多方面からのアプローチで痛みを改善!【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.48 整体師 大川智弘さん #1】
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
今回は東京都青砥にあるジム&サロン「OF LIFE」に所属する整体師の大川智弘さんにフォーカス。
学生時代は野球と相撲を経験し、将来は建築士を目指すも怪我の後遺症により断念した大川さん。フィットネスクラブのトレーナーとして働き始め、より良いアプローチを求めて整体の技術も学んでいきます。その中で多くのヘルスケア資格を取得されました。
前編では、そんな大川さんのこれまでの道のりと、多くの資格取得の理由、現在の働き方についてお聞きします。
お話を伺ったのは…
整体師 大川智弘さん
高校時代は相撲でインターハイや東北大会に出場。フィットネストレーナーとして活動後、セラピスト技術を学び、パーソナルトレーナーとして活動。2021年7月より「OF LIFE」に所属。痛みが少なく短時間の施術で、確実に柔らかい筋肉に導く。NESTA認定パーソナルフィットネストレーナー、糖尿病予防スペシャリスト、JTTMAプロフェショナルセラピスト、MB式小顔整体師など、多くの資格を持つ。
運動機能の低下を防ぐためのトレーニングと施術知識を学ぶ
──まずはヘルスケア業界に入ろうと思ったきっかけを教えてください。
高校と大学では建築を学んでいました。当時は福祉住居、バリアフリーがすごく取り上げられていた時代だったんですが、その勉強の一環で住居での怪我についてのデータを見たんです。すると原因は大きな段差ではなく、コンセントのコードや布団といったものが多かった。そこに疑問を持って、改善するための運動指導がしたいなと思ったのが、この業界に入るきっかけでした。
また当時、学生時代に野球で怪我をした後遺症で、右手にまったく力が入らない状態で…。手で図面を描く建築士を諦め、大学を中退して治療に専念することにしたんです。そのリハビリも兼ねて、フィットネスクラブでトレーナーのアルバイトをし始めました。
──フィットネスクラブのトレーナーからスタートしたんですね。
セラピストの技術も学ばれたのはなぜですか?
フィットネスクラブによく来ていたのは、キレイな体になりたい、かっこいい体になりたいという方がほとんどだったんですが、体が思うように動かず結果に結びつかない方がすごく多かったんです。
そこにアプローチするためには、セラピストとしての知識や技術が必要だと思い、一度フィットネスクラブから離れて施術を学びました。
その後、フリーランスのパーソナルトレーナーとして活動を始めたんですが、トレーニング需要よりも施術の需要のほうが大きかったんですよね。そこから施術メインの働き方になっていきました。
たくさんの資格を取得し、多方面からのアプローチができるように
──現在は「OF LIFE」に所属されています。その理由は?
「OF LIFE」は2021年7月にスタートしたサロンで、オープンに当たり声をかけていただきました。コンセプトは「痛み改善」で、それが叶うならどんな手技でもOKなんです。
一般的なサロンは、入社したら「この手技じゃないとダメ」という縛りがあったり、やりたいこと、その人のための施術ができなかったりします。でも「OF LIFE」なら、いろんなアプローチの引き出しから、その人に合わせたトレーニングや施術ができる。そう感じたのが、所属しようと思った理由です。
──大川さんは多くの資格をお持ちなので、施術が限定されないのはメリットですね。
これまでにさまざまな資格を取られたのは何故ですか?
トレーナー系の資格は、パーソナルトレーナー時代にほとんど取得しました。施術については、足りないところを補っていく感じ。他にも、高校時代に相撲をしていたので痩せやすいというところで食に関する資格を取ったり、糖尿病の方が増えているので予防改善を学んだり…。何か役立つ情報をお伝えできたらいいなという気持ちでしたね。
資格を持つと、そこが新しいスタートラインになるんです。力を貯めて次のステップに進める。また、いろんな方に対応できますし、多方面からアプローチがしやすくなるんですよね。
隙間時間に来店できるように、短時間で効果のある施術を提供
──現在の働き方を教えてください。
基本的にはサロンにいることが多いです。週1回スイミングスクールのコーチとして年少から小学校6年生まで幅広く担当しています。
人によって施術メニューは変わりますが、僕の場合は大体1人20分の施術が多いです。20分の中では整体+セルフケアのご案内をしていますが、必要があれば運動指導も行います。いろいろお伝えしても続かないと意味がないので、デスクワークの合間にできるようなセルフケアの提案が多いです。
施術時間が短い分、ゆったり間隔をとって施術を入れ、施術前後もゆっくり過ごしていただけるようにしています。
「OF LIFE」は店内の中央に広々としたスペースがあったり、中で本が読める酸素ルームやストレッチポールなどを設置したジムスペースもあります。「何でもないけど来ちゃった」と言ってもらえるような、コミュニティの場になればいいなと思っています。
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機能低下を防ぐための運動指導を目指し、ヘルスケア業界に入ったという大川さん。多くのことを学び、お客様のニーズに応えていくなかで、現在は整体メインで活動するように。
運動機能低下を招く悪循環を断ち切るには、痛みを改善して「自分も動けるかも」という希望を与えることが大切なんですね。次回中編では、大川さんが整体師の仕事に感じる魅力と大変さ、整体師を目指す人へのアドバイスをお聞きします。
取材・文/山本二季
撮影/米玉利朋子(G.P.FRAG)