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ヘルスケア 2023-05-22

自身のチョピもれ経験から生まれた「もれ止めエクサ」のメソッドを紹介【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.98/パーソナルトレーナー・MIKKOさん】#2

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回お話を伺ったのは、パーソナルトレーナー・MIKKOさん。

もともと看護師をされていたMIKKOさん。病気になったのをきっかけに、インストラクターへ転向されました。なかでも人気なのが「もれ止めエクサ」のレッスン。著書「尿もれに効くうえ、お腹も凹む! 看護師考案のもれ止めエクサ」(KADOKAWA)も発売され、ますます注目を集めています。

前編では、そんなMIKKOさんの働き方や、この仕事のやりがいを伺いました。
後編では、人気レッスン「もれ止めエクサ」のメソッドや、未来のインストラクターに向けたアドバイスを伺います。

「骨盤底筋」を意識してケアすることで
尿もれ以外の不調もよくなる!

――MIKKOさんといえば、「もれ止めエクサ」! 早速伺って行きたいのですが、そもそもこのメソッドが生まれたきっかけは?

長男を出産した時なので、約10年前ですね。出産後、早く元の体に戻そうと無理なトレーニングをしたことがきっかけで、いわゆる「尿もれ」になりました。出産後はどうしてももれやすくなるんです。だから本来、きついトレーニングをしちゃいけない。わかっていたつもりですが、油断していましたね。骨盤底筋を鍛える体操をして、自力で治しました

最初、このことは生徒さんたちに隠していたんです。「教える側の先生が尿もれしているなんてヤバイ! 口が裂けても言えない!」と思って(笑)。でも、オンラインレッスンを初めて、習い事サイトに掲載するようになり、何か自分の強みをもっと前面に出さないと、尖っていかないと、と思い、カミングアウトを決意しました。そこで私のキャッチコピーも「私はこれでチョピもれやめました!」に変えたんです。

それがどういう意味で受け入れられたのかはわかりませんが、おかげでたくさんの人に興味を持ってもらえるようになりました。実際、困っていた人も多かったようです。相談しにくい悩みですし、病院に行くかどうかも迷うところでしょうし。その後、私自身改めて骨盤底筋についてしっかり勉強し、今に至ります。

そもそも尿もれの主な原因は、骨盤底筋群とその周りの筋肉の衰えが原因と言われています。「衰え」というと、加齢のイメージですが、最近は若くても姿勢が悪くなる生活習慣をしている人が多いので、そういう方は要注意ですね。逆にこれらが鍛えられると、ぽっこりお腹をはじめ、垂れ尻、猫背、腰痛、肩こり、生理痛、O脚・X脚などにもアプローチできます。

――それはありがたいです! メソッドのポイントは?

骨盤底筋だけでなくインナーユニット全体の動きをよくしながら、骨盤底筋の動きを改善していくのが特徴です。インナーユニットの動きをよくするために、姿勢と呼吸を重視しています。

そして、姿勢を改善するためには、まず今の自分の姿勢を知ることからスタート。ここでは、おすすめの姿勢チェック法「骨盤エレベーター」を紹介します。骨盤をまっすぐ立てたまま、エレベーターのように上下(垂直)に動きます。

1 お腹を引き上げ、骨盤を立てたまままっすぐ立つ。
2 息を吸いながら、膝を軽く曲げる。
3 息を吐きながら、膝を自然にのばす。
②③の上下運動を2〜3回繰り返す。

下腹部に手を添えて、床に対して骨盤が垂直に立っているか確認しながら行ってください。そして、足やお尻が力まないように注意します。お尻がくぼんでいると、力が入っている証拠ですよ。

垂直に上下できているかどうかを確認するには、横からチェックするのがわかりやすいと思います。全身鏡があればいいですが、なければ、電源の入っていないテレビやモニターの画面、シャッターを閉めた窓などに体を映してみてください。

脚の付け根が曲げられず、お腹を突き出すような姿勢になってしまっている人は、腹圧がかかりやすく尿もれしやすいと言われます。逆にへっぴり腰のように腰を反らした姿勢になった人は、お腹がぽっこりして、頻尿になりやすいです。

隙間時間にできる簡単エクササイズで
骨盤底筋を動かす感覚を少しずつ身につける!

