女性“性”を大切に守りたい『HANAオーガニック』誕生物語 #1

「HANAオーガニック」という化粧品ブランドをご存知ですか? 化学肥料や化学農薬を用いない有機栽培で育った植物を中心とした天然成分を原材料とし、石油系の合成成分などは一切用いない、人にも自然にも優しいスキンケアやメイク用品を、国内で開発、販売している数少ない会社です。
「オーガニックコスメ? いいのはわかるけど、高いし、ストイックな感じがして、敷居が高い」「使用感がちょっと苦手〜」「そもそも、オーガニックと無添加の違いもわからない…」
そんな人にこそオーガニックの良さを実感して欲しいと、製品開発を行なってきた林田七恵さん。今回はじっくりお話を伺うことができました。
モアリジョブの読者も、オリジナルコスメの開発など、興味のある人も多いはず。
#1では「HANAオーガニック」誕生秘話を、#2では冬のこの季節、お勧めのケアアイテムをご紹介します。

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無添加化粧品から、オーガニック化粧品の開発へ

HANAオーガニック代表の林田七恵さん。ナチュラルで輝くような明るい笑顔の女性ですが、以前は、無添加化粧品を作る有名メーカーで開発に携わり、取締役も務めていたそうです。それがなぜ、独自ブランドを立ち上げたのでしょうか?

「オーガニックコスメは自分でも2000年頃から使い始めていて、その良さは十分にわかっていましたし、勤めていた無添加化粧品の会社でもいつか開発したいと思っていたんです。でも、会社が大きくなりすぎて、取締役会でもスーツ姿の男性がほとんど。開発は任されていましたが、会議は経営やマーケティング戦略が中心で、何か違うなぁと感じるようになっていました」

男性社会、競争社会の中でキャリアを磨きつつも、心身のストレスからか、不妊治療に通っていたという林田さん。気がつくと、部下の女性たちも不妊症に悩む人が増えていたそうです。

「女性を健やかに美しくと思ってこの仕事をやってきているのに、これではいけない。そう思い立ち、新しく会社を興すことにしました」

林田さん、30代での決断でした。
でもそう簡単には、オーガニック化粧品を作ることはできなかったのだそうです。

林田さん
HANAオーガニック誕生までのエピソードを語る林田さん。

日本ではオーガニック化粧品が作れなくなっていた!

林田さん

林田さんが、オーガニック化粧品を開発したいと考えるようになった2000年当時、日本国内にはオーガニック化粧品を作れる工場はなかったのだそうです。

「かつては日本にも、漢方コスメの処方があって、作っている工場もあったそうです。でも第二次世界大戦後、アメリカからファンデーション、ストッキング、パーマネントという新しい美容が入ってくると、日本人はみんなそちらに向いてしまったんですね」

地方に一つだけ残されていた小さな工場も、林田さんが訪ねた頃には「もう売れないから」と廃業していました。漢方コスメは、文字どおり、漢方薬局の一部に処方が残されているだけになってしまったのです。

「日本でオーガニックコスメを作ることができるようになったのは、今から10年前ほど前のこと。2007年にフランスのオーガニックコスメの認証団体が日本に入ってきて、エコサート・ジャパンが発足され、3つの工場が最初に認証を取りました。それでようやく、2008年から日本でも作れるようになったのです」

早速、林田さんは、その中から1つの工場を選び製品を取り寄せました。
「ところが、どのサンプル製品もまったく使い物になりませんでした。コスメの開発や製造は、ケミカル、つまり化学の世界なんです。処方さえできれば同じものがいくらでも作れます。でも、オーガニックコスメは化学合成品を使えないので、代わりにお酒やらお酢やらを持ち込んで、植物から抽出した成分を混ぜて……。自然成分を使うから、化学式通りにはいかない。本当に職人技なんです。やっと出来上がった製品は、青臭かったり、テクスチャーも悪くて。これでは、日本の女性は誰も使いたくないだろうというものでした」

林田さんは、国内は諦めて、韓国の工場に開発を依頼しようかと思ったそうです。

「韓国では、日本同様に西洋医学も入ってきたけれど、独自の漢方(=韓方)もしっかり守られていて、フランスやドイツのオーガニックコスメの受託も30年と歴史があるんです。でも、どうしてもしっくりこない。日本人の肌には少しきつい、というか強く感じたんですね。植物が育つ気候も風土も、人の食事も肌質も違うのだから、感覚が違うのも仕方がないのでしょう。やはり、国内開発にこだわろうと決心しました」

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HANAオーガニック製品の最大の特徴。女性“性”を守るバラの魅力

