看護師の仕事内容を紹介|看護師になるにはどうすればいいの?
病院で白衣を着て、患者さんに寄り添ってくれる看護師の仕事内容は、一体どのようなものなのでしょうか。実際、看護師の仕事内容は病院や診療科によって異なるのが特徴です。ここ最近では、訪問看護ステーションや企業、学校など、病院以外にも看護師が活躍できる場が増えてきました。
今回は、看護師資格を保有している人がどのような仕事をしているのか、看護師になるためにはどのような道を進めばよいのかについてご紹介します。
看護師の仕事内容を紹介!
看護師の仕事は、責任重大でやりがいのある仕事です。ここでは、看護師の仕事内容を詳しく解説していきましょう。
看護師とは|診療の補助と療養上の世話で人々を支える
看護師の仕事は「保健師助産師看護師法(以下、保助看法)」という法律で定められています。
保助看法には「看護師は傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話または診療の補助をおこなう」と示されています。つまり、「病気の患者さんや産後のお母さんの療養に必要な援助」や「医師の補助」がおもな仕事です。
また、このような療養の世話や診療の補助は、看護師以外の人はおこなってはいけないと決められています。
看護師の役割とは?|患者さんに必要な対処を的確に判断する
看護師は、基本的に医師の指示のもとで仕事をします。しかし、病院において看護師は患者さんの一番近くにいる専門職です。患者さんの変化を一番に気づき、的確な判断を下す必要があります。そのためにも、日々進歩する医学をふだんから勉強し、科学的根拠にもとづいたアセスメントをする能力が必要不可欠です。
また、看護師には、病院の専門職の橋渡しの役割もあります。病院は、医師や薬剤師をはじめとする多くの専門職が集まっている施設です。それぞれの専門性を発揮し、患者さんに適切な医療を届けるためには、多職種連携が重要なカギとなります。そのため、看護師は多職種がスムーズに連携できるよう調整するという、重要な役割を担っています。
看護師の責任とは?|療養上の世話や診療の補助を安全におこなうなど
上述したように、看護師の仕事は業務独占となっています。看護師以外の人は、看護師の仕事をすることはできません。
しかし、病院には看護師の指示を受けて仕事をする准看護師も働いています。准看護師は、看護師から指示をもらって療養上の世話や診療の補助の業務をすることが可能です。そのため、看護師はアセスメントした情報をもとに、准看護師が安全に業務をおこなえるように適切な指示を与える必要があるでしょう。
どんなところに勤務するの?|病院以外でも広く活躍!
看護師が勤務するところは、病院やクリニックなどの医療現場だけではありません。介護施設や訪問介護ステーションなどの介護施設、保育所や学校などの教育機関、一般企業などさまざまな職場があります。
どんなお仕事をするの? 看護師の仕事内容を紹介!
医師の指示のもと業務をおこなう看護師は、一体どんな仕事をするのでしょうか。つづいては、看護師の具体的な仕事内容をいくつか紹介していきます。
診察の補助|医師の指示を受けて注射や採血などをおこなうこと
診療の補助のなかには医師が治療に必要と判断した場合、注射や採血、点滴などの患者さんの苦痛をともなう処置もあります。
これらの処置は看護師が独断でおこなうのではなく、医師の指示を受けておこなうものです。病院によっては、採血などの業務のほとんどを看護師がおこなう場合もあります。
患者さんのケア|バイタルチェックや食事の介助など
療養上のお世話の例としては、体温や脈拍などのバイタルチェックや食事の介助、入浴介助などが挙げられるでしょう。療養上のお世話を通して患者さんの様子を観察し、アセスメントします。
看護計画の立案や評価
看護師の重要な仕事のひとつに、看護計画の立案・評価があります。担当看護師や担当チームを決めて、患者さんの状態や課題を看護の視点からアセスメントし、状態を改善していくための援助を計画しなければなりません。
この看護計画を患者さんに関わるスタッフ全員で共有することで、毎日勤務するスタッフが変わったとしても、患者さんに同じレベルの看護を提供することができます。
看護管理
看護師長や主任になると、看護管理という仕事を任される場合もあります。看護管理は、患者さんに適切な看護が提供されているかどうかを管理・監督する仕事です。看護管理のなかには、看護師の教育や訓練も含まれます。
新人看護師の指導
看護師として数年勤務すると、新人看護師の指導を任される場合が多いようです。新人看護師への指導を通して自分自身の看護を見直せば、より質の高い看護師と成長できるでしょう。
看護学生の実習指導
病院に勤務していると、看護学生が病棟実習に来ることがあります。看護学生への実習指導も病棟看護師の役割のひとつです。新人看護師への指導と同様、自分自身の成長にもつながるでしょう。将来の看護師育成のための重要な仕事でもあります。
学校や企業など|健康管理や保健相談
看護師は病院以外にも、学校や企業、保育園などさまざまな働く場があります。病院以外でのおもな仕事は、働く人や生徒の健康管理、保健相談です。保健だよりの作成や、ふだんの応急処置など、病院とは違った経験を積むことができます。
訪問看護ステーション|訪問看護
看護師の仕事のなかでも、最近ますます注目を集めているのが訪問看護師です。入院の短期化が進み、在宅医療が中心となってきているなかで必要不可欠な存在といえるでしょう。
以前は病院経験者が訪問看護師として活動していることがほとんどでしたが、現在では新卒での募集もあります。訪問看護師の仕事は夜勤がない場合も多く、夜勤が苦手という方や家庭を大事にしたい方にもおすすめの職場です。
看護師になるにはどうすればいいの?
