美容師に大切な会話力!お客様とのやりとりを楽しむ方法
美容師はカットのスキルだけでなく、会話力も重要です。お客様の中には、ヘアスタイルを変えたいだけでなく、美容師とのコミュニケーションを求めてやって来る人もいます。会話があまり続かないと今後も指名されにくくなりますし、美容院自体を乗り換えられる恐れもあるのです。会話があまり得意でない美容師も、お客様とのやりとりが続くように努力をしましょう。ここでは、美容師がお客様と会話を弾ませるためのコツを紹介していきます。
自分が話すのではなくお客様の話を引き出す
「話し上手」な美容師が必ずしもお客様との会話を盛り上げられるとは限りません。確かに話し上手な人は友人たちを楽しませる術には長けています。しかし、お客様は「美容師の話を聞きたい」と思っているかは未知数です。中には、「自分が話をしたいのに美容師ばかり話している」と不愉快に思うお客様もいるでしょう。特に、お客様の話をさえぎったり否定したりしてまで話を続けているなら、「会話」が成立しているとはいえません。一方的に美容師が口を開いているだけの状態はお客様の心が離れていくので気をつけましょう。
美容師の心得として、お客様に「話をさせる」ことが大切です。多くの人が自分の話を聞いてほしいと思って過ごしています。しかし、家庭や職場では相手の「聞き役」にまわる場面も多く、潜在的に「話し足りない」と感じながら過ごしているお客様は少なくありません。美容院でお客様から好印象を抱いてもらうには、「たくさん話せる場所」だと感じてもらうのが得策です。
しかし、初対面の美容師にいきなり何でも話してくれるお客様は珍しいでしょう。美容師からお客様の「話したいこと」を引き出してあげる必要があります。最初は「いい天気ですね」や「どこから来られたのですか」というありきたりなやりとりでもかまいません。会話を楽しみたいお客様は、やりとりの中で無意識に「話したいこと」へと流れを向けようとします。美容師はお客様の心理を察し、「話したいこと」を追求してみましょう。たとえば、「良い天気ですね」という問いに対してお客様が「汗をかいてメイクが崩れてしまった」と返してきたら、美容に関心が強いお客様かもしれません。「確かにすごくメイクにこっていらっしゃいますね」と相槌を打つと、会話が弾む可能性があります。
話題を引き出すには「質問」も重要です。難しい内容を質問しなくても、「知らないスタンス」に徹して「それって何ですか?」と聞いていくのが大切です。また、お客様の話にリズムよく「へえ」「そうなんですか」と相槌を打っていくのも、会話を弾ませるためのテクニックです。「話題に詳しくはないけど関心はある」人は、お客様からすると絶好の「聞き役」です。自分の意見を挟まずにお客様が気持ちよく話せる状況を作り出しましょう。
話題はSNSや雑誌で仕入れておく
「知らないから教えてください」という立ち位置でお客様と会話をするのも1つの方法ですが、ときには「同等の知識がある人と話したい」お客様も来店するでしょう。そもそも、人間には「承認欲求」があります。自分の意見を誰かに共感してもらったり、共通の話題で盛り上がったりすると人間は自分が認められた気になって安心します。承認欲求を抱えたお客様の相手をするなら、出された話題にもある程度詳しい必要があります。
そこで、美容師にとって情報収集は重要な課題です。ファッションやヘアスタイルについて学ぶのはもちろん、芸能やスポーツ、エンターテイメント情報など幅広く押さえておくと接客に役立ちます。ただし、あらゆる情報をしらみつぶしにリサーチするのは至難の業です。忙しい美容師に、情報収集にまで割ける時間は残されていません。そこで、「トレンド」と呼ばれる最新の流行を中心に話題を集めておくのが賢明です。
トレンド収集にとても便利なツールがソーシャルネットワークサービス(SNS)です。Twitterやブログでは「トレンドワード」が表示されるため、世間の関心が一目で分かります。また、特定のキーワードでSNS内をリサーチするとリアルタイムの反響が把握できます。つまり、トレンドワードの意味を調べるだけでなく、世間の盛り上がりを知るためにもSNSは効果的なのです。たとえば芸能スキャンダルが起きたとして、SNSを見渡せば「大多数の意見」をつかめるので、お客様から話題を振られたとしても無難に対応できます。
SNSほど即効性はありませんが、雑誌も貴重な情報源です。そもそもネットで盛り上がっている話題も元を正せば週刊誌や新聞などのメディア発信であるケースが目立ちます。雑誌記事を読み込んでおくとトレンドの詳しい経過が分かりますし、何よりも客観的に理解できます。美容師が読むべき雑誌は好みで選ぶのではなく、「美容院に置いてある雑誌」を優先にしましょう。お客様の多くが待ち時間に雑誌を広げます。今仕入れたばかりのスキャンダルについて話したくなるお客様もいるでしょう。美容師がお客様の振ってくる話題に乗ってくると、お客様も気持ちよく話せます。少なくとも、雑誌の最新号の目玉記事くらいは目を通しておくといいでしょう。
話題は相手の反応を見ながら探っていく
「話をしたい」と考えていても自分からは話を切り出せないお客様もいます。また、最初から話をする気がなく、静かに過ごしたいお客様も珍しくありません。美容師が大変なのはお客様ごとの気持ちを見極め、それぞれに合った対応をしなくてはいけない点です。
話をしたくないお客様は会話への反応が薄いので、比較的分かりやすいです。すぐに雑誌を開けたり居眠りを始めたりして、「コミュニケーションをとりたくない」というオーラを漂わせてきます。最初から会話を拒否しているお客様については、どんな美容師が相手でも基本的には同じ行動をとると考えられます。決して担当美容師が嫌われているわけではないので、カットに必要な最小限の会話だけするようにしましょう。会話を避けたいお客様に無理やり話しかけても、美容師の好感度はますます下がるだけです。
問題なのは、会話自体はしたい素振りを見せているのに「ぴったりな話題が見つからない」ときです。よくある失敗が、特にお客様の興味がない話題を引っ張ってしまってストレスを与えてしまうケースです。お客様から「あの美容師とは話が合わなかった」と思われたら、リピートされる可能性が減ってしまいます。そこで、会話は臨機応変に切り替えていく柔軟性を持ちましょう。ある話題に対してお客様のリアクションが薄かったら、すぐに変えたほうがお客様も楽です。
お客様の関心が薄いサインとして「自分の意見を言わない」「相槌が多くなる」「質問をしてこない」などが挙げられます。また、会話が上手くかみ合わないときもお客様が「しっかり話を聞いていない」可能性を疑いましょう。とはいえ、急に180度違う話題が振られてもお客様に違和感を与えます。話題を変えるときは、「ちょっと前髪を切りますね」という風に作業の経過を告げるなどして「クッション」を挟みます。そして、空気が変わり会話が途切れたところで違う話題を振ります。
女性のお客様は特に、美容院1回あたりの時間が長く美容師との相性を重要視します。会話が苦痛でなく、楽しめる美容師を見つけたら高確率でリピートしてくれるでしょう。お客様との会話を盛り上げるためには「自分の意見」よりも「お客様の意見」を大切にすることです。そして、お客様から振られた話題を大切にして質問や相槌を挟んでいきましょう。美容業界の求人サイト「リジョブ」は職探し以外にも美容師に役立つ情報満載なので、読んでみるといいでしょう。”