理容師になるためには?受験資格・試験内容・年収についてまとめて紹介
おもに理容室やサロンなどで活躍する理容師として働くには、理容師資格を取得しなければなりません。この資格を取得するには、専門的な知識・スキルを養成施設などで身につける必要があります。
ここでは、この理容師資格を取得するうえで知っておきたい受験資格や試験内容、および年収をはじめとする収入の実態を見ていきましょう。
理容師になるためには養成施設を卒業する必要がある
理容師になるうえでは、専門的な知識とスキルを身につけなければなりません。その学習ができるのが養成施設であり、理容師資格を取得するうえでは養成施設を卒業することが必須条件です。
ここでは、養成施設に該当する種類を確認しておきましょう。
昼間課程の専門学校を卒業する
理容師資格を取得する際に、卒業しなければならない養成施設のひとつが専門学校です。理容師志望者向けの専門カリキュラムを用意している専門学校は非常に多く、多くの人は昼間課程のコースを利用します。
この昼間課程とは、おもに朝から夕方にかけておこなわれる授業を2年間に渡って受けるものです。授業がおこなわれる時間帯から考えると、日中に学習をするための時間をじゅうぶんに確保できる人に向いている課程でしょう。
また、ほかの養成施設に比べて専門学校の昼間課程には卒業までにかかる日数が少ないメリットもあるため、可能な限り早く資格を取得したい方に適しています。
夜間課程の専門学校を卒業する
理容師向けの専門カリキュラムを用意している専門学校では、昼間課程とは別に夜間課程を用意していることもあります。夕方から夜間にかけての数時間を活用して授業をおこなうこの課程は、昼間に働いていたり、大学へ通っていたりする人に適しているでしょう。
夜間課程の場合、一日の授業時間は昼間課程に比べて短くなることから、卒業までに2年半程度の日数を要します。そのため、できるだけ早く資格を取得したい方には不向きですが、じゅうぶんに時間をかけながら少しずつ学習をしていきたい方には適しているでしょう。
通信課程の専門学校を卒業する
理容師資格を取得するうえでは、専門学校の通信課程を利用することも選択肢のひとつとなります。通信課程には基本的に通学の必要がないというメリットがあり、近隣に養成施設がない方や働きながら学習をしたい方におすすめです。
通信課程を用意している専門学校は約200校あり、3年間に渡って学習をしていくこととなります。そのため、昼間課程や夜間課程に比べると卒業までの所要日数がだいぶ多くなるということは覚えておかなければなりません。
また、通信課程では一部授業で通学を必要とする面接授業として実施することから、すべてのカリキュラムを自宅で受けられるわけではないことも覚えておきましょう。
理容師の国家試験合格に必要な3つのこと
理容師資格は国家資格として認定されていることから、取得するには国家試験に合格しなければなりません。
合格するためには以下の3つのポイントを押さえつつ、試験に向けた準備を進めていくとよいでしょう。
理容師国家試験の受験手続をおこなう
理容師国家試験を受験する場合、まずは受験手続をおこなう必要があります。具体的には受験願書の提出が必要となり、毎年5月に理容師美容師試験研修センター本部、もしくは各ブロックの事務所で配布される願書に必要事項を記入し、期日までに提出しなければなりません。
この提出期限は毎年異なるため、必ずその年度の期日を確認しておきましょう。また、近隣に願書の配布場所がない場合、郵送してもらうことも可能です。
このほか、受験手続では受験料の支払いも必要となります。金額は実技・筆記の両方を受ける場合が2万5,000円、どちらかのみを受ける場合は1万2,500円です。詳細な金額は年度によって変わる可能性もあるため、こちらも必ず最新の情報を確認してください。
理容師の実技試験に合格する
国家試験は実技と筆記にわけておこなわれ、資格取得のためには両方に合格する必要があります。
実技では、理容師に求められる技術がしっかりと身についているかが判定基準です。具体的には「カッティング」「シェービング・顔面処置」「整髪」の3つの試験が実施されることから、これらの試験対策はバランスよくおこなわなければなりません。
