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特集・コラム 2023-09-20

言語聴覚士のお給料は高いの?平均月収や年収、収入アップを目指す3つの方法を紹介

言語聴覚士は、言葉コミュニケーションに問題がある方に対して、適切な訓練・指導・助言などを行い、自立的な生活の実現をサポートする仕事です。

言語聴覚士になろうか悩んでいる方の中には「平均月収・年収を知ってから、職業選択をしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか?

今回は、言語聴覚士の平均月収や年収、収入アップを目指す3つの方法、言語聴覚士の将来性について解説します。

言語聴覚士の給料や収入アップの方法、将来性について知った上で、言語聴覚士を目指して学習をスタートしたい方は参考にしてみてください。

言語聴覚士の平均年収や給与はどれくらいなの?

病気や障害などによって、話す・聞く・食べるなどが困難な方に対して改善を支援する言語聴覚士。ここでは、そんな言語聴覚士の平均年収や給料がどれくらいなのかをご紹介します。

言語聴覚士の平均月収は約30万円

厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によれば、言語聴覚士(理学療法士・作業療法士・視能訓練士を含む)の平均月収(決まって支給する現金支給額)は約30万700円でした。その一方で、ハローワークのフルタイム求人のデータを見てみると、令和4年度の平均求人月額は25万円です。全体としては、30万円前後の水準だと考えておきましょう。

引用元
厚生労働省:令和4年 賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表
厚生労働省:職業情報提供サイトjobtag:言語聴覚士

言語聴覚士の平均年収は約431万円

厚生労働省の職業情報提供サイトによれば、言語聴覚士の平均年収は430万7,000円です。全国で言語聴覚士として活躍している人の数は26,930人で、平均年齢は34.7歳となっています。

引用元
厚生労働省:職業情報提供サイトjobtag:言語聴覚士

年齢別の平均年収

言語聴覚士の平均年収を年齢別にまとめると、下記の表のような結果がわかります。

・20歳〜24歳:335万7,800円
・25歳〜29歳:392万400円
・30歳〜34歳:421万4,100円
・35歳〜39歳:455万4,900円
・40歳〜44歳:497万5,800円
・45歳〜49歳:517万9,900円
・50歳〜54歳:515万400円
・55歳〜59歳:570万1,800円
・60歳〜64歳:462万8,300円
・65歳〜69歳:466万9,400円

全体的にみると、20代が最も平均年収が低く、55歳〜59歳の間で平均年収のピークをむかえていることがわかるでしょう。

各地域における言語聴覚士の平均年収

言語聴覚士の平均年収は、勤務地域によってもらえる金額が異なります。

・北海道:424万1,000円
・宮城県:421万4,000円
・東京都:475万8,000円
・愛知県:431万4,000円
・大阪府:474万8,000円
・広島県:419万3,000円
・福岡県:410万3,000円
・沖縄県:389万6,000円

東京都や大阪府、愛知県といった人口が多い大都市圏における平均年収が高い水準にある一方で、地方都市における平均年収は平均以下の水準になっていることがわかります。

勤務先によって月収・年収は変わってくる

言語聴覚士の月収・年収は、勤務する業界や職場によって大きく変わるのが特徴です。総合病院の耳鼻科・リハビリ科・リハビリ専門病院・リハビリテーションセンターなどの医療現場で働く場合は、各種の資格手当や賞与が手厚い傾向にあります。また、公立病院や保健所などで公務員として働く場合も、安定して高年収をもらえることが多いでしょう。

その一方で、老人福祉施設・介護福祉施設・訪問リハビリ・デイサービスなどの介護・福祉施設で働く場合には、医療機関で働くよりも平均収入が少し低い傾向にあります。

就職する際は業界や職場の平均月収・年収を、きちんとリサーチするようにしましょう。

言語聴覚士が収入アップを目指す3つの方法

言語聴覚士の平均年収・月収がわかったところで、つづいては収入をUPさせる3つの方法を紹介します。スキルアップをして役職や手当をもらったり、よりよい条件の職場を見つけたりすることで、希望する高収入を実現していきましょう。

1.現在の職場に長く勤務する・管理職を目指す

言語聴覚士の職場は年功序列が根強く、同じ職場で勤続年数を重ねるごとに収入がアップしていくパターンが多いです。前述した調査結果にもあるように、言語聴覚士の給料は20代から50代後半にかけて上がっていくというデータが出ています。

職場で勤続年数を重ねて知識やスキルを身につけていくことで給料がアップし、ゆくゆくは管理職に任命されて、役職手当などがもらえるようになる可能性もあるでしょう。

2.資格を取得する|資格手当

保有している資格が増えることで、より幅広い仕事ができるようになります。また、資格によっては手当をつけてくれるところもあるでしょう。

つづいては、言語聴覚士としておすすめの資格をいくつか紹介します。

認定言語聴覚士|生涯学習プログラム

認定言語聴覚士は、日本言語聴覚士協会が主催する「生涯学習プログラム」へ参加し、より高いスキルを身につけている言語聴覚士であることを証明できる資格です。認定言語聴覚士の資格は、下記の専門領域ごとに資格保有者が認定されます。

