セラピストの専門用語事典ら行
セラピストとして働くならば、しっかりと身に付けておきたい業界用語。今回はセラピスト専門用語の「ら」行をお送りします。
ラベンダー
ラベンダーはシソ科の植物で、水蒸気蒸留法によってオイルを抽出します。精油に利用するのは、「スパイス・ラベンダー」、「ラバンジン」、「フレンチラベンダー」の3種類です。また、原種のラベンダーは「真正ラベンダー」と呼ばれます。主要成分は酢酸リナリルとリナロールです。 ラベンダーは、古代ローマの時代から沐浴に利用され、そして、自律神経を整え、安眠効果で有名です。さらに、体への効能としては、頭痛や生理痛などの鎮痛作用の他に、免疫力の強化が期待できます。また、原液を塗布することで軽い火傷の応急処置に利用することができます。その上、抗炎症や鎮痛、消毒作用により、傷やニキビを早く治す効果があります。 ただし、使用上の注意としては、月経を整える通経作用があるため、妊娠初期の使用は控えた方がよいでしょう。
リネンウォーター
リネンウォーターは、植物からエッセンシャルオイルを蒸留法で抽出した後、芳香成分を含んだ水蒸気を水に戻したものです。主にヨーロッパで、古くから洗濯後の布類の香りづけで使用されてきたことで「リネン(布類)ウォーター」と呼ばれるようになりました。 リネンウォーターは、スプレー容器に入れて香水のように吹きかけるだけで、アロマよりも手軽に楽しめて人気があります。また、香水ほど香りが強くないのも特徴です。 使用法は、洗濯後の衣類やアイロンがけ前の衣類、あるいは部屋の芳香剤としてカーテンなどに吹きかけます。そして、化粧水の代用や、風呂の入浴剤として利用します。 リネンウォーターは、スプレー容器に無水エタノールを入れ、精油を加えて溶かし、さらに、精製水を入れてよく振れば、自宅でも簡単に作ることができます。
利尿作用
利尿作用とは尿の排泄を促し、体の余分な水分を外に排出する作用のことです。アロマオイルには、効能として尿の排泄を促す利尿作用のあるものが多くあります。排尿が促進されると体の水分が排出され、むくみが解消されるほか、デトックス効果により健康増進や新陳代謝の向上につながります。また、新陳代謝がアップすると脂肪が燃焼されやすくなるため、痩せやすい体質をつくるのに効果的です。そのほかに、利尿効果により血流が抑えられるので、血圧を下げることもできます。 利尿作用があるアロマオイルの中で有名なのは、「カモミール」や「ユーカリ・グロブルス」、「ブラックペッパー」などです。キャリアオイルで希釈してマッサージを行い、さらに、部分浴や全身浴に効果的です。
冷却作用
冷却作用とは、触れた部分の温度を下げる、あるいは、発熱した際の解熱やスポーツをした際の筋肉痛の鎮痛の効果につながる作用です。また、その作用により爽快感を感じることができるのも特徴で、気分をリフレッシュしたいときにも効果的です。 冷却作用のある精油は「ペパーミント」と「ゼラニウム」が有名です。特にペパーミントは、古代から幅広い用途で用いられているハーブで、日本でも「薄荷(ハッカ)」と呼ばれ、親しまれてきました。そして、爽快感を感じるフレーバーとしてガムや歯磨き粉などさまざまなところで利用されています。さらに、ペパーミントは香りを嗅ぐだけで体感温度が4度下がるという実験結果があります。ジェルやスプレーに使用することで夏の暑さ対策にも効果が期待できるアロマです。
レモン
レモンは、ミカン科の常緑低木で、皮の部分を圧搾法によって抽出されるアロマオイルです。主な成分はリモネンとシトラールで、抗うつ作用や鎮静作用の効果があります。リフレッシュや気分転換に最適なアロマとして広く親しまれており、集中力をアップする効果も期待できます。 身体面では、消化促進作用や胃腸の働きを正常にする効果があり、胃もたれや胃のむかつきを感じた時に使用します。また、免疫強化作用や殺菌消毒作用があるので風邪予防にも効果的なアロマです。 そして、肌に対してはイボやウオノメを改善します。さらに、皮脂分泌を抑える効能があるため、脂性肌やニキビに悩んでいる人のスキンケアにも適しています。ただし、時折皮膚刺激を感じることがあるので、敏感肌の人は使用に注意が必要なことと、光毒性があるため夜に使用しましょう。
