セラピストでも確定申告は必要? お得に納税する方法をお伝えします
セラピストを、大きく分けると、アロマテラピーなどの施術を行う「ボディ系のセラピスト」、精神療法や心理療法を行う「精神系のセラピスト」、気功や霊気などのエネルギー療法を行う「エネルギー系のセラピスト」の3種類がありました。
けれども最近は、セラピストの語源である「セラピー」が「治療、療法」という意味を持つことから、昔でいえば「治療師」や「療法士」などもすべて「セラピスト」と呼ばれる傾向にあります。
一例を挙げると「スポーツセラピスト(運動療法士)」「フードセラピスト(食育療法士)」「ハーブセラピスト(薬草療法士)」などという職種です。
つまりセラピストは、それぞれの持つ技術を使い、お客さまに癒しを提供したり治療を施したりする仕事です。例えばアロマセラピストならアロマオイルによるマッサージを提供しますし、カラーセラピストであれば色による癒しを提供します。
セラピストのサロンを訪れたことのある人は多いでしょう。また自分のサロンを持ちたいと考えている人もいるでしょう。サロンのオーナーは、確定申告をする必要があるのでしょうか。
セラピストは確定申告をしないといけないの?
セラピストとして独立開業はしてみたものの、個人事業主として確定申告をしなければならないのか不安だという人は多いでしょう。確定申告をする場合に相談する相手もいないし、何をどうすれば良いかわからないという声を良く聞きます。
セラピストも自分でサロンを開いているのであれば、確定申告はしなくてはなりません。フランチャイズのサロンだったとしてもです。
セラピストは個人事業主
確定申告を理解する前に、個人事業主について確認しておきましょう。
個人事業主とは、会社などは設立せずに個人で商品やサービスの対価としてお金を貰う仕事を行っている人の事を言います。
例えばお店と業務委託契約を結んでいても、成果に応じて売上歩合で収入を得ているセラピストやエステティシャンの施術者は立派な個人事業主となります。また自宅サロンを開業した場合も、当然個人事業主です。
つまり独立したセラピストは個人事業主です。街のお店屋さんは皆そうであるように、お客様から直接お金をもらってセラピーを行いますから、その収入に対して税金を納めなければなりません。
確定申告をする前に必要経費の確認を
確定申告をするにあたって、セラピストにとってどんなものが必要経費となるのか、確認しておきましょう。
セラピストが確定申告をするときに認められる経費とは?
必要経費という言葉は聞いたことがあるけれど、よくわからないという人もいるでしょう。
一時期、個人事業主の場合「なんでも経費になる」などという話を聞いたことがある人もいるかも知れません。けれどももちろん生活に関係する費用まで「経費」に認められるわけはありません。
「経費」になるものには、「事業に関係する費用」という基本的なルールがあります。ぜひ、基本ルールを覚えて間違いのない処理をしてください。
物を販売するために仕入れた商品は経費になりますし、人を雇っていれば給料も、事務所を借りていれば家賃も経費になります。そのほか、事業に関連するお客様との会食や、ボールペンやノートなどの事務用消耗品も経費です。また、広告宣伝費、雑損失なども経費になります。
必要経費として認められるもの
セラピスト業の必要経費は、セラピスト業の収入金額に対応する部分の費用をいいます。セラピスト業の必要経費の主なものは以下のとおりになります。
①レンタルルーム代
②店舗家賃(事業用部分)
③HP作成料・広告料
④セミナー参加費
⑤セラピスト協会の会費
⑥セラピスト関連本
⑦精油・ネイル購入費
⑧イベント出展料
⑨商材費・交流会参加費
⑩チラシ・名刺作成・印刷費
⑪交通費
⑫減価償却費
⑬施術時における備品類(10万円未満)
⑭施術時におけるリネン費・お茶代・お菓子代
⑮携帯電話などの通信料のうち事業用部分
必要経費として認められないもの
①生活費
②所得税・個人住民税
③国民健康保険・国民年金(「所得控除」に該当)
④医療費・生命保険料・地震保険など(「所得控除」に該当)
⑤住宅借入金等の利子
⑥携帯電話などの通信料のうち家事用部分他
セラピストは青色申告による納税がおススメです
セラピストで少しでも税金を抑えたいと思うなら、青色申告がおすすめです。個人事業主の大半は青色申告をしています。
青色申告とはいったいどんな申告?
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
1年間(1月1日から12月31日までの間)に生じた所得金額を正しく計算して申告するためには、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を帳簿に記録(記帳)し、取引に伴って作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。
一定の基準に従って帳簿に記録していれば、「青色申告」という方法で税金の申告をすることができます。青色申告にすると、税金の面でいろいろ有利な特典を受けることができます。青色申告の承認を受けていない人が行う申告は、白色申告といいます。
青色申告をすることによるメリット・デメリット
青色申告のメリットは、青色申告特別控除を受けることができることです。
個人事業や不動産事業を営んでいる者が青色申告をしていて、正規の簿記の原則により記帳している場合は、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、提出期限までに提出すれば、青色申告特別控除として、最高65万円を差し引くことができます。
また、青色申告をしている場合、事業主と生計を一にしている配偶者や15歳以上の親族で、その事業に専ら従事している人に支払う給与については、仕事の内容や従事の程度などに照らして相当であると認められる金額を必要経費に算入することができます。
青色申告をしている場合、純損失の繰越しと言って、事業から生じた純損失の金額を、翌年以後3年間にわたって、順次各年分の所得金額から差し引くことができます。また、純損失の繰戻しと言って、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を前年分の所得金額に繰り戻して控除し、前年分の所得税額の還付を受けることもできます。
青色申告を適用するためには、事前の承認申請が必要です。また青色申告で求められる帳簿を作成するためには簿記の知識を有していなければなりません。知識や時間がなければ、税理士に依頼するなどしなければなりません。
そうすると、それに対するコストもかかってきます。つまり、青色申告をするためには手間やコストがかかるというデメリットがあるわけです。
一方、平成26年の法改正で白色申告においても帳簿の提出が必要になったため、白色申告と青色申告の手間の差はほとんどなくなりました。結論としては、青色申告をした方が得と言えます。
青色申告を簡単に済ませるにはどうすれば?
