ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
ヘルスケア 2021-09-24

【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか? vol.8】和やかな雰囲気づくりを意識しながら、できる対策を日々徹底 #1

Withコロナ時代の今、介護現場に求められている感染対策と働き方を深堀りしてお届けする連載企画。今回お話を伺ったのは、重度心身障がいのお子さまを対象とした放課後等デイサービスと、児童発達支援を行っているサチエ株式会社「にこにこハート」の指導員・北島彩夏さん。

新型コロナウイルスの流行により、保育園が休園、学校も分散登校や休校となり、にこにこハートを利用するお子さんが増加。その当時から「お子さんに楽しんでもらいながらコロナウイルスの感染を防ぐにはどうしたらいいのか」を常に模索をしながら、日々対策・対応にあたられているそうです。

では実際に、どのような感染予防対策を導入してお子さんと職員の身を守っているのか? コロナの流行により現場職員の働き方はどう変わったのか? コロナ禍で働いていくうえで指導員として大切なことは何か? など、放課後等デイサービス・児童発達支援に求められるコロナ禍の感染予防対策と働き方を深掘りします。

お話を伺ったのは…

にこにこハート(放課後等デイサービス/児童発達支援)
指導員 北島彩夏さん

「障がいのある児童に関わりたい」という想いから、にこにこハートに入社。お子さんと身近で携わることはもちろん、日替わりで実施しているイベントの計画や援助、送迎業務などを担当している。

にこにこハートでの感染予防対策

手洗い・消毒・定期的な換気に加え、お子さんの状態に合わせて臨機応変に対応

にこにこハートで実施している感染予防対策について
語ってくださっている北島さん

―にこにこハートでは、放課後等デイサービス(重心)・児童発達支援の2事業を併設されているんですね。

そうなんです。放課後等デイサービスの事業内容としては、小学校1年生〜高校3年生までの重症心身障がい児を対象とし、一方の児童発達支援では、未就学児(0歳児〜小学校入学まで)の療育・支援、家族支援などを行っています。

―新型コロナウイルスの流行当初、施設の運営やお子さんの利用状況などに変化はありましたか?

児童発達支援に関しては、保育園が休みになってお子さんの預け先に困ってしまう保護者の方々が増えたことに伴い、利用者数が増加しました。加えて放課後等デイサービスに関しても、学校の分散登校や休校が長期化したことでご利用になる方が多くなった印象です。

当時は私たち職員も何が何だか分からない状況で、とにかく目の前のお子さんを感染させないよう、ひたすら感染予防対策を徹底していました。

―具体的にどのような感染予防対策を行われたのですか?

まずは日々の感染予防対策として、毎日のお迎え時に、必ず親御さんにお子さんの体調を聞くようにしています。送迎時は一時的に密な状況になってしまうので、必ず車内の窓を開け、換気を徹底しています。

施設内の対策としては、常に「手洗い」「消毒」「定期的な換気」の徹底をしています。にこにこハートを利用してくださっているお子さんのなかには口周囲が過敏な子もいらっしゃるので、「マスクの着用」や「うがい」に関しては例外なしに徹底することは難しいのですが、対応できる子にはなるべく協力してもらうように促しています。

加えて、全員で一斉に水分を取る時間を設け、こまめな水分補給をしてもらうことで乾燥対策もしています。

コロナ後の働き方の変化

オンラインミーティングを導入し、社内の情報共有を徹底

施設内には新型コロナウイルス対策を呼びかけるポスターを掲示

―新型コロナウイルスの流行により、職員のみなさまの働き方に変化はありましたか?

新型コロナウイルスの流行当初は、お子さんの利用日数が増えたりなどしたことで一時的に忙しくなったときもありましたが、私自身「業務が回らないほど忙しい」といったことはありませんでした。しかし、一緒に働いている看護師さんは、常にあっちにいったり、こっちにいったりと、コロナの流行によって以前にも増して忙しくなったように見受けられます。なので、サポートできることは率先して行うようにするなど、できるだけスタッフ内で協力して現場を回せるように努めているつもりです。

加えて、働き方の変化のお話とは少し逸れますが、コロナ流行前は頻繁に行っていたと聞いていた忘年会や事業所内での交流会などを今は行うことができないことは、仕方ない反面、ちょっぴり残念ではありますね(笑)。

―オンラインツールの導入などはされましたか?

全職員が集まる全体会議などは、オンラインでのミーティングになりました。実際に導入してみたところ、メリットとデメリットの両方の側面があるなと感じています。会議場所に出向かなくて良くなったことで時間の効率化が図れるようになったことはメリットだと感じていますが、オンラインは会話がどうしても一方通行になってしまいがちなので、あれこれと意見を言い合うことは難しいなと感じています。なので、意見を交わしあう場を設けたいときは対面会議を設けるのが一番ですが、情報共有を行う分にはオンラインミーティングはとても便利だなと個人的には思っています。

コロナ禍で働いていくうえで心がけていること

常に笑顔を心がけ、お子さんが安心できる場所を提供

「施設の手すりなども小まめに消毒するよう心がけています」
と北島さん

―コロナ禍でのお仕事がもう少し続くかと思いますが、北島さんがお仕事をするうえで心がけていることは何ですか?

まずは何より「施設内の雰囲気を良くすること」を重視しています。

コロナ禍で常にマスクをつけるようになって私たちの表情が分かりにくくなってしまったことで、お子さんたちは私たちの表情を確認するためにマスクを取ろうとしてくるようになりました。なので、お子さんたちに不安な思いをさせないよう、マスクをしていても常に笑顔でいることを心がけたり、声のトーンを明るくしたり、きつい目つきにならないように気をつけるように日々意識しています。

加えて、子どもと携わるお仕事をしている以上、自分がプライベートでウイルスを持ち込まないようには気をつけています。現実問題として外出を一切しないことはできませんが、今は遠くへの外出は避けたりなど、自分にできる対策を心掛けています。

にこにこハート(放課後等デイサービス/児童発達支援)北島彩夏さんの「コロナ禍で働くうえで大切なこと」

1. 手洗い・消毒・換気の徹底に加え、一人一人にできる限りの対策を呼びかける

2. 協力体制の強化とオンラインの導入で働きやすい環境を整備

3. 施設内の雰囲気づくりを心がけ、子どもたちを不安にさせない

ウイルスからお子さんを守るため、日々職員同士で協力しながら対策をとられているご様子がインタビューを介して伝わってきました。「マスクで表情が分かりにくい今こそ、声のトーンや目元の表情を意識している」というお話は、他のお仕事でも大事になってくることだなと、大変勉強になりました。

次回は長期化するコロナに対しての対策の見直しや、コロナ禍の保護者の方々への対応方法などを伺います。

取材・文/小沼奈央(レ・キャトル)
撮影/岩田 慶(fort)

Information

にこにこハート(放課後等デイサービス/児童発達支援)

住所:東京都荒川区西尾久7-37-13 飯村ビル1F
TEL:03-6807-7745

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事