セラピストの地位を向上させることが使命。Aroma flow佐々木直子さん#1 

子どもの頃からの身体好きが高じて、養護教諭・エステティシャン・アロマセラピスト・アロマスクール講師とキャリアアップしてきたAroma flow代表の佐々木直子さん。現在は、エステティシャンやセラピストの資格を取得した人向けのセミナーを開催しています。佐々木さんが、ターゲットを資格取得者に絞っている理由は? それは、集客ノウハウを知らなかったために自宅サロンを閉めることになった自らの経験や、資格を取得しただけでは現場で通用しないことを、佐々木さん自身がよく分かっているから。佐々木さんの目指すものを伺いました。

お話を伺ったのは…
Aroma flow
代表 佐々木直子さん


小学校の養護教諭を経て、エステティック・アロマサロンの経営に携わる。その後、産婦人科のセラピストを経て、アロマスクール講師となり、12年で1500人以上のインストラクター・セラピストを養成。IFA国際セラピスト育成では、世界で数パーセントしか選ばれない最高位ランクを多くの生徒に取得させる実績を持つ。アロマセラピーや解剖生理学を中心とした講座登壇回数は3000回以上。現在は、アロマ関連セミナー・サロン開業コンサルタントとして活動。

「スタッフになればタダでエステができるよ」とスカウトされる

「興味があることを突き詰めていった結果、現在に至ります」と佐々木さん。

――佐々木さんは、養護教諭から社会人をスタートさせたそうですね。

母が看護師だったせいか、子どもの頃から身体の仕組にとても興味があって、最初は養護教諭になりました。でも当時の保健の先生は、わたしが想像していたものとはだいぶ違っていたんですよね。保健室には不登校の子が常に7~8人いて、さらに毎日70~80人の子どもたちをひとりで対応しなければいけなくて、まったく休む時間がありませんでした。だんだん、この仕事はわたしじゃなくてもいいのでは、もっとダイレクトに喜びを感じられる仕事がしたいと思うようになり、4年で退職しました。

養護教諭時代は、あまり自分に手をかけていなかったので、自分に手をかけたくてまずはエステサロンに行ったんです。そこで、肌のことやメイクのことなどたくさん質問をしていたら、スカウトされたんですよね。

――えっ? エステティシャンとしてですか?

そうなんです。フェイシャルメインの大手エステサロンだったのですが、たまたま直営店をまわっていた専務の方が、私があまりにもいろんな質問をしているのを耳にして、「そんなに興味があるんだったら、ここのスタッフになればタダで勉強できるし、エステもお互いに練習してタダでできるよ」と声をかけてくれたんです

――その場でお返事したのですか?

はい。「明日から来て」と言われて、エステも面白いかもしれないなという軽い動機でこの業界に入ったんですよね。でもこれが、わたしの人生の中でいちばん大きな転機だったと思います。

3ヶ月も経たないうちにエステティシャンとしてデビューしました。毎日、お客様のフェイシャルエステをしているうちに「顔と体は繋がっているんだな」と実感しました。そうしたら、やっぱりボディのほうが気になってしまって。エステサロンは一旦やめて、いろんなメーカーの研修に参加しながら学びを深め、自宅サロンを開きました。ところが、公務員上がりで商売のことが分かっていなくて、集客がまったくできなかったんですよね

――自宅サロンは一旦クローズですね。

はい。その後、当時まだ少なかったアロマセラピーサロンを訪れて、「これだ!」と。充実したカウンセリングで、不調だけをみるのではなく、それがなぜ起きているのかを包括的にみて、それに合わせて精油を選び、トリートメントを行う。アロマセラピーは自分が求めていたことに近いかもしれないと感じて、今度はアロマセラピーのスクールに入りました。アロマセラピストの資格を取得するための勉強をしながら、もう一度サロンの運営に携わります。一度、自宅サロンで失敗しているので不安な気持ちもありましたが、オーナーになってくれるという方がいたので、温泉施設に付帯するサロンの店長になりました。

――店長の仕事は充実していたのですか?