大きな節税メリットがある青色申告はお得であることは分かっていても、確定申告書の作成は難しいと思いますよね。
そこでお勧めしたいのは、確定申告ソフトの活用です。このソフトをインストールし、ステップに沿って必要事項を入力するだけで、簡単に確定申告書類の作成ができます。その方法を見ていきましょう。
簡単に確定申告の書類を作るには
確定申告の申請書類を作成したことがない人が簡単に作成することができるために、たくさんのソフトが出ています。
アプリを使って書類の作成をする
確定申告ソフトfree、やよい青色申告オンラインベーシックプランなど、かんたんに確定申告ができるアプリを使ってみましょう。
使い方は、まず基本情報の入力をします。あなたの事業、事業主であるあなた自身の情報について入力後、青色申告を選択します。提出方法も選択します。次に、確定申告書を作成する際に必要な情報を入力していきます。年度の取引の最終確認を行った後、提供された確認の質問に答えていきます。これで終了です。
ソフトなら月額2,000円程で済みますし、オプションで確定申告についての質問を電話することもできます。マイナンバーカードとカードリーダーも用意すれば、自宅からそのまま提出も可能ですから、税務署へ行く手間もかかりません。
税理士さんなどに経理を依頼した場合、経理の月額費用は1万円〜、確定申告書類の作成は5万円〜10万円ほど必要です。
会計に関する知識がゼロの初心者の利用者から、確定申告が本当に簡単に終わった、との声も多数聞こえます。確定申告を行うためには、日頃から帳簿をつけたり、必要書類をそろえたりしておく必要がありますが、ソフトを活用すれば、書類不備で手続きができなかったとか、何度も書き直しをして大変だったとか、そういう思いをすることは少なくなるでしょう。
e-taxを使って確定申告をする
e-Tax(イータックス)「国税電子申告・納税システム」は、国税庁が管轄する国営のオンラインサービスで、2004年から導入されました。
インターネット環境があれば、自宅やオフィスにいながら国税に関する申告・申請・届出・納税の手続きが行える、とても便利なシステムです。自分のパソコンで決算報告書や確定申告書が作成でき、申告手続きまで済ますことができるので、確定申告のために税務署を訪れ、長蛇の列に並ぶ必要がなくなります。
e-Taxに対応した申告書を作成・送信するために、前述した数種類の市販のソフトから自身に合ったものを選んで利用することになります。
e-taxの利用手順は次の通りです。
①利用者情報の登録・確認・変更
申告・申請等データの基本情報となる氏名、住所等の「利用者情報」及び税務署からのお知らせ等を受信する「メールアドレス」の登録・確認・変更ができます。
②納税手続
納付情報登録依頼(税目・納付金額等の納付情報データの作成及び送信等)の受信通知から、ダイレクト納付が利用できます。また、インターネットバンキングへのリンク、クレジットカード納付専用の外部サイトへのリンクができます。
③メッセージボックスの確認
e-Taxに送信した申告・申請等データの送信結果、税務署からのお知らせ等をメッセージボックスから確認できます。
④還付金処理状況の確認
e-Taxを利用して還付申告を行った方は、還付金の処理状況を確認できます。
なお、還付金の処理状況が確認可能になるのは、e-Taxを利用して還付申告を提出してから、2週間程度経過した日からとなります。
⑤納税証明書の交付請求
⑥徴収高計算書の提出
⑦振替納税結果の確認
税金は知らなかったでは済みませんので必ず納税するようにしてください
納税は国民の義務の一つです。サラリーマン時代には会社経由で無意識に払っていた税金ですが、個人事業主となったら自分でしっかり払わなければなりません。知らなかったでは済まされません。
確定申告が必要なのに確定申告を行わず、その事実が税務署に発覚した場合、本来納付すべき税額に加えて税額に応じた罰金(無申告税)の支払い、さらに延滞税などの支払いが求められます。悪質な場合には刑事罰になることもあります。
ですから個人事業主の方で確定申告の対象となる場合は、確定申告する事が義務付けられているので、必ず確定申告を行って下さい。
また、あなたが確定申告をしなくても、あなたに対価を支払った法人や個人から税務署に無申告が発覚するケースも有ります。
経営とはお客様を迎えてサービスの対価をいただくところから、税金を納めるところまできちっとすることを言います。評判のセラピストになると同時に、やるべきことをしっかりできる経営者になってください。