国内初のオーガニックコスメ工場と試作を繰り返し、ようやく満足のいく製品ができたのは2010年のこと。

「これなら、既存のケミカルコスメと比べてテクスチャーに遜色はないと思えるものができました。それが、HANAオーガニックの最初の製品、化粧水と乳液の2アイテムです」

HANAオーガニック
左はHANAオーガニック製品第1号となった化粧水と乳液、右はボディにも使えるシャンプーとトリートメント。

そしてもう一つ、HANAオーガニックを語る上で欠かせないのが、ローズウォーターの存在です。

「バラは植物の王様と言われるほど、有効成分が多いんですね。バラの香り成分には女性ホルモンに良い影響を与えることが認められていますし、古来から、女性の一生に役立てられてきましたし、大人の女性でバラの香りが嫌いという方はあまり多くありません。でも、バラの香りを入れている化粧品は多いし、個人的には、大輪で派手なイメージのバラにはあまり惹かれていなかったんです」

そんな林田さんの気持ちを一変させてのは、ブルガリアのエニオボンチェフ社のダマスクローズとの出逢いだったそう。

「ブルガリアに行って、エニオボンチェフ社の農場で見たダマスクローズは、小さくてとても可憐な花でした。それがとても太くてしっかりした茎にいっぱい咲いていて、包まれるような感動があったんです」

アロマに詳しい人にはよく知られていることですが、バラの精油は、1mL抽出するために4トンから5トンもの花を必要とするほど貴重なもの。そのため、ローズウォーターというのは、精油を取りきった後の花から作ったり、後から水に香り成分だけを添加するものがほとんどです。

ところが、エニオボンチェフ社のローズウォーターは、ダマスクローズの花をそのまま蒸留しているので、油分はもちろん、花の成分がそのまますべて入っているのだとか。

「実際に香っていただくとわかると思いますが、本当にバラそのもの。複雑で豊かな香りがするんです。HANAオーガニックの製品は、基本的にこのローズウォーターをベースに、他には水を一切加えずに作っているんです」

以来、製品開発に、エニオボンチェフ社のダマスクローズは欠かせないとのこと。
HANAオーガニックの考えるスキンケアは、花の自然な香りを吸い込み、心身から癒されるところから始まるのです。

HANAオーガニック
HANAオーガニックの製品は、すべてオーガニック栽培による花や植物が原材料。HANA=花は女性そのものの象徴。

女性“性”を大切にーそんな思いを込めて

HANAオーガニック
女性らしさの美点を大切に伝え繋いでいくことが、HANAオーガニックのテーマの一つ。

最初の製品の発売から、7年。会社は順調に成長していますが、それでも当初3年間は赤字続きだったとか。

「以前の会社で身につけたマーケティング手法や広告は一切使わず、SNSや口コミを中心に地道に通信販売から始めました。オーガニックは原価が高いので、コストを抑えるためもありますが、市場原理に合わせて急成長させてというより、お客様にきちんと向き合って、大切に育てていきたいんです。なにより、私自身が顧客代表でありたいんですね」

そう語る林田さんです。製品の良さは、そのままリピートにつながっているそうです。

「男性は競争するのが本質ですが、女性の本質って、全てを受け入れ、包み込むものですよね。戦う必要はないんです。オーガニックにこだわるのも、自然のまま全体を受け入れることで、女性のいろんな女性“性”を守り、大切にしたいという思いを込めています」

そんな、「戦わない」「包括的に」という思いは、ホリスティックという言葉で表現されることも。

「ライフワークとして、ホリスティックビューティを提唱しています。オーガニックコスメを使うなら、ケミカルコスメは一切使ってはいけないという考え方もあるかもしれません。でも、自然食中心の食養生を大切にしながらも、ケガや急病の時には医薬品を使ってもいいと思うんです。否定したり敵対視するより、ゆるやかに受け入れて欲しいので、愛用のコスメを使いながら、一品ずつ、試していただいてもいいと思うんです」

#2では、冬の乾燥スキンケアのアドバイスとお勧めのアイテムをご紹介します。

取材・文/橋本弥司子(あどわいず)
撮影/AJHAJHA

Profile

林田さん

林田七恵さん

HANAオーガニック代表
1998年に現新日本製薬に入社。翌年、株式会社JIMOS創業メンバーとして通販事業を立ち上げ、無添加化粧品マキアレイベルなどの企画開発、コールセンター運営などに従事。2000年には取締役に就任し、会社のJASDAQ上場に貢献する。2010年、えそらフォレスト株式会社設立。2011年、世界的なオーガニック認定基準を満たした国内メーカーとの共同開発によるオーガニックスキンケアブランド「HANAオーガニック」を立ち上げる。

HANAオーガニック
http://www.hana-organic.jp/

ホリスティックな美をつくる「HANAオーガニック」誕生物語 #2>>

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