リバイバルブームを掴む。ファッション・ヘアカルチャーを知る
ファッション・ヘアカルチャーの流行は繰り返されると言われています。今回は再流行の兆しが見える1950年代から1990年代までの出来事と流行のスタイルを紹介していきます。現在でも多くの女性に影響を与えるファッションアイコンたちの活躍も垣間見えることでしょう。
清楚で上品なスタイル、「ヘップバーン・カット」
1950年代は、まだまだ戦争の傷跡が色濃く残っていた時代。しかし、ファッションに対する関心はたくさんの人が持っていました。当時の代表的な娯楽である映画からたくさんのトレンドが生まれました。当時大活躍したオードリーヘップバーンは、多くの女性の支持を集め、ファッションアイコンとなりました。彼女の代表作、「ローマの休日」の中でのヘアスタイルは「ヘップバーン・カット」と呼ばれ、日本でも大流行します。重めのストレートバングを眉上でぱっつんに切りそろえた前髪、サイドはタイトに後ろへ流しつつウェーブ感を出し、バックはえり足ぎりぎりでカットしたものでした。
ボーイッシュなベリーショート、「ツイッギー・カット」
1960年代の日本は高度経済成長が推し進められていきました。東京オリンピックの開催やビートルズの来日など、華やかなニュースが目立つ時代です。生活もどんどん豊かになり、ファッションやトレンドにもさまざまな変化が起こり盛り上がりを見せていきました。ビートルズが来日した翌年にはツイッギーが来日。当時、世界的なブームになったミニスカートの象徴ともいえる彼女。「ミニスカートの女王、ツイッギー」と呼ばれ、彼女が着こなすミニスカート姿に憧れた日本女性も数多く、60年代ファッションの代表とも言えるスタイルを作り出しました。当時の彼女のヘアスタイルは、「ツイッギー・カット」と呼ばれる小顔を活かしたモードなベリーショート。このヘアスタイルを手掛けたのは、当時まだ美容師だったヴィダル サスーンだと言われています。
アメリカのサブカルチャーを取り入れた、「サーファーカット」
1970年代、日本はさらなる成長を遂げ、1970年には大阪万博が開催されました。アメリカのサブカルチャー文化が日本でも流行りだし、テニスやサーフィンなどアメリカンスポーツの人気が高まります。その影響もあり、日本ではジーンズを筆頭にカジュアルなファッションが流行りました。そんな若者たちの中で大流行したのが、「サーファーカット」と呼ばれるヘアスタイル。髪が風になびくよう後ろを長くしたロングのハイレイヤースタイルで、全盛期には若い女性の約7割がこのサーファーカットをしていたと言われるほどでした。
バブル期の代名詞「ワンレン」と「聖子ちゃんカット」
1980年代、日本経済はバブル期にはいり景気が上昇。若い世代から社会人まで、お金をかけてファションを楽しむ時代に突入します。当時大流行したディスコのお立ち台に上がる女性を称した『ワンレンボディコン』という言葉も流行しました。これは当時のトレンドファッションだった、女性の身体のラインを意識させるボディ・コンシャスなドレス「ボディコン」と、ストレートの長めの髪を一定の長さで切りそろえた「ワンレングス・カット」、略して「ワンレン」をセットにした言葉。
また、一世を風靡(ふうび)したアイドル「松田聖子」がデビュー当時にしていた「聖子ちゃんカット」は、眉が隠れる長さの前髪にサイドとバックは肩下レイヤードをセンター分けし、サイドの毛先は後ろ、バックは内側にゆるくカールさせたスタイルで、若い女性の間で流行しました。
ラフでカジュアルな「シャギー」と、独自のスタイル「コギャル」
1991年のバブル崩壊により、80年代の派手な雰囲気も影をひそめた90年代。後半になるにつれファッションやヘアメイクも落ちついた雰囲気の物が好まれるなど、変化が激しい時代になっていきます。ヘアスタイルも大流行したテレビドラマなどを真似する女性が多く、セニングシザーやレザーなどを使用して毛先を細かくしたり、毛先を鋭くギザギザにして動きを出したラフな「シャギー」がトレンドとなります。
また、「コギャル」と呼ばれていた当時の若い女性達は、「茶髪」「厚底ブーツ」「ガングロメイク」「ルーズソックス」などの独自の流行を多く生み出しました。
いかがでしょうか? 今回は1950年代から1990年代のファッションおよびヘアカルチャーを時系列に見ていきました。こう見ると世相がファッション・ヘアスタイルに大きな影響を与えてきたのがわかりますね。その後2000年代に入るとカリスマと呼ばれるファッションリーダーがいなくなり、自分の好きなスタイルを確立するといった多様性が多くみられるようになってきます。また、これからは、近年のリバイバルブームで過去のトレンドに現代風アレンジが加わりおもしろい変化が見られるようになっていくでしょう。
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