指名率アップにつながる敬語のツボ! 接客で求められる【言葉づかい&話し方セミナー #4】

新人だけでなく、敬語づかいに自信を持ち始めた人でも、意外と敬語の使い方を間違えている場合があります。一見、間違えているようには感じられず、相手も聞き流してくれたりしますが……だからこそ、正しく使えると株が上がること間違いなし! まずは、接客時に使われることの多いフレーズをマスターしましょう。

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コレだけは押さえておきたい、敬語の使い方

×「どうしますか?」

まず、電話口でお客様に対応する場合について、考えていきましょう。
予約を受け付ける際、希望日時のほかに施術の内容(メニュー)について尋ねますね。
その時、「メニューは、どうしますか?」は間違い。「どうする?」よりも丁寧な言い方で、相手に敬意を払っているように感じられるかもしれませんが、「どうしますか?」という言葉自体には、相手への尊敬の意味が含まれていません。

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お客様、あるいはクライアント、目上の人に対して、どうしてほしいのか質問する際には
「いかがなされますか?」か「いかがいたしましょう」が正解です。

「いかがなされますか?」は、相手がどうしたいかのかを聞く時に使う敬語で、行動する主体は相手。たとえば、日時をどうしたいか、どのメニューを希望しているのか、といった場合です。

GOOD→「お日にち(お時間)は、いかがなされますか?」「メニューは、いかがなされますか?」

「いかがいたしましょう」は、相手に選択肢を示して「どれにしますか?」と問う時に使います。
GOOD→「◯日△時、もしくは□日☆時でしたらご予約いただけますが、いかがいたしましょう」

×「お名前を頂戴できますか?」

相手の名前を尋ねる時に「お名前を頂戴できますか?」という表現がよく使われますが、これは誤りです。

「頂戴する」は「もらう、受け取る」の謙譲語なのでお客様に対する姿勢としては間違いではありません。
ただ、「お名前を頂戴する」は、あなたの名前を私にくださいという意味になってしまいます。名前は物ではないので、あげたりもらったりすることは不可能。ですから、「お名前を頂戴する」は誤った表現なのです。

相手の名前は、もらうものではなく「聞く」もの。「聞く」の尊敬語を使いましょう。

GOOD→「お名前をお聞かせいただけますか?」、「お名前をお聞きしてもよろしいですか?」、あるいは「お名前をうかがってもよろしいでしょうか」

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×「お電話番号をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

一見、正解のように思われますが、NG。
というのも、「お聞きする」は「聞く」「聞いた」の尊敬語で、主語は相手。たとえば「◯◯様は、お聞きになりましたか?」というように使います。

ところが、電話番号を相手に尋ねる場は、自分がへりくだって相手を敬う意味をこめて「聞く」の謙譲語の「うかがう」を使います。

GOOD→「お電話番号をうかがってもよろしいでしょうか?」

×「◯◯はお休みをいただいています」

休暇中のスタッフあてにお客様から電話がかかってきた時、あるいはお客様の希望の日時に担当者が不在だとわかっている場合、「◯◯はお休みをいただいています」という言い方をよく耳にします。一般的によく使われているのでOK、という考え方もありますが、厳密に言うと間違いです。

この言い方の何が誤りかというと、まずは「お休み」。自店(自社)の人間が休むことに対して、「お」をつけて丁寧語にする必要はありません。

また、「いただく」も、休みを電話の相手(お客様)からもらうならまだしも、通常は自店(自社)からもらうものです。そうなると、「いただく」は自店(自社)を持ち上げた表現となってしまうので、誤りです。

GOOD→「◯◯は休んでおります」「◯◯は休暇を取っております」

×「ご伝言いたします」

お客様から不在中のスタッフへの伝言を頼まれた時、どこをどう敬語にすればいいのかわからず、「ご伝言いたします」と言っている人も少なくないのでは?