レモングラス
レモングラスは、レモンの香りがするイネ科の植物です。インド周辺で古代から冷却効果のあるハーブとして広く使われ、トムヤムクンの主原料としても有名です。 抽出部位は葉や茎で、水蒸気蒸留法によって抽出します。主な成分として、レモンの香味成分と同じシトラールを多く含み、また、シトラールの含有量によって西インド型と東インド型に分けることができます。 そして、レモングラスは「ドライバーの精油」とも呼ばれ、その香りは気分をリフレッシュするのに適しています。身体的な効能としては消化促進作用があり、ストレスなどからくる食欲減退やスポーツをした後の疲労回復に効果的です。さらに、消毒殺菌作用があるためニキビ肌の人のスキンケアや、水虫のケアにも多く使われます。ただし、主要成分であるシトラールが皮膚刺激を起こすことがあるため、敏感肌の人は使用の際に注意が必要です。
ローズ
ローズはバラ科の植物で、花の部位を抽出します。その抽出方法により「ローズ・オットー」と「ローズ・アブソリュート」に分けられます。 ローズ・オットーはブルガリア産のダマスセナ種のバラから水蒸気蒸留法により抽出され、ローズ・アブソリュートはモロッコやフランス産のキャベッジ・ローズから溶剤抽出法により抽出されます。ローズ・アブソリュートはローズ・オットーよりも香りが豊潤で、コスト面でも安く抽出することができるため香水などに広く用いられています。一方、ローズ・オットーは芳香成分がローズ・アブソリュートよりも少ない半面、アロマ成分であるシトロネロールが多いのでマッサージやスキンケアに適しています。 ローズの香りは心を鎮静化し、穏やかに保つ効果があります。身体面では特に女性の身体的不調と関わりが深く、女性ホルモンを調整する働きや子宮強壮の働きがあります。また、ローズは美容にも適した精油で、肌の炎症や吹き出ものを治す美肌効果だけでなく、老化や乾燥を防止する保湿効果もあります。女性のための精油としてローズが「精油の女王」と呼ばれるゆえんです。 そして、ローズは、敏感肌や乾燥肌の人でも安心して使用できる精油ですが、ローズ・アブソリュートは有機溶剤で抽出しているので、人によってはアレルギー反応が出る場合があります。そのため、使用前にアレルギー反応をチェックするパッチテストを行った上で使用しましょう。
ローズマリー
ローズマリーはシソ科で多年性の低木で、花や茎、葉の部分を水蒸気蒸留法によって抽出します。 ローズマリーは、ヨーロッパや北アフリカの地中海沿岸に幅広く生息していることから、ラテン語で「海のしずく」を意味する「ロスマリノス」がその名前の由来だといわれています。古くからスパイスとしても広く使用され、消臭効果や抗菌作用、抗酸化作用があるため、肉などの保存用に用いられています。 ローズマリーには3つの種類があり、それぞれ含有する成分の割合が異なるため、別の名前で呼ばれています。北アフリカ産でシネオールを多く含むローズマリーは「ローズマリー・シネオール」と呼ばれ、呼吸器系の不調の際に効果的です。フランス産のローズマリーはベルベノンを多く含み、スキンケアやヘアケアに多く用いられ「ローズマリー・ベルベノン」と呼ばれています。スペインやクロアチア原産のローズマリーは「ローズマリー・カンファー」、あるいは「ローズマリー・ボルネオン」と呼ばれ、ケトン類のカンファーを多く含みます。また、神経系や筋肉へと働きかける効果があります。 ローズマリーの香りは神経を刺激して気持ちをクリアにし、前向きな気分になれる効果があります。記憶力や集中力のアップに使用するとよいでしょう。