また、実技に関しては審査マニュアルがあらかじめ公開されることから、その内容をよく確認したうえで試験対策をおこないましょう。
理容師の筆記試験に合格する
理容師の国家試験では、筆記試験も実施されます。現行の試験はマークシート方式で、出題課目は以下の7つです。
・関係法規・制度及び運営管理
・衛生管理
・保健
・香粧品化学
・文化論及び理容技術理論
試験内容は理容師の施術内容にとどまらず、保険制度やファッションなどの幅広いテーマを網羅しているため、合格するには幅広い知識を身につけなければなりません。
また、筆記試験に関しては過去問が公開されていることから、それらを参考にしながら出題傾向を分析していけば効率的な試験対策ができるでしょう。
国家試験の合格率
理容師国家試験では基準を満たしたすべての受験者を合格とするため、合格率はその年の受験者のレベルによって大きく変化する傾向があります。
現時点で最新の2021年度第45回試験では1,289名の受験者のうち1,096名が合格し、合格率は85.0%に達しました。一方、同年度の第44回試験では受験者数が752名、合格者数が482名、合格率が64.1%となり、こちらはほかの年度と比較しても非常に低い水準となっています。
総合的に見てみると合格率は70~80%が平均的な水準となっており、しっかりと対策を講じてさえいれば、合格できる可能性は比較的高いでしょう。
理容師の収入(月収・賞与・年収)について
理容師資格の取得を目指すのであれば、資格の取得以外にも、その先の理容師として働くようになってからのこともよく考えなければなりません。
ここでは、そんな理容師の収入を2021年の賃金構造基本統計調査のデータをもとに見ていきましょう。
理容師の月収は平均約21万円
厚生労働省が発表した2021年の統計調査結果によると、理容師の平均月収は約26万円となっていました。ただし、理容師として働く人のなかにはアルバイトなどの非正規社員として雇用されている人も少なくないことから、正社員として就業する場合は平均よりも若干多い収入が見込めます。
また、理容師の平均月収は従業員数の多い勤務先で働く人ほど多くなるといった傾向もあることから、より多くの収入を得るためには勤務先選びも重要になるでしょう。
理容師の年間賞与は平均約60万円
正社員や一部の非正規社員として働く理容師には、賞与が支給されることとなります。年間の平均賞与額は約6万円となっており、年間支給回数が2回だとすると1回あたり3万円前後の賞与を受け取れるでしょう。
一方、賞与額に関しても勤務先の規模や業績によって増減する傾向があることから、より多くの賞与を得るうえでも勤務先選びは重要となります。また、とくに非正規雇用となる場合は、賞与があるかどうかをあらかじめ確認しておくことも忘れないようにしましょう。
理容師の年収は平均320万円
毎月の給与と賞与を含めた場合の理容師の平均的な年収は、約320万円となっています。ただし、こちらの平均額に関しても賞与が支払われない非正規社員の年収が含まれていることから、正規社員であれば平均以上の年収を得られる可能性は非常に高くなるでしょう。
また、理容師は経験や技術レベルに応じて収入が増減しやすい職種であるため、自身の頑張りや勤続年数次第では平均を大きく上回る年収を得ることも可能です。
理容師を目指すか迷う人は、ほかの人の経験談も参考にしてみよう
理容師になるためには国家試験に合格する必要があり、試験を受けるためには認定を受けた養成施設で所定のカリキュラムを受け、受験資格を満たさなければなりません。
また、受験に際しては実技・筆記両試験の概要をよく確認し、過去問などを活用しながら対策を講じておくとよいでしょう。
このほか、理容師を目指すうえでは平均的な収入などを把握しておくことも大切です。理容師資格や仕事内容などについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も確認してみてください。
引用元サイト
日本理容美容教育センター 理容師・美容師になるまで
理容師美容師試験研修センター 試験について
e-Stat政府統計の総合窓口 令和3年賃金構造基本統計調査