ここまで看護師の仕事内容についてご紹介しましたが、実際に看護師になるためには、どうすればいいのでしょうか。ここでは、看護師になるために必要なことについて解説していきます。
国家試験を受験して合格する必要がある
看護師免許は国家資格です。看護師免許を取得するためには、国家試験を受験して合格する必要があります。
看護師の国家試験とは?
看護師の国家試験には受験資格が存在します。受験資格を満たした人のみ、受験が可能です。ここでは、看護師の国家資格がどのようなものなのかについて解説しましょう。
試験日・試験地
看護師の国家試験は年に1回おこなわれ、毎年2月に実施されています。2021年の試験(第110)は、2月14日(日曜日)に実施されました。試験地は、以下の12都道府県でおこなわれています。
・北海道
・青森県
・宮城県
・東京都
・新潟県
・愛知県
・石川県
・大阪府
・広島県
・香川県
・福岡県
・沖縄県
試験科目|過去問はダウンロード可能
看護師の国家試験の試験科目は11科目ありますが、いずれも、看護師養成機関のカリキュラムに含まれる内容となっています。試験科目は以下のとおりです。
・人体の構造と機能
・疾病の成り立ちと回復の促進
・健康支援と社会保障制度
・基礎看護学
・成人看護学
・老年看護学
・小児看護学
・母性看護学
・精神看護学
・在宅看護論
・看護の統合と実践
過去問はダウンロード可能で、以下が第110回の過去問および回答です。
午前問題
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-05a_01.pdf
午前問題別冊
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-05a_02.pdf
午後問題
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-05c_01.pdf
回答
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-05seitou.pdf
受験資格
看護師の国家資格の受験資格は、看護師養成機関での専門教育を修了しなければなりません。看護師養成機関には2パターンあり、中学校を卒業後入学できる機関と高校を卒業後入学できる機関が存在します。
中学校を卒業後すぐに入学する場合は、5年間の養成機関での専門教育が必要です。高校卒業後の場合は、看護大学(3年制短期大学含む)または看護専門学校において3年以上の専門教育を修了する必要があります。いずれにしても、3年以上の教育が必要なため、国家資格のなかでも取得まで時間がかかる資格です。
合格発表日・合格率
第110回看護師国家試験は、2021年3月26日(金曜日)午後2時に厚生労働省ホームページにて合格発表がおこなわれました。
例年、合格率は90%前後となっており、第110回の合格率は90.4%となっています。毎年合格率は高水準なので、しっかりと対策をすれば合格の可能性はかなり高いでしょう。
看護師は診療の補助や療養上のお世話を通じて人を助ける仕事!
看護師は診療の補助や療養上のお世話を中心に、病気やケガで苦しんでいる人や介護を必要とする人、さらにはその家族を支える非常に重要な仕事です。また、最近では予防医学にも注目されており、保健指導や健康管理など看護師の仕事の幅はますます広がりつつあります。
看護師は社会にとって重要でやりがいのある仕事です。仕事の幅も広く、長く続けられる仕事でもあります。看護師の仕事内容で迷っている人は、病院外へも目を向けるなどして自分に合った仕事を見つけてみてくださいね。
引用元:
厚生労働省
「保健師助産師看護師法」
公益社団法人日本看護協会
「看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」
厚生労働省
「第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験、第110回看護師国家試験の問題および正答について」
厚生労働省
「看護師国家試験の施行」
東京アカデミー
「第111回看護師国家試験への道看護師国家試験の合格率・日程・ボーダー」