最初は、アロマセラピーが認知されず、お客様が全然こなくて本当にきつかったです。でも、半年くらいでお客様がついてきて、どんどん売上が上がり、最終的にはスタッフも7名に。多いときは一日に7名のお客様の施術をするような盛況ぶりで、7人目はちょっと記憶が飛ぶくらいの感じでしたね。ここでは1年半でしたが、トータルでものすごい数の施術をしたので、骨格や筋肉の違いに触れることができて成長にもつながったと思います

――大変なことも、後で思えば糧になるということですね。その後はどうされたのですか?

自宅を新築することになったので、二度目の自宅サロンにチャンレンジしました。このときは、温泉施設のときのお客様がついてきてくださって、個人サロンとしては十分な売上がありましたね。

同じ頃、卒業したアロマスクールから講師として戻ってこないかというお誘いを受けて、講師業もスタートさせました。このスクールには12年間在籍して、約1500人のセラピストを育ててきました

現場で通用する技術まで押し上げる有資格者向けセミナー

実技セミナーを受講中の生徒さん。スキルアップを目指して、表情は真剣そのもの。

――現在、資格を取得した人をターゲットにしたセミナーを開講しているそうですが、その理由は?

わたしが育成に関わった1500人全員がセラピストになったのかというと、そうではないんですよね。アロマやエステのスクールでは、この資格をとるためにはこの技術のこのレベルまであればいいという基準があって、そこを目指しています。その基準が、お客様に通用するかは別物なんですよね。スクールに通ってセラピストのディプロマを取得しても、すぐにお客様がつくわけではないんです。その隙間を埋めるために、現場で通用するトリートメント、ニーズに合うエステティックまでレベルアップさせたくて、卒業した方向けのセミナーを開講することにしました

――スクールで資格をとったら、即セラピストになれると思っている方が多いですよね。

そうなんです。でも、実はお客様に選ばれるところまでは達していないのが実情。わたしはセラピストを経て、スクール講師をしていたので、身をもってそれが分かっているんです。それが分かっていて生徒さんと向き合うことが、ずっと苦しかったんですよね。

――開業はしたものの、顧客がつかないセラピストさんは悩みますよね。

できないことで自己嫌悪に陥ったり、わたしはできないとマイナス思考になってしまう方が多いのですが、ただ方法を知らないだけなんです。だから、もっと人に助けを求めることが大事。わたしも自分だけで運営していたので、一度はサロンを閉めたり、十分な売上が上がるまでにものすごい遠回りをしてきました。でも、そのノウハウを知っている人は必ずいるので、知っている人に頼ったほうが絶対早いんです。セラピストの方には、ぜひ視野を広げてほしいと言いたいですね。

――佐々木さんは、セラピストを応援するのが使命とおっしゃいます。

わたしがこの仕事をしている最大の理由は、セラピストの地位を上げたいからなんです。日本でも、マイセラピストを持つのが当たり前にしたい。そうするためには、ちょっと言葉がきついかもしれませんが、セラピストが勉強不足なんですよね。アロマやエステは民間資格なので、自分で名乗れば明日からセラピストになれます。でも、セラピストの知識が不足していては、受け皿になれませんよね。技術や知識を底上げして、セラピストが社会全体に認めてもらえるように、皆さんと一緒に成長していきたいと思っています。

佐々木さんが資格取得者向けのセミナーを開講する理由は

佐々木さんがエステティシャンやセラピストの資格取得者向けのセミナーを開講する理由は、以下の3つです。

1.資格を取得しただけでは、現場で通用しないことを知っているから。

2.資格取得~現場で通用する技術までレベルアップさせたいから。

3.セラピストの地位を向上させたいから。

後編では、それぞれが必要な技術や知識を単発で学べるAroma flowのセミナーについてお伺いします。

取材・文/永瀬紀子

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