【コロナ禍の今、美容業界の「働く」が変わる!】Vol.2/オンラインとEC活用がこれからのスタンダードに/Garland 真木 遊さん #2
コロナ禍での働き方は、「時短で高パフォーマンス」がキーワード。そんなwithコロナ時代を生き抜くための、美容室の次なる戦略とは?
後編では、Garlandでマネージャーを務める真木 遊さんの1日のタイムスケジュールを取材。これまでとの変化や見直し、改善した点、今後の動向などについてお聞きしました。
お話を伺ったのは…
Garland マネージャー 真木 遊さん
都内2店舗を経て、Garlandオープニングスタッフとして参加。現在は、経営やスタッフ育成のサポートなどにも携わりながら、精力的にサロンワークもこなすトップスタイリストに。顔周りの繊細なカットを得意とし、お客様一人ひとりの個性を光らせるような仕上がりにファン多数。メイクの評判も高く、ファッション誌でのヘアメイクやモデル、タレントからの指名が絶えない。
真木さんの1日の流れ/1時間内で4人入らないよう管理。ソーシャルディスタンス営業を徹底
——サロンワークの流れとして、意識していることは?
朝10時に出勤して、11時からサロンワークがスタート。予約は1日15人までと決めています。1時間内で担当するお客様がなるべく4人かぶらないように、メニュー内容を考慮しながら予約を管理。うちはスタイリストが8人くらいでやっていますが、お店全体を見た時の滞在人数で予約を決めていくので、あふれてしまうことはありません。また、お客様同士をできるだけ隣同士にしないようにも注意。サロンスペースが1階と2階で分かれているのを利用して、空間をなるべく空けるようにうまく配置しながら、ソーシャルディスタンス営業を心掛けるようになりました。
——接客面で何か変わったことは?
飲み物、食べ物のサービスはすべて中止しています。以前はスイーツを出したりもしていましたがそれもストップ。飲み物が必要な場合は、お客様の方で持参していただくように伝えています。雑誌はタブレットで見られるようにしていますが、席が変わるたびに毎回消毒。各席にもアルコールスプレーを置き、感染対策はしっかり行うように。マスクは、スタッフはもちろんお客様にも必ず着用をお願いしています。カラーで汚れる場合もあるので、お客様用に替えの分も常備。マスクをしたまま切りますが、最終的に長さやバランスを見るためにいったん外して確認することも。マスクを外した途端、思っていたより長さが違っていた! ということもよくあるので、仕上がりまでにチェックは必ず行うようにしています。
今後の展望/オンラインでのつながりがあれば備えにも安心にもなる
—−これからどのような働き方が求められると思いますか?
コロナになっていろいろ見直したりする中で、よく考えてみると今までいろんな無駄があったのかなと感じています。業界的には昔からの風習もあったりして、上がこうしてきたからそれにならわなきゃいけない……とか、これを機にいろいろ変えていくタイミングなのかもしれません。それが効率のよい営業やサービスにつながるのではないかと思います。
みなさんもうそんなに遅くまで働いてないのと、そもそも会社に行ってない人も多いようで、遅い時間に来るお客さんはだいぶ減りました。そういう状況に合わせて、夜のレッスンを営業時間内からスタートしたりもしています。営業の最後の方と若干時間がかぶりつつも、お客様に迷惑がかからないようスペースをうまく使ってレッスンをしています。そんな感じで時間をうまく活用していきたいですね。営業時間や出勤スタイルなどは基本的に変わっていませんが、1日の限られた営業時間内をどう過ごすのか、どう使っていくのかがこれからのポイントかもしれません。
—−お客様へのサービス面でもいろいろ変わっていくのでしょうか?
このコロナ禍で、ECサイトを作ってヘアケア製品をオンラインからも買えるようにしました。お店のアプリからECサイトに飛べる作りです。アプリはそこから予約もできるのですが、ホットペッパーもやっているのでオンライン予約はそちらがメインだったものの、ECサイトを作ったことでアプリへの注目度が上がり、アプリからの予約数が増えたのも新しい展開。そしてちょっと予想外だったのは、サロンに来店したことのないお客様も、ECサイトから商品を購入しているという点。最初はお店に来ていただいているお客様のためにもっとサービスを広げられないかということで始めたんですけど、実際スタートしたら購入者の3割くらいは他から来てくれた人だったんです。自宅ケアに対する意識が高まっているようで、ヘアケア製品もいろんなところ(インスタなども)をチェックして購買意欲が上がっているのかなと感じています。
取り扱っているのは、シャンプー、トリートメント、スタイリング剤。おうち時間が長くなったけれど、自宅でもきちんとしたケアができるように、シャンプーはGarlandオリジナルのものを作りました。サロン専売品を使ったことのない人にもぜひ使っていただきたいと思い、専売品としては少し低めの価格設定にしています。
またいつサロンに来られなくなるのか、分からない時代になりました。そういう面を考えても、ECサイトがあると備えになるし、気持ち的に安心もできる。自宅ケアまでフォローできるような環境をもっと広げていけたらなと思います。
コロナ時代、効率的に働く3つのコツ
1. 営業内での時間の使い方を見直す
2. お客様との温度感を大切に
3. ECでサロン外でもつながりを持つ
お客様とスタッフの安全を最優先して、お店は約1ヶ月休業。この間、アシスタント教育のためのカリキュラム作成は途方もなく大変だったが濃厚なよい時間が過ごせたし、ECサイトが完成して新たな販売ルートも広がった。
「コロナきっかけで一気に前に進んだことが多かったかもしれません。一日の時間は限られている。だからこそ、『無駄を省いて効率よく』をさらに意識していきたいです」と真木さん。サロン内外での効率化をはかるあらゆる手法を取り入れ、Garlandはさらなる進化を遂げていきそうです。
▽前編はこちら▽
【コロナ禍の今、美容業界の「働く」が変わる!】Vol.2/新システム構築で営業もスタッフ教育も効率化する/Garland 真木 遊さん #1>>
取材・文:青木麻理(tokiwa)
撮影:mika