの世代がもっと、彼らのセンスや新しいもの、ちょっと不完全でもトライしていくものに関して寛容になれればな、と思いますね。リスキーで少しくらい完成度が低くても、トライする姿勢のほうが新しいものが生まれやすいですからね。S.(エス)に関してもどんどん若い才能を取り込んで、ブランドも進化していってほしいと思っています」

『カリスマ美容師Jr.世代の今』シリーズ、いかがでしたか? 彼らが駆け抜けてきた道のりと次世代の美容師をつなぐ記事を今後もまたお届けしたいと思います。

タブロイド紙
タブロイド紙
S.(エス)がオリジナルで制作している、タブロイド紙。モデルのキャスティングやコンセプトを、スタッフ全員が、その道のプロと一緒につくることに意義があると植田さん。

取材・文/山岸敦子
撮影/石田健一

Salon Data

店内
店内

S.(エス)

植田高史さんが、2003年に立ち上げたサロン。
外苑前のビルの1フロアからスタートして2010年、現在の表参道へ移転拡張。独特の空気感と卓越したセンスで一躍人気の美容師に。必要以上に媚びない、でも微妙な女ゴコロがわかる、女性像をつくり出す手腕は、多くの先輩カリスマ美容師や同世代の著名な美容師たちから一目を置かれている。
http://www.s-tokyo.net/

カリスマ美容師Jr.世代の今・ S.植田高史さんの人を惹き寄せる力 #1>>

履歴書なしで応募可能!

実際の求人を見てみる

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの美容師求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