・摂食嚥下(えんげ)障害領域
・失語・高次脳機能障害領域
・言語発達障害領域
・聴覚障害領域
・成人発声発語障害領域
・吃音(きつおん)・小児構音障害領域

ここで得た知識は、より効果的なリハビリに活かすことができるほか、勤務先でも指導的な役割を担ったりする際にも役に立つでしょう。

引用元
一般社団法人 日本言語聴覚士協会:日本言語聴覚士協会について

手話通訳士

手話通訳士は、聴覚障がい者が生活に困らないようにサポートできるスキル・知識を認定する資格です。聴覚障がい者がコミュニケーションをとる手助けをし、他人とのつながりを持てるようにします。

最近は、行政機関に手話通訳士を配置しているところも増えているため、取得しておくことで勤務できる職場の幅も広がるでしょう。

引用元
一般社団法人 日本手話通訳士協会:手話通訳士の仕事

呼吸ケア指導士

呼吸ケア指導士は、一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会が実施している認定資格です。チーム医療の中で呼吸障害をもつ方々の継続的なサポートを行うために、呼吸ケアの基礎的知識や臨床技術を学び、指導的な立場を担う方々を養成します。

医師や看護師・理学療法士・作業療法士など、呼吸ケアの業務に従事できる人々が対象です。一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会に3年以上在籍して、所定の単位を50単位以上取得し、認定委員会で認められれば呼吸ケア指導士として認定されます。

呼吸ケアのサポートにも従事したいと考えている方におすすめの資格です。

引用元
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会:呼吸ケア指導士制度について

3.経験を活かしてより条件のよい職場へ転職する

言語聴覚士を必要としている職場は幅広いです。医療施設では大学病院・総合病院・リハビリテーションセンターなどが、福祉施設では特別養護老人ホーム・デイサービスセンターなどが一例として挙げられます。

求人を出している医療・福祉施設は、経験豊富な言語聴覚士を採用すれば即戦力として働いてもらえるので、できる限り経験者にきてほしいと考えています。

現在働いている職場での経験を活かして、より条件のよい職場へ転職することで収入をUPさせることができるでしょう。

言語聴覚士の需要は高い? 将来性について紹介

活躍できる職場が豊富にある言語聴覚士ですが、需要が高い仕事なのでしょうか。また、その将来性についても気になる人もいるでしょう。ここでは、言語聴覚士の需要と将来性について紹介します。

需要は高い|必要とされる場面が多い仕事

人が生きるために必要な機能に障害がある人たちの機能を向上・維持するうえで必要なサポートを行う言語聴覚士は、必要とされる場面がとにかく多い仕事のひとつです。

前述したように病院やリハビリテーション施設など活躍できる職場の幅が広い仕事ですが、1997年に国家資格と認定され、累計合格者数は2023年時点で約3万9,896人、会員数は2万1,081人とまだまだ少ない傾向にあります。

必要とされている職場は増えている一方で、言語聴覚士は供給が追いついていない状況です。そのため、将来性のある仕事だといえるでしょう。

2025年からの超高齢化社会でさらに必要とされる

現在でもすでに需要が高いといえる言語聴覚士ですが、2025年からはさらにその需要が高まることが予想されています。その理由は、2025年には65歳以上の高齢者の人口が約3,500万人に達すると推測されているためです。

高齢者が増えるということは、年齢にともない食べること・飲み込むこと・聞くこと・話すことが困難になる方が増える可能性もあることが推測できます。そのため、言語聴覚士は今後さらに需要が高まり、必要とされる資格になっていくでしょう。

また、高齢者だけではなく、児童デイサービスなどの子どもたちを対象にした施設も増えてきていて、サポートする対象は子どもたちにも広がっています。

そのため、スキルアップするために自ら新しい情報をインプットしつづけることが大切です。スキルを磨き続けることで、つねに第一線で働ける言語聴覚士でいられるでしょう。

引用元
内閣府:高齢化の現状と将来像

自分に合った方法で収入UPを目指そう!

言語聴覚士の平均月収は約30万700円、平均年収は約431万円ですが、平均収入は年齢や勤務地によって異なります。50代後半が最も平均年収が高く、東京都・愛知県・大阪府といった大都市圏の言語聴覚士の平均年収は、最低賃金の差などもあり、平均よりも高い傾向にあるのが特徴です。

収入アップを目指すなら、勤続年数を重ねたり、資格を取得して手当を獲得したりするのがおすすめです。知識やスキルを獲得したら、よりよい条件の職場を探して転職するなどの方法を試してみるのもいいでしょう。

自分に合った方法を見つけて、効果的な収入アップを目指していきましょう。

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