以前リリースした「頭が良くない人の話し方 その1」では日常会話についてお話しましたが、ビジネス上でも「お! 頭良いな」なんて思われたいものですよね。
ビジネスの世界では、会議や取引先との交渉、プレゼンテーション、上司や部下との会話など、話をする様々な機会があります。そんな時に「こいつ、ダメだな……」と思われる話し方をまとめてみました。
社会人として、初対面の人や目上の人に対して敬語を使うのは当然のことです。しかし、正しい敬語を使えない人が多いのが現状です。「わかっているけど咄嗟に出てしまう」と言う人でしたら、気を付けることで治るかもしれませんが、できていないのに「俺は敬語を使えている」と思いこんでいる人には困りものです。
<役職に「さん・様」を付けてしまう> ×「社長様」 〇「社長」 ×「店長さん」 〇「店長」
役職には既に敬称の意が含まれているため、「さん」や「様」を付ける必要はありません。
<二重敬語(過剰敬語)を使ってしまう>
×「お客様がお帰りになられます」 〇「お客様がお帰りになります」
×「ご覧になられますか?」 〇「ご覧になりますか?」
×「社長がおっしゃられていました」 〇「社長がおっしゃいました」
「お(ご)~~なる」の形で既に正しい尊敬語ですので、更に「れる(られる)」を付けると二重敬語になってしまいます。
但し、既に一般的に使われているため、間違いとは言い切れない二重敬語もあります。
「お召し上がりになる」
「召し上がる」で既に尊敬語なのに、更に「お~~なる」を付けた二重敬語。
「お伺いする」
「伺う」で既に謙譲語なのに、更に「お~~する」を付けた二重敬語。
<「~させていただく」の乱用>
近年、若者を中心に「~させていただく」の乱用をよく目にします。所謂「させていただく症候群」です。しかし「~させていただく」という表現自体は誤用ではありません。ただ、多くの人は「『させていただく』を使えば丁寧である」と勘違いし、不要な場合にも使っている場合が多いのです。
では、どのような時に使うと適切なのでしょうか。文化庁の「敬語の指針」では以下の様に決められています。
ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い、イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。
それを踏まえた上で、以下の例文を読んでみてください。
A 上司に出身大学を聞かれて 「東京大学を卒業させていただきました」 B 先輩の本をコピーする時に 「コピーを取らせていただけますか?」 C 上司に「読んでおきなさい」と渡された上司の本を 「拝読させていただきました」 D プレゼンの冒頭で 「それでは、始めさせていただきます」
いかがですか? どの例文が「敬語の指針」に当てはまると思いますか?
まずAですが、東京大学を卒業したことは、上司の許可を必要としないので誤りです。
この場合は「東京大学を卒業致しました」が適切でしょう。
Bは先輩所有の本をコピーするという許可を必要としているので正解です。
Cは、本自体の所有者は上司ですが、上司の指示で読んでいるので許可を必要としません。
この場合は「拝読しました」で良いでしょう。
Dは難しいですね。「プレゼンをする許可をもらう」と考えるのなら正解とも言えますが、正直過剰表現のように思えます。
この場合は「それでは始めます」で良いでしょう。
状況によって使い方が変わってくるので、その場その場で「相手の許可が必要な行為か」を考えてみましょう。
また、特定の「謙譲語」を「尊敬語」だと思って使っている方も多くいらっしゃいます。詳しくは「『尊敬語』だと思っていたのは謙譲語だった! 間違った敬語3選!」をお読みください。
話し方に気を付けるのは、なにも部下や後輩だけではありません。上司も話し方によって、部下に「この人、大丈夫かな……」と思われてしまいます。そして、その原因のひとつが「指示が具体的ではない」なのです。
例えば、上司が部下に「この書類、なるはやで、見やすい大きさに拡大コピーして」と頼んだとします。まあ、こんな曖昧すぎる依頼はしないとは思いますが、これを例にして何が不都合なのかを考えてみてください。
<緊急度がわからない>
部下も暇ではありません。他にも緊急性の高い仕事を抱えているでしょう。「なるはや」と言われても優先順位がわかりません。部下の仕事をすべて把握しているのなら「〇〇の作業の後でいいから」や「〇時までに」など、具体的な期日を示しましょう。
<目的がわからない>
部下には拡大コピーをする目的がわかりません。「上司が老眼だから、見える大きさの文字にするため」なのか、「どこかに貼り付けるため」なのか、目的によって拡大サイズが変わるでしょう。また、会議で使用するのなら、コピーする部数も変わってくるでしょう。目的を明確にして指示をしましょう。
<依頼元がわからない>
その作業の依頼元によっても結果は変わってきます。クライアントからなのか、社内の他部署からなのか、それとも上司本人からなのか。最終的に誰を満足させるのかにより、目的地は異なります。「ただのコピーなんだから、わかるでしょ」と思うかもしれませんが、クライアントのためのものならフルカラーコピーが必要かもしれませんし、他部署なら他部署の仕様があるかもしれません。
「上司の普通 = 部下の普通」というわけではありませんから、誰に指示をしても同じ結果になるように、できるだけ具体的に指示をしましょう。
ビジネス上で会話は、少しのことで職場の空気が悪くなることもありますし、少し気を付けるだけで良い空気になることもあります。この記事が、あなたの会社の空気を更に良くするきっかけになってくれることを願います。
「頭が良くない人の話し方 その1」はコチラ 「頭が良くない人の話し方 その2」はコチラ2015/09/18
2015/09/18
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