ピンチをチャンスに変えるには? 【人間関係がラクになるヒント #1】
「仕事に行きたくない」「やる気がでない」など、仕事のモチベーションが下がっていたら、人間関係を見直してみませんか?
仕事の内容で悩んでいるように感じても、実は「職場の人間関係」が原因のことも多いものです。
More rejobで前回好評だった記事「人間関係に悩んだときの対処法」でお話をうかがった、心理カウンセラーでエッセイストの若松美穂さんに、再びご登場いただきます。若松さんのお母さまは美容院を経営されていたので、いわば先輩。今回もビューティ業界で働く人たちへのメッセージをいただきました。
ぶつかる相手は、自分と似ていませんか?
「人間関係のトラブルは、毎回、同じタイプの人とぶつかっていませんか? 実は『自分の嫌な部分』を相手に見たときに、ぶつかってしまってトラブルになることが少なくないのです。転職して新しい店に行ったのに、またトラブルになってしまったなど、続いているときは確認してみてもいいですね」と若松美穂さん。
「私は人に対しておせっかいなところが、自分でも嫌だなと思っています。だから、同じようなおせっかいな人が苦手。おせっかいな人が近くに来たときは、自分が一歩ひかないと、面倒なことになるかも…と思います。これに気がついたら、人とぶつかることが少なくなりました」と、自身の体験も話してくれました。
例えば、以下のようにぶつかる相手の特徴と自分の性格を並べてみましょう。自分自身の嫌な性格を見直すきっかにもなりますね。
- 上から目線で話す人が苦手→自分もプライドが高く、相手より優位に立ちたいと思ってしまう
- 自慢話が多い人が苦手→自分も自信がなく、成功したことばかりを話してしまう

前向きな「失敗リスト」を作ろう
「自分の何が原因で失敗を繰り返すのかわからないときは、失敗リストを作るといいですね。失敗リストなんていうと後ろ向きに感じますか? でも、人の成長は、失敗から始まります。同じ失敗を繰り返さないように、気をつけるようになるんです。小さいことでもいいので、自分が『良くなかったな』と思うことを書き出してみましょう」
失敗リストの例
- ひと言多い
- あいさつを忘れた
- ありがとうを言わなかった
- 言い訳をしてしまった
- 笑顔が少なかった
書き出してリストを作っておくと、次のときは気をつけるはずです。自分自身の人への接し方のクセにも気がつくかもしれません。

人の失敗談を聞いてみよう
「すごく落ち込んだときに、少し年上の方に『人生でピンチだな思ったことはありましたか?』と聞いてみました。そのとき、その方は自分のピンチだったことを話してくれたのですが、『すごく落ち込んだけれど、それ以降はあの状況を乗り越えらたから、何があっても大丈夫と思えるようになった。ピンチも悪くないものよ』と。そんな話を聞いて、とても参考になりました」と若松さん。
失敗をして落ち込んだときは、先輩、上司、先生、友人、両親の失敗談を聞いてみましょう。成功談は自慢話に聞こえて共感できなくても、失敗談は意外にすっと受け入れることができます。また、それを乗り越えた方法に、自分にとっても何かヒントがあるかもしれません。
「自分の失敗談も後輩や友人に話してあげてもいいですね。元気のないお客様へも、失敗談で元気づけることができるかもしれません」。

ピンチがチャンスに変わるタイミングは?
失敗やトラブルから立ち直って、自分の成長するチャンスだとわかっていても、なかなか前向きになれないこともあります。
「焦らなくて大丈夫ですよ。まずは、とことん落ち込んでください。文句を言ってもいいし、くやしくて泣いてもいいんです。最初にカッコつけて、『私は大丈夫』と強がると、後でさらに落ち込むことがあります。最初に落ち込んでおくと、立ち直りも早いですよ」
そんなときは、どのように過ごしたらいいんでしょうか?
「ただただ前に進むだけです。乗り越えようとか、頑張ろうと思わなくてもいい。毎日、ご飯を食べて、家事をして、仕事をしてと、淡々と日常生活を過ごして下さい。そのうち、必ず、徐々に立ち直っていきます」
「落ち込んでいるときは、人にアドバイスが受け入れられないもの。『そんなこと言われても、頑張れない』と反発します。でも、実は自分に必要な言葉は、心の中でちゃんとキープしているのです。時間がたってくると、アドバイスを素直に受け入れられます。それが、ピンチがチャンスに変わるときです」
ピンチが成長のチャンスに変わるタイミングは人それぞれですが、必ずやってきます。とにかく焦らないで、じっくり自分と向き合って下さい。

トラブルになったときは、素直に謝ろう
「相手を怒らせてしまい、関係を修復したいと思ったら、まずは、素直に謝りましょう。自分は悪くないと納得できないときは、内容というよりも『嫌な気分にさせてすみません』と、謝ります。相手も謝罪したいなと思っているのに、なかなか言い出せないことが多いもの。謝ったら負けと思いがちですが、人間関係に勝ち負けはありませんよ!」
トラブルが起こって気まずくなっても、誠意を持って対応すれば、以前より関係が深まることがあります。先輩や先生なら「また仕事を頼みたい」、お客様なら「またお店に行きたい」、そんな風に思ってもらえるはずです。
謝るときに気をつけるポイント3
言い訳はしない
心から「ごめんなさい」「すみません」と言ったあとに、理由を話してもいいでしょう。でも、謝る前の言い訳は、ますます相手を怒らせます。「でも」「だって」を使うのはNGです。
できるだけ早く謝る
先延ばしにしていると、ますます謝りづらくなります。直接会ったり、電話をするほうが誠意は伝わりますが、難しいときはメールなどでもいいでしょう。できるだけ早くを心がけて。
気にしすぎない
起こってしまったことは元には戻りません。そこは、潔く諦めて。誠意を尽くして謝ったら、それ以上は気にしなようにします。相手との関係は、そこから新しく築けばいいんです。

取材・文 大橋史子(ペンギン企画室)
心の負担を減らすには、どうしたらいい? 【人間関係がラクになるヒント #2】 >>
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若松美穂さん
心理カウンセラー、エッセイスト。生活情報誌「サンキュ!」や「ESSE」のカリスマ主婦として、家事、料理、節約などのアイデアを紹介して圧倒的な指示を集める。2011年心理カウンセラーの資格を取得し、現在は「心の整理術」をテーマに、講演、講座、雑誌、書籍などで活躍中。著書は「主婦が幸せになる60の方法」(双葉文庫)、「理想と違う自分を好きになる」(双葉社)など多数。