不在中にスタッフに「伝える」のは自分なので、お客様に対してへりくだる意味で謙譲語の「申す」を使います。さらに、伝える相手も自分側の人間なので「いたします」という尊敬語は使わず「伝えます」のまま。つまり、「申し伝えます」が正解です。

なお、お客様の話をきちんと理解し、伝言を預かったことを伝えるためにも、前に「承知いたしました」あるいは「かしこまりました」をつけると、より丁寧な言い方に。

GOOD→「承知いたしました(かしこまりました)。申し伝えます」

×「了解しました」

お客様の意思、希望を聞き入れたことを伝える時、「わかりました」はNG、だったら「了解しました」でいいのでは? と思うかもしれません。

たしかに、「了解」は「わかった」という意味ですが、お客様や目上の人に対しては使いません。「了解」は「ご苦労様」と同様、立場が上の人から下の人に対して使われる言葉です。

正しくは「承知いたしました」、あるいは「かしこまりました」です。

GOOD→「承知いたしました」、「かしこまりました」

知っていると断然トク! な「クッション言葉」

敬語にプラスして、相手に好印象を与えることのできるのが「クッション言葉」です。

クッション言葉というのは、相手にお願いをする、断る、意見するといった場合に、言葉の前に添える言葉のこと。こちらの要求や意見を一方的に押しつけるのではなく、相手の立場に立ち事態をやわらげる、まさにクッションのような役割を持っています。

たとえば、相手に何かお願いをする場合のクッション言葉としては、

  • 「恐れいりますが」
  • 「大変恐縮ですが」
  • 「お手数をおかけしますが」
  • 「ご面倒をおかけしますが」
  • 「差し支えなければ」
  • 「もし、よろしければ」

などがあります。これらの言葉を添えると、相手に「命令された」という印象を与えずにすみ、こちらの要望を受け入れてもらいやすくなります。

また、断る場合は、相手をできるかぎり不快な気持ちにさせない表現として、

  • 「あいにくですが」
  • 「せっかくですが」
  • 「大変残念ながら」
  • 「申し訳ありませんが」
  • 「お役に立てず大変恐縮でございますが」
  • 「ありがたいお話ではございますが」

などが使えると、かなり役に立つはずです。

ただし、敬語全般に言えることですが、クッション言葉を使いすぎると相手にまわりくどい印象を与えたり、慇懃無礼に聞こえてしまう場合もあるので気をつけましょう。

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Q 「お返事」と「ご返事」、どっちが正しいの?

言葉に「お」や「ご」をつけると敬語になる、ということは知っています。そして、「お」と「ご」がそれぞれどんな言葉につくのか、だいたいわかります。でも、いつも迷ってしまうのが「お返事」と「ご返事」。自分が相手に返事をする場合は、また、相手から返事をもらう場合はどちらを使うのが正しいのでしょうか?

A どちらもOK。ただし、最近は「お返事」が多く使われるようです。

言葉によって「お」と「ご」のどちらをつけるか、だいたいの傾向があるようですす。
「お」をつけるのは和語(やまと言葉)。たとえば、「お米」、「お金」、「お引越し」、「お許し」、「お話」、「お住まい」などです。
「ご」をつけるのは漢語(感じの音読みの言葉)で、「ご親切」、「ご苦労」、「ご連絡」、「ご住所」、「ご旅行」などなど。
例外もあって、とくに漢語の場合は「お食事」、「お料理」など「お」がつくものもたくさんあります。
「お返事」も、その一つ。原則からいえば「返事」につくのは「ご」ですが、もともと「返事」は「かえりごと」というやまと言葉の当て字であることから、「お」をつけた「お返事」も使われているのです。
ただし、相手を高めて言う時は、「ご返事」より「お返事」が多く使われます。また、自分のことをへりくだって言う場合は「お返事」、「ご返事」どちらでもOKですが、最近は「お返事」を使う人が多くなりつつあるようです。

参考文献

「『そのまま使える』敬語ハンドブック できる人の『この言葉づかい』『この話し方』」鹿島しのぶ編著/知的生き方文庫(三笠書房)
「NHK放送文化研究所 『お返事』?『ご返事』?」(2011.12.01)
「文化庁 これからの敬語 4「お」「ご」の整理」

「すみません」では、すみません!こんな間違い、あるある!接客で求められる【言葉づかい&話し方セミナー #5】>>

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