――いよいよ「もれ止めエクサ」ですね! いろいろあると思いますが、ちょっとした隙間時間にも簡単にできるものを一つ教えてください。

骨盤底筋を鍛える基本の動きが入った、「すべり台」がおすすめです。呼吸に合わせて骨盤底筋をゆるめたり引き上げたりするので、骨盤底筋が動く感覚をつかんでもらうのにぴったりかと思います。

まずは仰向けに寝転がり、写真のように両膝を立てて楽な角度に足を開きます。そして、お尻の下にクッションを1〜2個敷いてください

1.息をゆっくり吐きながら、骨盤底筋を引き上げる。そのまま自然な呼吸で10秒キープ。これを3回繰り返す。
2.息を短く吐いて骨盤底筋を引き上げる。息を吸いながら骨盤底筋をゆるめる。テンポよく10回繰り返す。

クッションでお尻を高くして臓器を引き上げてから行うので、体への負担がかかりにくいエクササイズです。骨盤が手前に傾いて内臓が胸の方に寄ってきた感じがすれば正解! 骨盤底筋は、普段ほとんど意識することがない筋肉なので、最初は動いている感覚を掴めない人がほとんどです。このエクササイズの動きで言うと、息を吐いた後に少し引き上がる感覚に注目してください。そして、「ここに骨盤底筋がある」と意識してみるといいでしょう。毎日繰り返すうちに、少しずつ感覚が掴めるはずですよ。

また、慣れてきたらちょっとずつ負荷をかけていくのも、より効果的に鍛えるポイントです。骨盤底筋が動く感覚が掴めたら、今度はクッションなしバージョンにトライしてみてください。基本の姿勢は同じです。クッションを敷く代わりに、息を吐きながらお尻の方から背骨を一本ずつ持ち上げるように傾斜をつけていきます。この時、腰が反ったり、おへそを突き出したりせず、肩から膝までが一直線になるようにキープ。①②の呼吸を行います。

同じ思いで活動するインストラクターの仲間を増やし、
「もれ止めエクサ」をたくさんの人に伝えたい

――今後力を入れて行きたいことや、新たな目標などはありますか?

「もれ止めエクサ」は、尿もれだけでなく、妊娠出産、更年期や高齢期など、幅広い年齢層の女性の生活を向上させるエクササイズです。だから、少しでも多くの人に伝え、普及したい! でも私一人では限界があるので、一緒に「もれ止めエクサ」を伝えていってくれる仲間を増やしたいと思っています。それもあって、今年から養成講座を始めたんです。ちょうどつい先日、一期生が卒業しました。

――これからが楽しみですね!

ただ、一つだけ気になることがあって……。私のメソッドは「もれ止めエクサ」っていう名前で、著書を出すときにつけたのですが、養成講座の生徒さんから「『もれ止めエクサ インストラクター』という名前はちょっと……」と言われてしまって。確かに気持ちはわかるので、以前私が名乗っていた「ピラティス筋トレ インストラクター」という名前に戻したのですが、今後「もれ止めエクサ」という名前をどこまで出していくのかが悩みどころです(笑)。

――わかりやすいけど、確かに名乗りにくいかもしれないですね。読者の中にも、これからインストラクターを目指す人が大勢いるので、ぜひアドバイスをお願いします。

どの職業にも必要だと思いますが、「コミュニケーションスキル」は絶対必須。対・生徒さんだけでなく、スタッフや先生同士の間でも、コミュニケーションが欠かせません。会話の中に自分の強みを活かすヒントが隠れていることも多々あります。

とはいえ、言われたことをすべて受け止めていると、心が折れそうになることもあるので、「レッスンを通して自分が伝えたいのはコレだ!」という、信念を持っておくといいですね。それをアピールすることで、共感して集まってきてくれる人が必ずいると思います。

あとは、目の前の人を満足させることに集中すること。これは養成講座の生徒さんにも言っていますが、SNSで新規のお客さまを集めることも必要ですが、一度参加してくれた生徒さんにまた来てもらえるよう努力しましょう。どんなに立派なSNSを発信しても、それを見て実際来てくれたお客さまが満足してくれないと意味がありません。それに、SNSで情報収集している方は、SNSに投稿することにも抵抗がないので、もし「がっかりした」なんて書き込まれたら……考えただけでも怖いです。

なので、初心者インストラクターこそ、まずは目の前の人に満足してもらうことを優先。そうすれば、わざわざ宣伝しなくても、家族や友達などに口コミが広がり、集客も安定します。そして余裕ができたらSNSを活用する、くらいのつもりでいいんじゃないでしょうか。なんだかんだ、SNSの集客力は強いです。バランスを見ながら上手に利用してほしいです。

実際私もSNSを利用していますが、ほとんど生徒さんとの交流の場になっていて、集客としては微妙です(笑)。商工会議所のSNSの先生にも「これじゃあ……」と言われてしまいましたが、あくまで「楽しい輪を広げる」というつもりで、気長にやっていこうと思います。


前編・後編を通じて、熱い思いを語ってくださったMIKKOさん。取材の最後に「インストラクターの心得3ヶ条」を伺ったところ、

1.体調管理に気をつける
2.自分の信念を持つ(でも押し付けない)
3.参加者がポジティブになれる空間・時間を提供する

と教えてくれました。
やはり何事も健康あってこそ。そして、しっかりとした信念を持ちつつも、相手に合わせて柔軟に、尊重した対応をすることが、人気インストラクターの秘訣だと感じました。
貴重なお話をありがとうございました!

取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄

 

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