女性の悩みに寄り添ったケアを入念に、「自然本来」の健康な身体を目指す【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.69 アロマセラピスト 櫻井ひとみさん】#2
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。今回は、駅から徒歩数分の自宅「アロマサロンIMyMe」の一室にてアロマオイルトリートメントを中心にハーブボールなどを使用した施術を行なっている、アロマセラピストの櫻井ひとみさんにインタビュー。
前編で伺ったのは、アロマの世界に進んだ経緯やハーブボールとの出会いとその魅力、お客様の傾向ついて。後編では、サロンのコンセプトや開業に当たり苦労したこと、今後の目標やアドバイスについてお聞きし、サロンのコンセプトを深堀りします。
教えてくれたのは…
アロマセラピスト 櫻井ひとみさん
自律神経失調症を患ったことをきっかけに、アロマの世界へ。アロマとハーブを専門に販売する小売店での接客やリフレクソロジーの施術を経たのちスクールに通い、資格を取得。レンタルスペースにて個人サロンを開業。現在は自宅の一室でアロマオイルトリートメントやハーブボールなどの施術を行う。
女性特有の悩みに寄り添った施術を採用「自然に基づいた方法で、本来の身体を取り戻す」
「現在、施術を行なっている自宅のサロン部屋は「和」の空間を意識して作りました」と櫻井さん。心地よい温もりが感じられる明るさで、リラックスした気持ちで施術が受けられる
――「アロマサロンIMyMe」のコンセプトについて教えてください。
サロンのモットーは、「女性の気持ちに寄り添うこと」。女性特有の生理にまつわる症状やその都度現れる変化に寄り添うことを大事にしています。
――なぜ「女性」に特化を？
症状の原因を突き詰めてみると、お客様の大半が婦人科系のお悩みを持っていたことが理由です。ですが、アロマサロンを利用される多くのお客様は「癒し」や「疲労回復」を求めている方がほとんど。女性特有のお悩みが改善されることを知らない方が多いようなんです。
私自身、生理にまつわる悩みがアロマとの出会いによって軽減しました。その経験から、悩みを抱えやすい女性をターゲットに生活にアロマを取り入れる習慣をもっと広めたいという想いが生まれて…。「自然に基づいた方法で、本来の身体を取り戻す」ことを念頭に置いています。
――そのテーマのために、必要なことはなんですか？
まずは、自分の身体を知ることが必要です。その方の悩みや症状を身体から聞き出して、生活習慣や生理周期を元に身体のリズムに沿ったアドバイスや自然由来のものを取り入れるよう、アドバイスをしています。例えば、ダイエットを計画している方には「この期間であれば、このくらいの効果が出やすい」など。身体からお客様のお悩みを聞き、身体の不調は「自分自身で変えることができるんだよ」ということが伝わるように取り組んでいます。
「あったらいいな」を具現化し、近所で親しまれるサロンに成長
メニューの価格設定も難しかったと話す櫻井さん。「他店舗を見て相場を比較し、
一人あたりにかける施術の手間や時間を含めて決めました」
――サロンを開業する際に、大変だと感じたことはどんなことですか？
はじめは集客の方法に悩みましたね。一度、月額で支払いをしてサイトに掲載いただき、告知をして集客を図った時期もありましたが、個人サロンには向かない料金設定や即日予約可でなければだめ、などと規約の縛りがあり、途中で断念しました。
――どんな方法で克服しましたか？
「こんなイベントがあったらいいな」と思う要素を取り入れて、定期的にイベントを企画したら、少しずつ認知していただけるようになりました。最近ですと、「アロマ石けん作り」や「アロマミスト作り」など。ご近所から通っていただいている方が多いので、親子でできるワークショップを中心に考えています。だんだん近所の方から、口コミなどでご利用いただけることが増えて嬉しいですし、自発的に考えて行動した結果が目に見えることに達成感が大きいです。
――地域と関わり合うことは大切ですね。反対に、どんなことが嬉しいですか？
お客様の笑顔を見られることが一番ですね。やはり、初めてご利用いただくお客様ですと、緊張して顔が強張ってしてしまっている方が多いんです。ですが、施術が終わり、表情が柔らかくなって笑顔が見られると、とてもやりがいを感じます。
さらにお客様から「気持ちよかった」や「癒された」と声をかけていただけることがあるのですが、本当にやっていてよかったなと嬉しさを感じると同時に、達成感も得られます。
また、そういった言葉をかけてくださった方の中には、ご友人や知り合いに広めていただけることもあって、嬉しい限りです。
場所や形にとらわれず、多くの人と関わり合える機会を作りたい
休日はノープランでふらっと古民家カフェに行くことが多いそう。「その時の感情が向くままに動いています」
――「やりがい」が直接感じられるところが魅力的ですね。やりがいを感じるためにどんなことが大事だと思いますか？
行動することは大事です。少しでも興味があったら、行動して自分の経験値を上げていく。自分が思ったようにハマらなくても、次に必ず活かして常に挑戦していく気持ちを持つことができるはずです。
――今後、取り組みたいことは？
もともと、制限のない自由な働き方を実現したくてサロンを開業したこともあり、活動の幅を広げていけたらいいなと考えています。具体的にいうと、オンラインでアロマやセルフケアに関する講座を開くこと。「自分の身体は自分で変えることができる」ということを、オンラインを通していろんな人に周知してもらうためにも取り組んでいきたいです。現在は、主にご近所の方にご利用いただいていますが、遠方にお住まいの方でも何か関わり合えるきっかけ作りができたらいいなと思います。
いつか、本の出版もしたいです。個人サロンを経営してきた経験から、いろんな経験を綴った内容を、今後この業界を目指す方などにアドバイスとして伝えることができそうだなと思いますね。
櫻井さんがお客様の支持を獲得し続けられる秘訣
1.顧客満足度を上げるため、自分が良いと感じたものは取り入れていく
2.お客様のその時の感情を尊重し、状況に合ったアドバイスをする
3.少しでも興味があることは試して実践してみる
地域と交流を持つことで、サロンの認知度を着実に上げてきた櫻井さん。自身の理想とする働き方を実現しながらアロマの可能性に挑戦していく姿は見習うべきものがあると感じました。気になるお悩みがある方は、櫻井さんのハーブボールの施術を受けて「癒し」はもちろん、自然本来の身体を取り戻してみてはいかがでしょうか？
取材・文／東菜々（レ・キャトル）
撮影／喜多 二三雄
